« 家庭内多言語のカオス   | メイン | チャンピオンズリーグ  »

November 22, 2005

携帯電話  その2

career2.gif   私は乗り物の中で携帯を使うのがあまり好きではない。しかし、連絡事項はしかたがないだろう。

「7時に着くから、駅まで迎えに来てね」と親に電話する子供。
雨が降っていたりするとき、携帯って便利よね。親も安心だし。

朝の電車でよく聞くのが、遅刻の連絡。
「電車が遅れたので、遅刻します。いやー、ひどい目に遭いました。すごく待たされてしまって・・・。すいませんが、クライアントに連絡を入れておいてください」

(あれ? この電車は定刻通りに到着したはず・・・)

イギリスの電車はメチャメチャ遅れる。それをいいことに、寝坊を電車の遅れのせいにしたことは私もある。これはお互い様。

帰りの電車で私の携帯電話が鳴った。夕方、6時半。
日本出張中の上司からだ。
日頃、乗り物に乗っているときに電話がかかると、後でかけなおすようにしている。
しかし、上司は日本である。
「今、日本は何時?」
「朝の3時半」
ずっと連絡を取ろうとしていたのにとれなかったのは、寝ていやがったな。
ま、時差ボケもあるからしかたない。

「XXの件はどうなってる?」
「ああ、あれ。ミスAは米ドルで10万欲しいらしいけど、ミスターBはせいぜい5万ドル。それも実物のチェックが済んでからでないと、ダメだって」
周りが急にシンとした。気まずい空気を感じる。
視線を私から逸らしているのは、なぜ? 
ええっと、どんな話をしてたっけ?

みんなの耳に聞こえていたのは・・・、
「ボス、例のブツの件で。女は10万ドル欲しがってるんですが、男のほうが承知しないんで。野郎は5万ドルしか出したくねえ。それもきっちり、ブツをこの目で確かめてから、決めさせてもらうぜ、そう言うんですよ」
10万ドルの実物のチェック・・・。
麻薬の取引だよ、これじゃ。
どうしよう? でも、ここで席を立つとますます怪しまれる。

私は冷や汗をかきながら、上司の質問には関係なくビジネスの詳細をペラペラと説明した。脈絡のない話の展開に上司は少し混乱していたが、背に腹は変えられない。
駅で警察が待ち構えていてハンドバックの中身を見られたり、尋問を受けたくない。

やっとのことで「ブツ」が何で、どういう「取引」なのかを説明した。
非合法な取引の話ではなくて、なんとなく周りの乗客も安心した風である。

めでたし、めでたし。

投稿者 lib : November 22, 2005 08:31 AM

コメント

コメントしてください




保存しますか?