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January 31, 2007

英国の結婚式(その2)

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式は、1時過ぎに終わった。
ほとんどが地元の人なので、レセプション会場へは車で30分もある
地元でも有名なホテル(といっても小さいが)で行うらしい。
それは、6時頃からなので、時間はたっぷりある。
義理ママの予定では、このあとおばあちゃんのナーシングホーム(老人ホーム)に立ち寄り、
そして家に帰って簡単な昼食を食べ、会場に向かうそうだ。
昼食用には、解凍するために冷凍庫よりだされたスープが我々を待っている。

おばあちゃんのナーシングホームは、2階建てでこじんまりしている。
入所して2年経つが、動かないせいか食欲もなく痩せてきて、ちょっとボケている日もある。
『はい、グラニー(孫からのおばあちゃんの呼び名)、あなたの孫がきたわよー』とママ。
おばあちゃんは、椅子に腰掛けている。目がよく見えないようだが、笑顔だ。
『○○ちゃんの結婚式で教会にいったのよ。これから○○でレセプションなの。また来るわねぇー』
と病室を出て行こうとするママ。
一同??????
ママ、我々は2分前におばちゃんの部屋に来たのよ。それがもう帰る???
あまりの早業で、我々もついていけないが、おばあちゃんはなんだか困惑している。
しかし、ママはさっさと駐車場へ向かってしまった。(いつより更にせっかちな今日のママ)

義理の妹は、遠くに住んでいるのでおばあちゃんと会うのは久しぶりだ。
妹はママが先に行ってしまったが、それを無視して、いきなりしゃがんでおばあちゃんの目と同じ視線になり、
ゆっくりと話だした。
花嫁がどんなドレスを来ていたか、 親戚は誰が来ていたかなど結婚式の話しをした。
花嫁は、おばあちゃんにとって孫だ。

おばあちゃんは、笑顔で『そうなの?』としっかりと妹の話を理解している様子。
妹は、『花嫁にメッセージがある?』と聞くと、おばあちゃん『いつまでも幸せにね!』と言った。確かに言った。
ダーリンも、私もこの妹のメッセージはある?と聞いたこと、
また同じ視線になって話したことにいたく感心した。
妹は、病院で勤めているので、患者と同じ視線になることが大切と学んだそうだ。
うーん、凄いぞ、妹!!拍手、拍手。

そこへ ママが、 我々を待ちきれず迎えに来た。
我々は、おばちゃんに別れの挨拶をして、気持ちよく家に帰った。(つづく)

投稿者 lib : 09:31 AM | コメント (0)

January 30, 2007

「ビッグ・ブラザー」をインド人ファミリーと鑑賞

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国内外に論争を巻き起こしたセレブリティ・ビッグ・ブラザーの優勝者が決定した。
ベスト2に残ったのは、インド人女優シルパと黒人のジャメイン・ジャクソンということで、どっちに転んでもポリティカリー・コレクトな結果ではあったが、大方の予想通り、優勝したのはイジメの被害者、シルパだった。

彼女が優勝したことで、ほっと胸をなでおろした人が沢山いるだろうが、結果によっては人種差別国家という烙印が押されてしまいかねない、イギリスの沽券に関わる一大事だった。
ブレア首相やブラウン財務大臣はもちろん、クイーンまでもが執務室の柱の陰で、こそこそとシルパに投票していたに違いない。

なんだかんだ言っても、イギリス人は自国に非常に誇りをもっている国民だ。
トニーとゴードンが「差別なんてない公正な国、オーブリタニア♪」と手に手を取り合い喜んだかは知らないが、クイーンはじめ(決め付けているが)イギリス国民が一丸となってシルパに投票したおかげで、大英帝国の面目はひとまず保たれた。
イギリスもハッピー、インドもハッピー、チャンネル4もハッピーで、英国らしからぬハッピーエンディングは、「ボリウッド女優主演、イギリス人監督がメガホンを握るハリウッド映画」を観ているようだった。まあいいんですけど。

話は変わるが、このファイナルの二日前、インド人の友人宅のパーティーに招かれた。
私たちの他には、インド人ファミリーが2組来ていた。
彼らの番組に対する意見を聞くチャンス、と思い出かけたが、タイムリーな事に、気がつくと居間のTVがビッグ・ブラザーの画面を映し出していた。(後から知ったところによると、ホステスである私の友人が欠かさず観ていたらしい。)

いきなり人種差別の話もナンなので、
「ねえねえ、シルパってインドではすごく有名なの?」
と差しさわりのない質問を振ってみた。
A氏 「うーん、10年前は有名だったけど、今は落ち目かな。でも僕、この番組、観た事ないんだ。ここに出ている人達って、家の中にカメラがあること分かってるの?」

あまり参考にならない。次にB婦人に話を振ってみる。

「やっぱりシルパを応援してる?」
B婦人 「そうせざるを得ないわね。でもこの番組で一ついいことがあったのよ。私の名前もシルパっていうんだけど、今までは名前を聞かれるたびに何度も聞きなおされたけど、今じゃ英国中に私の名前が知れ渡ったわ。」

ふむ。

最後にホステスである友人に聞く。
「ジェイドが出て行った時には嬉しかったでしょう?」
友人「そうよー。でも私、クレオにも出て行って欲しいのよね。」
私 「どうして?クレオはシルパに親切じゃなかった?」
友人「彼女は二面性があるわよ。シルパに親切にしていたのは本心じゃないわ。それからジャック、あの男が未だになぜ残っているのか分からないのよね、何にもしゃべらないじゃない。ジャメインは温和でいいわね、ナイスガイだわ。あとダニエル、あの子は顔は可愛いけど性格が終わってるわね・・・・(以下30分続いたが略)」

彼女は出演者一人一人について評価を下していたが、その中には人種差別騒動になる前に退去した出演者も含まれていた。
彼女がこんなに熱心なビッグ・ブラザーウォッチャーだとは知らなかったが、まあ印象としては、インド人の人たちも、特別シルパのファンと言うわけではないけど彼女を応援している、という感じだった。

まあ私だって、ビッグ・ブラザーハウスの中に日本人が一人だけいて、文化やアクセントで虐められていたとしたら、その人のことを特別好きじゃなくても応援したくなるものな。

しかし存続の危機が噂されたビッグ・ブラザーも、番組の最後に一般人編のオーディションの告知をしていたところを見ると、まだ続くらしい。
実を言うとこの騒ぎの前は番組を観たことがなかったが、これを機に、はまってしまいそうな予感の低俗日本人な私である。

