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August 04, 2005

出産も「あなた次第」?その1 LiBホームページへ

mama.gif 陣痛が始まったのは予定日を3日過ぎた夜だった。夜が明けるのを待ち、早朝6時に夫に病院に送ってもらった。

マタニティワードのドアを叩くと、まず「ペインリリーフ使う?使わない?」と聞かれた。

ペインリリーフと言っても、テンス、笑気ガス、硬膜外麻酔・・・など選択の幅も広い。使うも使わないも、どの方法を選ぶかも、自分次第だ。母親学級でも、このペインリリーフの説明が大半だったのではないかと思われるほど、イギリスの出産は「いかにして痛みから逃れるか」が大きな課題らしい。

「痛い思いをしてこそ母親」のような精神論はむしろ嫌いな方だが、私は一応使わないでトライしてみよう、と思っていた。なぜ、と聞かれるとこれといった理由もなかったのだが、何となく皆が痛い、痛いというので痛みへの好奇心というか挑戦というか・・・。相変わらず意味のないチャレンジをしたがる私である。そのために日本の出産本でスースー、ハーハーの呼吸法も練習したのだ。結局このスースー、ハーハーはよく分からなかったが、まあその時になれば何とかなるだろう、と高をくくっていた。「まず使わないで頑張ってみて、もしどうしても我慢できなかったらお願いします」と伝えた。

ベッドに横たわると、黒人のミッドワイフ(助産婦)が「ハロー。私はミッドワイフの○○よ」と自己紹介して来た。明るくて感じのよい人だった。無事病院のベッドについた安心感からか、なぜか痛みも収まった気がした。私も満面の笑顔で自己紹介をした。

彼女が子宮口の大きさを検査して言った。「う~ん、まだ7,8時間は産まれないわね。その間、ここに居てもいいけど、落着かないと思うわよ・・・。家に一度帰った方が居心地いいんじゃないかしら。もちろん、あなた次第だけど。」

妊娠して以来、幾度となく言われてきた「あなた次第」だが、今回は言葉の裏に「帰って欲しい」という願いをひしひしと感じた。なにしろここは、人種の坩堝、ロンドンのど真ん中の病院。ただでさえ人口が密集している上に、子供をがんがん産む移民も多く、なにしろ混んでいるのだ。

ベッドも人手も不足しているのだろう。私としては病院のベッドでも十分快適だったのだが、なんとなくミッドワイフが気の毒になり「じゃあ、帰ります」と言ってしまった。「そうよね!それがいいわよ。大体あなた、本当に生まれそうな人は、そんなに、にこにこしていられないわよ!」と言うミッドワイフの言葉に笑う余裕さえあった。

彼女の言葉を本当に理解したのは、それから12時間後だった。

次は追い返されないようにと、ぎりぎりまで家で頑張り、再び夫に病院に運び込まれたのは、夕方の6時を過ぎた頃だった。今度は車の中であまりの痛さに泣いていた。涙をぼろぼろ流しながら、再び分娩室のベッドに横たわると、朝とは違うミッドワイフが「ハロー。ミッドワイフの××よ。」自己紹介してきた。この人も黒人だった。

今度は自己紹介を返す場合ではなかった。言葉にならない「ううう・・・・」という意味不明のうめき声をあげながら涙をぼろぼろ流す私を見て、「彼女、英語わからないの?」と聞かれる始末だった。 (続く)

投稿者 lib : August 4, 2005 06:43 PM

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