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February 06, 2006

スピーチ・セラピー その4

mama.gif いよいよ、スピーチセラピストは息子に簡単なテストをすると言う。お受験を見守る母親の気持ちはこんなだろうか。「テスト」という言葉を聞いただけで急にびびってしまった。

テストの内容は息子にパズルをさせたり、絵の書いてあるカードをいくつか見せて、犬はどれ?女の子はどれ?などと質問するものだった。私が質問役なので、いつも使っている日本語で聞いて良いと言う。こういった遊びは普段から息子としていたので、これは難なく通過。

次に、同じカードを、名詞を使わないで動詞で質問してみて、と言われた。例えば「飲んでいるのはどれ?」「走っているのはどれ?」など。こういった遊びはしたことがなかったので、息子、分かるかなーと半信半疑で質問したが、正解を言えた。正解できたのが意外で、私の方が驚いた。面白いやり方だなと思った。

後日、送られてきたリポートを見ると、言葉を習得する上で重要な、注意力、聴力、遊び方、言葉(名詞、動詞)の理解力などは問題ないが、言葉を表現することに若干遅れがあるとのことだった。
レポートの中に、「観察によると、’ke’という一貫した発音を使い、個々の品目の名前を母親に聞く行動が見られた。」と真面目に書いてあったので笑えた。「け?」がキーワードだったのだな。
両親は一貫した言語で話しかける事、子供に質問して答えさせるように心がける事、などのアドバイスがあり、これはこれで役に立った。

その後、こんな事があった。

日本語の子供向けビデオを見ていた息子が、主人公が車のおもちゃで「ブー、ブー」と言いながら遊んでいるのを見て、自分も「ブー、ブー」と繰り返していた。そのように正確に発音を繰り返すことは初めてだったので、はっとした。

以前、「子供は言葉をそのまま吸収するので、幼児語を使っても正しい日本語を使っても同じように覚える。よって幼児語を使う必要はない。」というような話を聞いた事があった。
幼児語を使わせたくないと思っていた訳ではなかったが、私自身、今まで子供との接点があまり無く幼児語が出にくかったのと、この説が頭に残っていた事があり、特に積極的に幼児語を使っていなかった。

息子は車の擬音語として「ブーブー」と言っていたのだが、試しに
「このブーブーが好きなの?」
と名詞として使ってみた。

息子は一瞬、はっとした様な表情をした。そして、嬉しそうな顔で、
「ブーブー!ブーブー!」と大きな声で連呼した。
まるで、
「『くるま』じゃなくて、『ブーブー』って言ってもいいんだ。」
と確かめて、ほっとしたかのように。

それから、外でも車を見るたびに自信を持って「ブーブー」と言うようになり、彼の3つ目のボキャブラリーになった。幼児語でも言わないよりは言った方がいいに決まっている。

子供は動物的に言葉を覚えるものと思い込んでいたが、実は思っているよりもずっと複雑な心の動きがあるのかもしれない。私だって自信のない英語の発音は避けて、他の言葉で言い換えようとする様に、2歳児にだってプライドがあり、自信のない発音は口に出したくないのかも知れない、と目から鱗の思いだった。

今はスピーチ・セラピー体験から約1年が過ぎ、息子もそれなりに話せるようになった。とはいえ、同年齢の子に比べるとまだまだ下手だが。

それでも、少しでも意思の疎通ができるようになると、息子が何を考えているのか知りたくなる。

で、常々「子供になんてバカなことを聞くんだろう」と思っていた質問を、ついしてしまった。

「ダディとマミィ、どっちが好き?」

息子はすかさず答えた。

「ボール。」

質問と噛み合っていないが、母親がボール以下の位置付けであることは分かった。

知らなかった方が良い事も、ある。

投稿者 lib : February 6, 2006 09:33 AM

コメント

初めてコメントさせていただきます。
スピーチセラピーの件、とても興味深く読ませていただきました。
セラピストが言っていた「家では統一した言語で会話する」というアドバイスについて質問があります。
ブログの最後に「マミィとダディと・・」とありますが、ご主人はイギリスの方(日本語は話さない)でしょうか。もしそうであれば、ご家庭での会話はどのように統一させられたのでしょうか?
私の娘も今言葉を覚え始める時期に来ております。参考になるかと思い質問させていただきました。

投稿者 えりー : February 6, 2006 10:24 AM

読んでいただきありがとうございます。
「一貫した言語で話しかける」というのは、母親が日本語で話すなら常に日本語で、という意味で、家庭内で統一した言葉で話さなければならないという事ではないのでご安心を。
お母さんが日本語で、お父さんが英語で話しかけるのは何の問題もないと思います。でも一人の人間が日本語も英語も・・・となると子供は混乱するらしいです。
我が家の共通語は英語です。夫は香港チャイニーズなのですが、日本語は話しません。彼は子供に英語で話しています。
でも私も息子に英語を使ってしまうこともあります。そうでなければ親子3人の会話が成り立ちませんものねえ。
私は「語りかけ育児」(サリー・ウォード著。小学館)という本が参考になりました。著者はイギリスのスピーチセラピストです。
でもスピーチセラピストの子供が言葉がなかなか出ない、という話も聞いたし、マニュアル通りにはなかなか行かないものかもしれませんね。
たまに中国語も入り、我が家の言語状況は混沌としています。その辺の事情は「家庭内多言語のカオス」(11月18日更新)に書いたので、良かったら読んでみてください。

投稿者 子育てママ : February 13, 2006 11:11 PM

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