投稿者 lib : 11:21 AM | コメント (0)

January 29, 2007

Site Site Site

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手足が震えるだけ怖いと思った。先週土曜日は、お客様のコンピュー
ター室の引越しがあり、当社エンジニアが15名強集まって朝から
現場を走り回ってくれた。各員、動きがきびきびしており、声も良
く出ていた。笑いと緊張がほどよく共存していた。僕が理想とする
週末現場仕事の雰囲気であって、ちょっとした感動モノであった。
チーム割りもうまく機能し、新人達は課長達の体の動きや頭脳の使
い方を目の当たりにして、当社の現場文化(僕の造語)や現場サー
ビス品質のレベルについて、大いに感じてくれたところがあったと
思う。

なんと力強い組織だろうと思った反面、とても怖いと思った。

’現場文化’は一日で成るものではない。当社のような小さくて新
しい組織の場合、まずは一人か二人による文化の造り込みから始ま
る。それが役員に伝達し、そして課長に伝わり、更に社員全員に徐
々に浸透せねばならない。何年もかかるし、どこかの伝播経路でこ
けると、その下の社員には、こけた文化がそのまま伝わる。まるで
コンピューターのように論理的で、構造的で、階層的である。最初
に僕が造り込む文化が並のものだと、全社員に伝わる文化も並のも
の、またはそれ以下となる。上質のものであって初めて全社員に上
質のものが伝わる可能性を得られるが、あくまで可能性であり、途
中でこけることも大いにありえる。そんなことを、週末に走り回っ
て良質な仕事を何時間も継続してくれた社員達を見ながらつらつら
思っていたら、足が震えるだけ怖くなってきた。多少の心地よさを
伴う恐怖感であるが。少しは社長という立場の怖さを身をもって分
かってきた、ということだろうか。40にして不惑というのは正直に
いって分からない。単に怖いのみである。

営業力の問題を抱えつつも、現在25名の組織となった。僕が当面
の目標としてきた、ある素敵な会社組織(もうなくなったが)が3
0名規模だったから、6年目の当社にとって、あともう一歩。毎朝、
緊張で手足を震わせてながら気を引き締めていこうと思ふ。

---
さて、僕の車がまたぶっ壊れた。今回は、デフロスタ(窓乾燥ファン)
がスチーム発生器に化けた。10日ほど入院が必要だという。お代は
まだ聞いていないが、恐ろしいことになりそうだ。

こちらも怖い。

投稿者 lib : 07:56 PM | コメント (1)

January 25, 2007

ポッシュな人々 名家編

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「タxラー」という雑誌を買った。3ポンド60ペンス。いつも読み捨てる1ポンドの雑誌に比べてドーンとぶ厚くて紙の質も数段にいい。

広告を見ると読者層がよくわかる。
シャネル、プラダ、グッチとお馴染みのブランドの広告が並ぶ。ただし、「なんちゃってモノ」はなく、2500ポンド (55万円)なんてニットワンピースがさらっと載っている。 一般女性誌の 「カタログショッピング」の 「16ポンド99のカーディガン、2枚目は半額」の10倍ではなくて、100倍以上だ。 「本物の宝石」のネックレスなんかもあって、フランス革命で貴族をギロチンにかけた庶民の気持ちがわかる気になってくる。

女性誌の巻末広告は「占い師」が定番だが、ここでは「パーティ業者」とか「離婚専門の弁護士」がメインである。

そのほかにエキゾチックな旅行 (格安チケットではない)
高級エステ (ドラッグストアのお手ごろ価格のクリームではない)
デザイナーブランドもの紹介の間にあるのは・・・・

「読者のみなさん」の「パーティ風景」

場所はポロの試合(サッカーのように庶民的なスポーツではない)。
ロンドンではウィリアム王子やハリー王子も常連のホットなプライベートクラブ (会員以外は入れない)。
あるいは「プライベートジェット」で行く「サントロペ」にある「プライベートヨット」でのお誕生日パーティ。

・・・そう、サントロペ。

これが庶民なら、「パッケージツアー」で行き、「コンドミニアム」に泊まる 「イギリス人のハワイ」であるスペインの「コスタデルソル(太陽海岸)」の「英国風パブ」が舞台だが。

スナップショットの顔ぶれにはショービズの人はほとんどいない。
有名人ではないが、名字がすべてを物語る。ロスチャイルドとか、ギネスとか、アルファイド(ハロッズのオーナー)。フランス人なら名字に de がついている。

XXXさんのお招きでXXXさんのヨットで開かれたパーティに行ったら、XXXさんとXXXさんが来ていました。みたいな文がある。

こ、これはもしかして「社交界マガジン」???

ダブルバレルと呼ばれる名字がつながっている人もいっぱいいる。
数世代前の「名家」と「名家」の婚姻を示す、リーズ=ジョーンズとかスミス=ベイリーみたいな人たちだ。
すごいのになると3つもつながっている。
ウエスト=ブラックネル=シェリングスとか。たぶん、下の名前に加えて洗礼名に堅信礼名もあるだろうから、
ジェイムス トーマス デヴィッド・ウエスト=ブラックネル=シェリングスとかが正式な名前だろう。
ジョン・スミスさんなら1行ですむところ、この人なんか名前の紹介だけで、3行くらいの場所を取る。

日本なら、さしずめ「徳川=水戸=綾小路」だ。下の名前が「ハチ」なんて軽いと、ちょっと座りが悪いなあ。「柿右衛門助清」とか「秀麻呂五郎太」くらいの重みは欲しい。
縦書き文化のつらいところである。

一時期続いた銀行の合併を思いだす。(古い話で申し訳ない)
「太陽神戸X井」とかね。私はひそかに「北海道X殖」も、ここと合併して欲しいと思っていた。
「太陽神戸X井北海道X殖銀行、飯田橋四谷新宿合同支店」なんて、もう日本語を離れて、すっかり漢詩の世界。4行に分けて墨絵の掛け軸に書いてあっても違和感がなさそうである。

もっとも、こんな銀行名を書かされる経理の人は頭にくるだろうな。
50回も書けば、うんざりして辞表をたたきつけることになるかもしれない。
私の望みはかなわず、あっという間にひらがな3文字の銀行が続々と誕生したが。

このトリプルバレルの人たちも名前を書くたびに、かったるい思いをしているのだろうか? 
「お申し込み用紙のここと、ここと、ここにお名前をご記入ください」などと言われると、他の人の3倍も時間がかかる。名家に生まれるのも楽ではない。

投稿者 lib : 09:25 AM | コメント (2)

January 24, 2007

英国の結婚式(その1)

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ダーリンの従姉妹の結婚式に参加のために、ダーリンとともに田舎に帰った。
従姉妹は、35才。ロンドンのIBMでキャリアウーマンとして働いていた。
結構仕事が出来たようだが、数年前に故郷に帰り、
なんと幼なじみの酪農をしている人と結婚することになったそうだ。
ロンドンは人間味がないとか、冷たいとかで肌が会わず、多くの若者が故郷に帰る。
彼女もその口で、やはり家族とは離れて住みたくないそうだ。ふーん。

田舎での結婚式は、たいてい教会で式をあげ、披露宴をホテルやレストラン、パブなどで行うことが多い。
従姉妹は、家の近くの教会で式を挙げた。
入り口には、たくさんの白い花で作られたアーチがあり、いたるところに大きく花が生けられ
かなり豪華な結婚式のようだ。
さらに花嫁の付き添い(ブライドメイド)と花婿の付き添い(グルームスマン)が各3名とすごい。
結婚式は、花嫁側が払うというシステムだから、教会に飾られている花のボリュームや参加者の服装で、
この家族の経済状態がわかる。
ブライドメイドのドレスだって、オーダーメイドで花嫁側が支払うのだから、
数が増えればその分出費も増える訳だ。
さらに式の始まる前と終わったあとの音楽として、フルートの演奏者もいる。
参加者も結構お洒落をしていて、豪華な帽子や髪飾りを被っている人も多い。
どうも、従姉妹の家は小金持のようだ。

教会にひと際目立つ、世話焼き風のおばさんがいる。
あっちこっちに行き、みんなといろいろ話をしたり、式が始まる前からスナップ写真を取っている。
聞けば、ゴシップ好きの近所の人だそうだ。
こんな人と話すときは、注意が必要。
話題のない田舎町では、うっかりこんなオバさんに色々話すと、明日は皆が知っていることになる。
そして、 大きなフラッシュが付いた一眼レフを持ったカメラマン?風の人もいる。
ともかく参加者も150名ほどいて盛大な式のようだ。

我々は、親族なので花嫁側の前から3番目に席が用意されている。
席につくとやあ、やあ、しばらくと挨拶が交わされ、その度に義理ママが私を紹介する。
ただ、 NICE TO MEET YOUと 笑顔で答える嫁を演じている私だ。
私の出で立ちは、着物。だから、皆が興味津々。

さてさて、いよいよ、式の始まりだ。
神父の第一声は、
「みなさん、よかったですよ。花嫁が到着したので、結婚式が始められますねー。」
陽気な神父だ。

父親と腕組みをした花嫁が祭壇の前に進む。ブライドメイドも後に続く。
ちょっとふくよかなブライドメイドがきた。あっ、従姉妹で花嫁の妹だ。これは仕方がないなー。
ううっ、2人目はかなりのおデブちゃんだ。
これは、ちょっと勘弁してほしい。
肩を出し、ウエストを締めているので、体型がすべてでる。
みんな花嫁をみてうっとりしているのに、このブライドメイドはちょっとマイナスではないのだろうか??
と思うのだが、花嫁はいいのだろう。きっと親友なんだろうなー。

日本と違うのは、英国ではすぐに挙式できない。
この人とこの人が結婚しますと、2~3週間程度の告知をしてから、入籍が可能となる。
これは重婚を防ぐためと聞いている。
式の間でも、神父がこの結婚に異議のあるかたはいますか?と形式的だがみんなに聞く。
いつもここで、誰かが異議有り!!なんて叫んでくれると、
面白いなーと思うのだが、そんな映画みたいなことは一般には起こらないようだ。
時間にして約30分程度で式は無事に終わった。
さて、これからはレセプション会場へ移動するようだ。(つづく)

投稿者 lib : 10:33 AM | コメント (2)

January 23, 2007

ビッグ・ブラザー騒動に思う

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前回「外国人を国に受け入れることに関して、イギリス人は懐が深い」と書いたところでビッグ・ブラザーの人種差別騒動だ。
ジェイドのお陰で私の書いた事にまったく信憑性がなくなってしまった。
私もチャンネル4に苦情を寄せたい気分である。

先週一週間は新聞もテレビもこの話題がトップニュースだったし、ブレア首相やゴードン・ブラウン財務大臣までコメントを出すなど、外交問題にまで発展しそうな勢いだった。
ジェイドごときの発言でこの大騒ぎ・・・イギリスも平和なのね・・・。

イギリスは国レベルでは外国人にとても寛容だけど、個人レベルでは、そりゃーいろんな人がいる。
外国人の経営する商店のシャッターは落書きだらけだし、学校で非白人の子供がイジメられるのは定番だという。

今回の事が、こういった悪ガキ(なんて可愛いもんでもないが)を再教育する機会になればいいとは思うが、反社会的な行動をしたりイジメをしたりするのは、大抵最低クラスの生活をしている子供達だ。(生活レベルから見たイギリスの「最下層」は、移民ではなく、ホワイト・ブリティッシュなんだそうだ。)

ジェイドはイギリスの最下層から伸し上がり、その奇行が面白がられてメディアに持ち上げられ、一気にセレブ入り?したはいいが、この事件により殆ど国賊扱いだ。
有名になってから800万ポンド(約16億円)を稼いだらしいが、今後メディアから干されても、資産を計画的に運用して一生安穏に暮らすようなキャラクターにはとても見えないし、一度脚光を浴びた芸能人が落ちぶれてたどる典型的なルート(酒びたり→アル中→ヤク中→更正施設を入ったり出たり)で、別の意味でゴシップ誌を賑わしそうな気もする。
ジェイドの生い立ち(生まれた時から父親はム所暮らし、母親はドラッグ中毒)や今回の騒動を見ていると、彼女もまた英国社会の犠牲者、という気がしないでもない。

ジェイド自身も「私は人種差別主義者じゃない」と言っていたが(リオ・デ・ジャネイロをサッカー選手の名前だと思っていた彼女も、『人種差別は悪い事』というアイディアはあるらしい)、TVを観ると、単なる3バカ娘が、女王様キャラのインド人女優シェルパを「ウザい」と思いつつ、容姿、育ち、教養などではかなわないので、彼らが優位に立てる唯一の英語や、アクセント、文化の違いを持ち上げてイジメていたように見える。

「インドでは、あ、中国だっけ?手で食べるんでしょう?どこを触った手か分からないわよね~」とか、
「あの子の苗字、覚えられないのよね~。シェルパ・ポッパダム(インドのクラッカー)だっけ?」とか、はっきり言って小学生が、「お前の母ちゃんデ~べ~ソ~。」と言うのと同レベルである。こんなデベソ発言にトニー・ブレアが(以下略)

ちなみに、今回の番組への出演で、シェルパに支払われるギャラは、30万ポンド~35万ポンド(6千~7千万円)だと言われている。そんな金額が貰えるのならば、私だって
「あの中国人・・・え?日本人?だって日本は北京の首都でしょ?まあ、どっちでもいいんだけど~、あのコの苗字覚えられないのよね~。ケイコ・テリヤキだっけ?」
などと陰口を叩かれても全然こたえないな~、と事の本質から全然ずれた妄想をする私だが。

イギリス政府は、もう少し公平な富の分配に努めてほしいものである。
セレブに払う金が、どこかにそんなにあるのなら、底辺にいる人たちがその生活から抜けられるようにできる工夫をすることに回してほしい。そうすればウチの車の窓ガラスが割られる確立も減るってもんです。


投稿者 lib : 11:34 AM | コメント (2)

January 22, 2007

Profit Rate

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渡英してから数年後、短期間集中型のプロジェクトがあり、毎
日朝から23時まで(をチームの約束事にした)仕事をする生
活が半年間続いた。若かったし集中力は継続できた。プロジェ
クトの終盤を向え、週末イベントを控えて念入りに仕込みを進
めたが、土曜日の当日、病院行きとなってしまった。腕に斑点
が現れ高熱を出してしまったのだ。仲間が大いに頑張ってくれ
てこのプロジェクトはうまく完了した。

さて、このプロジェクトの後、僕は急速に体力の衰えを感じ始
めることになる。長時間仕事を毎日続けたのが原因とは思って
いない。単にタイミングなのであろう。皆、ある年齢になると
急激に体力の減退を覚えるという。僕の場合は他人よりちょっ
と早かったようだが、ではその後さらに体力減退しているかと
いうと、そうでもない。今から5年前とさほど変わっていない
ような気がする。気がするだけかもしれないが、自分の体は自
分が一番知っているつもりでもある。

帰省兼ビジネスで日本に飛び、現在東京に滞在している。4階
の窓から下を眺めると、ジーンズ等を売っている店がある。店
の周りに旗を沢山ならべて、なかなかにぎにぎしいが、24時
間年中無休という旗も立っている。服屋が24時間開いている
のは確かに便利な時があるのかも知れないが、もし東京の何処
にも24時間営業のジーンズ屋がなかったとしても、さほど困
ることは無いように思う。むしろ、夜中の売上がはたしてどれ
程のものになるのか、人件費や光熱費を費やして、はたしてど
れだけの粗利率になるものかと心配してしまう。

郷里の函館に2日間滞在し、親兄弟や友人達と久しぶりに楽し
く談話をした。友人は30歳の頃、毎日朝8時から夜中の2時
まで仕事をし、それが3年間続いたそうだ。壮絶なものではあ
るが、似たような話は日本ではどこでも聞く。長時間働くこと
が一つのステータスになっている、というと言い過ぎであろう
が、これだけの長時間を費やさないとビジネス社会で競争でき
ないというのは、あまりに知恵が無いと言ってもよいのではな
いだろうか。高度成長を経て、日本は現在確実に低成長・安定
期に入っているのだから、もう少し知恵を絞って時間をかけず
に利益率を上げる努力にも時間を割いたほうが良いのではない
か、などというと高度成長を支えてきた先人や猛烈社長さん達
からお叱りを受けるだろうが、今回の旅の正直な感想である。
時代時代の経営をすべきではないか。

以下蛇足ながら。前述のプロジェクトは10年前の事だったが、
あまりの忙しさに会社にアルバイトを入れてもらえるようお願
いした。当時英国にて遊学していたうら若き日本人女性が雇わ
れ、現場事務所で僕に平気でこき使われていた。半年間の勤務
の後、日本に帰っていったが、縁というのは実に不思議なもの
である。この歳で誠に赤面ものだが、10年続いた僕の独身生
活がピリオドとなりそうだ。

投稿者 lib : 12:59 AM | コメント (4)

January 18, 2007

ロンドン塔でスケート

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会社の主催でアイススケートの会が開かれた。場所はロンドン塔の外堀 (水はない)に設えられた屋外スケートリンクである。団体用滑走券は1時間で10ポンドだが、そのうち参加費として5ポンドが個人の負担。一般料金はもっと高いかもしれない。

うちの会社はロンドン塔まで歩いて5分。5時半ごろから参加者は次々と着替えを始めた。
ジーンズにセーターとスポーツジャケットという姿であるが・・・。
女のほうはともかく、男の同僚のカジュアル姿のダサいこと、ダサいこと。
さっきまで 「シティのクールなビジネスマン集団」だったのに、今は 「ド田舎のむさ苦しい青年団」に成り下がっている。やだなあ、こいつらの服装センス。

私はイギリス男の 「ディナージャケット」と 「ビジネススーツ」は世界トップクラス(おしゃれ着はイタリア男やフランス男に負けるだろうからね)と個人的には評価しているのだが、彼らの 「カジュアルウエア」は世界最低グループに入れている。

アイスリンクまで数人の同僚と歩くのに、
「どうしたの? 珍しく静かだね」と言われたのは、
(寝ぼけた服を着た男たちと一緒に歩いているのを見られたくない)という思いがあったせいである。なるべく彼らから離れて足早に歩く。

タワーヒルの駅から地下道に下り、ロンドン塔に出るとスケート場が現れた。
ロンドンの冬の夕暮れ、ナイター施設の照明にアイスリンクはキラキラと輝き、まるで湖のようである。なんてロマンティックなんでしょ!

・・・と思ったのは浅はかで、湖のように見えたのは、実際に 「湖」状態だったからだ。
氷の表面を覆った水に 「さざ波」が立っている。
あの水たまりの上をすべるのか? ここで全員の腰がひける。

アルミのフレームにガラス戸、天井はビニールシートで、風が吹くと 「震度5」という仮設テントに入ったのが6時。早速、同僚はその中にあるバーに群がり、ビールだ、ジントニックだと飲み始める。

こら、スポーツ活動の前に酒を飲むな!

スケート靴を借りに並んだ。イギリス人のスタッフが暇そうにブラブラしているのに、混雑している貸し靴コーナーでは、東ヨーロッパ系らしいアルバイトが走り回っている。
その昔、植民地の労働力をイギリス人は搾取してきた。このごろは東ヨーロッパからの出稼ぎを働かせて、自分たちは遊んでいる。
大英帝国の頃の悪い癖がまだ抜けていないようだな。

さて、いよいよスケートだ。
実はこの日を楽しみにしていた。小学生のとき、スケートは得意だったのだ。
恐る恐る、氷の上に上がる。おおー、こわい。
私が小学校のころなんて、昔も昔、まだ男の人はチョンマゲを結ってたくらい昔の話だから無理もない。

運動神経は悪いくせに、イギリス人には妙に強固なチャレンジ精神がある。 
「スケート、生まれて初めて・・・」 と言いながらも、怖がらずに一生懸命やっている。
「子供の頃、スイスイ滑ってたんだよねー」と威張っていた私の立場はどうなるの?

手すりにしがみつきながら、一周する。まるで、シベリアの永久凍土の氷原を100kmも踏破したみたいで、足の筋肉がカチカチになった。
「ちょっと休憩・・・」とリンクから出る。

シティのビジネス街の高いビルを背景に、片側はテムズ河、一方は首をはねられた受刑者の怨念がドロドロとこもるロンドン塔・・・というユニークなロケーションである。
心細げな女の子を支えながら滑る男の子がいて、銀盤の初々しい恋人たちという雰囲気。
スーツ姿のままで滑っているお兄さんもいた。ころばない自信があるらしい。

いつまでも見学していてもしかたがない。もう少し滑るか、と思った瞬間、女の人が転倒して、後頭部を打つ。どこから現れたのか、赤いユニフォームの係員が彼女を拉致して・・・いや、助け起こしてリンクから連れ去った。
思わずテント内に逃げ戻り、その後の飲み会までこっそりと待機することにする。
なんだか悔しいなあ、思うように滑れなくて。

スケートが終わり、パブのドリンクではいつものきりっとしたビジネススーツ姿ではなく、田舎臭いジャージ姿の男たちに囲まれる。
「きょうはおとなしいじゃん」と言われたが、
(老けた貧乏学生みたいな格好の男たちと一緒に飲んでいるのを見られたら、私の評判にかかわる)といつもより口数も少なく、同僚から距離を置くのに必死な私だった。

投稿者 lib : 09:20 AM | コメント (0)

January 16, 2007

里帰り(その2)

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最近、ともかく飛行機に乗るには、セキュリティチェックが 頭の痛い所。
12月のあの列は凄かった。日によっては靴を脱げと言われたりするらしいが、
コートも脱ぎ、ジャケットも脱ぎ、いつかはヌードにならないといけないのかもしれないな。
荷物は1つ。これも結構うるさかった。
あるアジアの女の子は、ハンドバックと手提げ鞄を持っていた。
ラップトップを持っているらしく、2つの荷物になってしまったらしい。
「この飛行機に乗らないとこまるのよー。」と半泣きで頼んでいた。
注意した係員もともかくはみ出してもいいから1つにして。
とさすがにいい加減な英国でもこれは守らせていた。ふー。疲れるね 。

次にパスポートコントロール。
出国する時は問題ないが、 レジデントのピザを持つ私でさえも帰国はいつも緊張してしまう。
スムーズに入国できなかった事件は以前書いたが、私にはどうもトラウマになっているらしい。
知り合いは、ともかくバシッとした身なりをしていれば、いつもなんの質問もされないよ。自慢していた。
まあ、 私に限らず外国人の我々は、いつもこの関所越えはできればないほうがいいと思っているだろう。
そんな関所アレルギーの方に朗報です!!
帰国時がラクラクのアイリス(先週「ご存知」で紹介)を試してみました。

出国する際に、私のパスポートをパラパラとみて、
「あなたは、ちょくちょく海外に行くのでしょう?だったら、アイリスに登録したら?」と言われた。
アイリス??それってなに??
すぐ横に小さな部屋があり、ここで登録できるという。
面白そうと登録してみることにした。
視力テストのような機械で眼球の虹彩を撮影するそうだ。
そのデータとパスポートのデータでどうも私という情報を作るらしい。
時間としては、5分で登録終わりだ。
あまり人気がないのか、誰もいなかった。
英国人用には、もっと高度な?指紋と一緒に認識する登録もあったようだ。
ダーリンも登録してみようとしたが、パスポートのタイプが古くて無理だった。
残念。

さあ、日本からヒースローに着き、いつものパスポートコントロールの場所に行くと,
EU, NON-EUとIRIS(アイリス)と書かれたコーナーがあった。
やったー!!誰も並んでいない。

さっそく登録時にもらって読んだパンフレットを思い出し、ゲートに入った。
途中に眼球を確認する機械がある。
そこを見つめていると、私と確認できたのだろう、ゲートが開いた。
その所要時間1分。
例のパスポートコントロールのオジさんやオバさんの「あなたここに住んでいるのね?」という質問は一切なし。こんな気持ちのいい関所超えは初めてだ。
EUの列に並んだダーリンを見ると、まだ、キューの中。
やったー!!私の勝ちだ!!!?

快適なので、みなさんもぜひ登録してみて。
詳細はwww.iris.gov.uk

最近のニュースでどうもこのシステムに信頼性がないということで、導入を決めた労働党が批難されたらしいが、続けてほしいなー。
このシステム、

投稿者 lib : 05:16 PM | コメント (2)

イギリス人て、なんだ

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前回も書いたが、年末にポルトガルに行ってきた。
一週間のホリディを終え、ポルトガルを出国する時のこと。

パスポート・コントロールで家族3人分のパスポートを渡した。
EU内ではイギリスのパスポートは殆ど見ないが、日本のパスポートは割とじっくり見られる。
見られても普段はノー・クエスチョンで通してもらえるのだが、この時は違った。

係官は、私のパスポートを何度も何度もめくり、腑に落ちない顔をし、私にこう聞いてきたのだ。

“Is your husband English?”

この質問にはぶっ飛んだ。
「あなたの夫はイギリス人ですか?」・・・・・・
極めてシンプルな質問だが、人が「イギリス人」という場合、二つの意味がある。

① 国籍がイギリスの人
② 人種がイギリスの人

出国係官が興味あるのは普通に考えれば①の意味だろうが、彼は私のパスポートと共に、夫と息子のブリティッシュ・パスポートも握りしめているのだ。
夫がイギリス国籍であることは火を見るより明らかだ。

ならば②の意味?
だけど・・・私の横には、どこから見てもオリエンタル顔(夫は中国人、あ、人種的には)の夫がやはり言葉を失って立っている。
彼を見て、どうしたらて
「あなたは(人種的に)イギリス人ですか?」
という質問がでるのだ。

到底Yes、Noでは答えられず、予想外の質問にただただ絶句し立ち尽くしていると、

“Is your husband English?”

ともう一度聞かれた。

「ええと・・・彼は香港で生まれて13歳の時にイギリスに来ました。イギリス生活が長いので、英語は流暢だしイギリスで仕事をし税金も払っていますが、気持ちはいつまでもチャイニーズです。その証拠にチャイニーズ・ニューイヤーはかならず祝うし、勝負ネクタイは必ず赤です・・・。あ、好きな食べ物はダックです。」

と長々と説明したくなったが、彼がそんなことに興味もないだろうと思い直し、

“Uh….He is a British Citizen”

と答えた。

彼は「フム」と小さくつぶやき、そのまま私たちを通してくれた。

自分も普段怪しげな英語を話していて、ネイティブでない係官の英語を責めるつもりは毛頭ないが、こういう時、イギリス人ならば
“Is your husband a British citizen?”とか
“Does your husband have a British passport?”
とか聞くだろう。

夫もその一人だが、イギリスには、イギリス人(②の意)に見えないイギリス人(①の意)が沢山暮らしている。
中国系、インド系、アフリカ系・・・皆①の意味ではイギリス人だ。

日本語では「イギリス人」と一括りにするが、イギリス国内では①の意味と②の意味を分けて考えるので、例えばアジア系の人に“Are you English?”という質問はあり得ない(と思う)。

まあ、一般的にイギリス人と呼ばれる人たち(先住民)だって、歴史を見れば色んな人種の混血なのだから「純粋なイギリス人」なんていないのだろうが、先住民の人達は移民がイギリス国籍をとろうが、彼らを「イギリス人」だとは思っていない。

移民だって自分達を「イギリス人」だとは思っていない。
夫も、イギリス国籍になってン十年だが、自分を「僕はチャイニーズです」と当たり前の様に言う。

日本語の「国籍」という言葉には、「身も心も日本に捧げます」というニュアンスが漂うが、イギリス「国籍」を取得した人達は、「たまたまイギリスの場所を借りて住んでいるだけ」という感じがする。
だから「ブリティッシュパスポートを持っている」という表現になるんだろう。
先住民も同じ様に思っているから、二重国籍を当たり前の様に認めているんだろうな。

②のイギリス人は、①によりイギリス人になった人をイギリス人だと思っていないが、(ああややこしい)それでも異質なものを受け入れる懐の深さを持っている、と思う。

投稿者 lib : 01:46 PM | コメント (0)

January 13, 2007

Cash

shacho.gif

数年前に会社を作ろうと決心した時に、こらあかん、と思ったのは
会計のことだった。損益だとかバランスシートだとか全く知識がな
い。できあがるであろう会社の財布は、結局僕が握るんだというこ
とに気付き、はじめてゾッとして、翌日本屋に出かけなるべく分か
りやすい3冊を仕入れた。なにしろ会計のプロを雇うなんて不可能だ。
更に会計ソフトを購買し、架空の会社を作って、架空のトランザク
ションを入力して、PL/BSにどう現れるのか練習を重ねてみた。技術
屋的なアプローチなのだろうが、これはなかなかワークし、減価償
却とは何ぞや、発生主義とは何ぞや、VATとは結局だれが負担してい
るのか等々、良い勉強となった。会計の世界は技術の世界と同様、
大変システマティックなのだなあと思ったし、意外としっくりきた。

毎年のことだが、師走から年頭にかけて当社のキャッシュが極端に少
ない状態となる。今シーズンも相当厳しく、年末から数週間、銀行口
座に3万ポンドという状態が暫く続き、ちょいと緊張が続いた。売上
高 1/100のキャッシュのみで数週間凌ぐのはエキサイティング、など
ということは過ぎてから言える事であって、実際には毎回胃の痛いも
のである。とはいえ、クライシスを乗り越えた後には、ちょいと自分
を褒めて上げたい気分を3分間だけ味わうだけの達成感がある。会社
の財布は確実に守らねばならない。受注が山のようにあるのに倒産
する会社が山ほどあるらしい。毎日Profit and Loss を眺め、Bank
Recoincileをこまめに実施し、キャッシュの先行きを常時気配りし
ないと、小企業はあっという間に不渡り。

個人の家計もしっかり守ればよいのだろうが、どうもこちらは興味
がないのか、からっきし駄目である。

本年度の予算が確定し、早速課長会を開いた。殺人的な数字の羅列で
あるが、特に文句はでなかった。もしかしたら達成できると思ってい
るのか、まったく見たことも無い数字にボーっとしているのか、その
あたりは分からないが、通った予算は知恵を絞って力強く行動し達成
したい。

さて、明日は日本に飛ぶ。前から欲しかったRimowaの4輪ケースを入
手し、ぼちぼちパッキングを開始した。ポンド高がちょいと嬉しい。
いってきまーす。

投稿者 lib : 07:55 PM | コメント (2)

January 11, 2007

今年の運勢と抱負

career2.gif 
2007年である。「今年の抱負」のつもりで、つい、「今年のホース」と打ち間違えてしまい、年初から、これからの1年に暗雲を見たような気分だ。

海外に住んでいて何が冴えないって、お正月の盛り上がりに欠けることである。
「紅白歌合戦」に続いて 「永平寺の除夜の鐘」と 「年越し蕎麦」を食べながら、正統派のおおみそかを過ごしている親に電話をするのが、時差の関係でイギリス時間の午後3時というのも雰囲気が出ない。

イギリスでは真夜中に 「ビッグベン」の大時計がテレビ中継され、カウントダウンが終わると 「ロンドンアイ」で花火が上がり、車がクラクションを鳴らす。
・・・で、「新年のお祝い」はおしまい。
クリスマスでエネルギーとお金を使い果たしてしまい、厳粛なる年の初めをダレた態度で臨むイギリス人も気に入らない。

私は真空パックのお餅で 「お雑煮」はなんとか確保したものの、「初詣で」も「おせち」も「お年玉」もない新年だ。つまらないなあ、特にお年玉のないのが悲しい。

さて、今年の運勢はどのようなものか。

あちこちのウェブや雑誌でいろいろと調べてみる。
生年月日の数字をすべて足し、偶数年、奇数年に分ける。で、それを7で割って、円周率(嘘)を掛ける・・・みたいなのをやってみた。
占いのツールは普通、水晶玉やタロットカードだが、カシオの電卓というのも渋い。

私の運命数 「あなたは人に気を遣い、自分が犠牲となるのを厭わない人です。恥ずかしがりやなので、異性と口をきくことさえできません。もっと、自分に自信を持ちましょう。そうすれば運が開けます」というのが出て、一緒にいた友人は床に倒れて笑い死にしそうになった。
うーん、私の性格とは若干の相違点が見られるようだ。

やはり西洋占星術が一番好きなので、これを中心にチェックする。
しかし、占い師によってずいぶんと違うことを言っているな。すべてがうまく行くというラッキーなのから、何をやっても空回りで結果は来年まで出ないとか。

別の銀河系の星を見てるんじゃないのか?

今年は恋愛関係がダメらしいが、まったく気にしていない。なんせ数年前に 「恋愛、結婚運が悪い30年周期の中にいます」という運命を見たばかりである。
・・・30年周期って。

ま、これは考えようではめでたいことである。
素敵な人と知り合ったと思っていたら、実はその人の性別が女だったり、すごいハンサムから話しかけられてうっとりしていると、その男から 「マルチ商法の肌がけ布団」を勧められるとかしても、すでに運の悪さは予言されていることなので気にならない。

こんな時期には気に入った人がいればバシバシ声をかけ、次々とデートに出かけて楽しめばいい。どうせ、恋愛はうまく行かない星まわりなのだから、だまされたり、ふられたりしても本人が悪いのではなく 「運命」のせいである。好き勝手しても自分に責任はないという気楽な年と思えばいい。

逆に、「今年こそ、運命の男性に巡り会います。あなたの魅力にひれふした彼は今年中にプロポーズをするでしょう」なんて書いてあったとする。
で、会う男、会う男がとんでもないスカだったり、誰からも相手にされなかったりすると、12月31日の夜8時には、
(結局、おめでたい話は全然なかった。なぜ? なぜ? なぜなの?)とがっくりしてしまうだろう。
(でも、後4時間ほど残っているわ。外に出て、白馬に乗った王子様を待ってみようかしら?)とせつなく考えるかもしれない。

ところで、そのほかの目標はどうしよう?

同僚に、「今年の抱負はねえ・・・」と言いかけると、「ダイエットして、痩せること?」と即答され、(この女、読心術ができるのか・・・?)と一瞬思ったのだが、よく考えると、毎年毎年、同じことを私は言っているのだった。

ここ数年間、体重は一定。2年前からランチタイムにほぼ毎日スポーツジムに通っているのだが、体重は減らない。もしかして、どこかの魔女に 「痩せない呪い」をかけられているのではないだろうな。

それとも、やはり30年周期でダイエット運が悪いのだろうか? 気になるところだ。

投稿者 lib : 09:37 AM | コメント (0)

January 10, 2007

里帰り。(その1)

darling.gif
日本に里帰りをしていた。
当たり前だが、着いた瞬間から日本語でうれしい。
しかし、数年を英国で過ごしていると、イヤでも英国の生活習慣が身に付いている。
人にぶつかった時には、 無意識にsorryと言ってしまった。
人の視線を感じて、『え!!何かヘン?』『あ!!いけない!ここは日本だ。』
・・・・・・・・・・
電車に乗る時は、しっかり切符を買うのに、改札の前にくると切符を探さず、
オイスターカード(加金もできる定期)を探している自分に笑ってしまった。

しかし、地下鉄の床が綺麗だ。ピカピカしている。うっ!!目が痛いぜ!!
さすがだ。
うらやましい。

多くの飲食店で働いている “外国人”を見かけた。
一生懸命に働き、日本語を話していた。でも、イントネーションがちょっとヘンだな。フムフム。
あれ、もしかして、これは我々が英国で働いている立場と同じじゃない?と思うと
なんだか急に応援したくなった。

地下街のファッション店で、セーターを買った。8900円だった。
うーん、安いな。デザインがいいな。可愛いな。ウキウキ。
できれば、ここからここまで全部ちょうだい。と言いたいところだ。
購入後、商品が入っている袋を持とうとしたら、
定員が『お出口でまで、お持ちします。』という。
え、お出口って、たった3メートル先じゃない??
その上、たった8900円なのに、『ありがとうございました』とお礼も言われてしまった。
この丁重?なサービスには、無愛想な英国のサービスに慣れきった
私にはちょっとこまってしまった。

沢山の小銭を道にバラまいてしまった。
数人の人が通り過ぎたが、無視。
あるオバさんは、『ここにも落ちているわよ。』と指差して行ってしまった。
ああ、ロンドンなら誰か拾ってくれるのになーとちょっと淋しかった。

今年は、暖かい冬だったが、風邪を引いている人もいるようだ。
マスクをしている人が多い。しかし、マスクをつけた人を一度に沢山みるとちょっと不気味だ。
最近は、 立体的?なマスクをつけている人が多いせいだろうか。
昔、はじめて東京に来たフランス人がお土産に、マスクを購入していたが、
なんだか今、納得した。
ちょっと変な光景だ。

電車はいつでも混んでいるな。なんだか以前よりもっと混んでいるように感じた。
人身事故も多く、特にクリスマスの日には3件もあり、東京の電車は乱れていた。
ある日電車に乗ると、『本日は、○○のため電車が遅れまして申しわけありませんでした。』
とアナウンスがあった。よく聞いているとそれがたった3分なのだ。
たった3分でこのアナウンス。ロンドンの地下鉄も見習ってもらいたいなー。
でも、いいよ。3分ぐらいの遅れでそんなに謝らなくても。
英国に住むと寛大になれるものだ。

投稿者 lib : 10:04 AM | コメント (5)

January 09, 2007

明けましておめでとうございます

tophum.gif
ここロンドンでは、お屠蘇気分はあっという間に消えていく。
何しろ仕事始めが1月2日だ。とは言うものの、我が家は
渡英後初のお正月を日本に帰国して過ごした為、
年始は有休を取って1月4日から出社した。
紅白にお節に初詣。実家では大雪に見舞われ、息子は大興奮。
日本の良さを再認識し、充実したお正月を過ごすことができ、
家族全員大満足。
こうして穏やかな新年を迎えた我が家であったが、昨年末の忙しさは
今思い出しても 遠い目になってしまう。

連日のパーティーに飲み会。よく内臓が持ちこたえてくれた。
その数々のパーティーのうちの一つに社内のクリスマスパーティーがあった。
このパーティーは我が家にとって始めての「夫婦同伴のパーティー」であった。
駐在するとこのような機会があると聞いてはいたが、
その機会は案外早くやってきた。私は「行く行く」と幹事に二つ返事であったが
妻に「行くよね」と尋ねたところ・・・そこから妻の一大事が始まった(らしい。)

まずは4歳の息子をどうするのか。今まで夜親から離れて寝たことなど一度も無い。
幸い近所に住む先輩がよく頼んでいるという日本人のシッターさんが
3家族、計4人の子供たちを一緒に見てくれることになり 一件落着。
別れる時はエビ反りで号泣の息子であったが、夜中1時に迎えに行った時には
ぐっすり熟睡。後日感想を尋ねたら「みんなで寝て楽しかったよ」と余裕の発言。
しかしこんな事はもう二度と真っ平ごめんだ、というのが本当のところであろう。

そして妻。洋の東西を問わず女性がパーティーに出席するとなれば
その最大の関心ごとはズバリ「ファッション」である。「である」などと偉そうに書いているが
幹事に二つ返事の時点では、私の頭の中には 妻の衣装のことなど
これっぽっちも浮かんではこなかった。
妻にパーティーのことを伝えてそこで初めて「で、みんな何着ていくの?」と質問されるも
どうも私の答えが的を得ていなかったらしい。
英会話の先生にも尋ねてみたようだが「パーティーには肩を出すドレスよ!
ミニかロングのどちらかね」などと言われ、妻は考えた。
肩を出すドレスなど持っていない。買いに行ったところできっとサイズが無いだろう。
(妻は・・・小さい。)
結局彼女は着物で出席した。自分で着たのだが、実はこの着付け
海外赴任が決まってから渡英するまでの数ヶ月間で、
気合で習得したようなもの。「付け焼刃」とは正にこの事である。
「途中で帯が解けて”あ~~れ~~~”とクルクル回ってしまうかもしれない」と
恐ろしいことを言っていたが、何とか最後まで回らずに済んだ。
あれだけ悩んでおきながら早くも来年が待ち遠しいなどと言っている。

今年も、海外赴任している時にしか体験できないことを
たくさん見つけて、充実した1年にしたいものです。
(ブログも充実させるべく・・・心入れ替えてがんばります。)

本年もブログにお付き合いのほど よろしくお願い申し上げます。

投稿者 lib : 03:16 PM | コメント (2)

霧のロンドン

mama.gif

年末に家族でポルトガルに行って来た。

出発は、英国全土に濃霧が立ち込めた12月21日。
前日から、各空港でフライトキャンセルのニュースが引っ切り無しに続いていたので、こりゃ、ダメかなーと諦めムードを漂わせつつも、荷造りを終え、床に就く。
当日の朝、ロンドンの我が家の窓の外も深い霧、ニュースでも相変わらず空港の混乱を報じている。
インターネットでフライト情報を調べてみると、意外にも私たちの飛行機は、通常通り運行とのこと。

半信半疑で、霧で見通しの悪いノース・サーキュラーをルートン空港まで車を走らせる。
チェックイン・カウンターで確認すると、「今のところ、遅れの予定はありません」とオレンジ色が目に眩しい制服のお姉さんが言う。これまた拍子抜けするほどスムーズにチェックインできた。

早めにゲートをくぐり、朝食をとりつつ時間を潰したが、予定時刻になってもスクリーンに搭乗ゲートの表示が出ない。
他のフライトも同様で、待合スペース内は混雑してきた。
人々の表情に疲れが見え始めた。泣き出す子供やカメラを抱えた報道陣も現れ、ニュースでお馴染みの「空港で立ち往生する人々の図」が目の前に繰り広げられた。
それまでおとなしくしていた息子も「早く飛行機乗ろうよ、早く飛行機乗ろうよ。」とぐずり出す。

「これは数時間待ち、いやキャンセルも覚悟しなければならないかも・・・・」
と思い始めた頃、突如スクリーンに私たちの飛行機の搭乗ゲートが燦然と表示された。

後光が射して見えたものの、「ゲートでまた待たされるかも・・・」とまたもや半信半疑で移動。驚いた事に、すぐに搭乗が開始された。
飛行機に乗ってからも相変わらずの外の霧を見て、「なかなか動かないかも・・・・」と心配しているうちに、機体は
「ゴゴゴゴゴー!」と爆音を上げ、濃霧の中を飛び立ったのだった。
時計をみると結局、45分の遅れですんだ。

ポルトガルはカラッと晴天、ホテルに着いてTVをつけるとBBCニュースが流れていた。
依然としてフライト・キャンセル続出でカオス状態の空港の映像が流れている。
疲れ切った人々の表情が痛ましい。
私達もこの中の一人になってもおかしくなかったのに・・・なぜか今は青い空の下。

狐につままれたようで、
「どうして僕~は~、ここにいるのだろう~。」
という布施明の歌(古すぎ)が脳裏にうずまく私であった。

ニュースでは、ヒースロー、ガトウィック、スタンステッドの映像が写っていたが、なぜかルートンのことには触れていなかった。ルートンは小さい空港なので、あまり混乱がなかったのだろうか。それとも業界ぐるみで私たちの飛行機が飛んだ事実は闇に葬ろうとしているのだろうか。(そういえば『逃げるように』離陸していたな)

兎にも角にも、濃霧をものともせず果敢にフライトを決行したオレンジ色の憎い奴、eジェットの英断に心より拍手を送りたい。(賠償責任を避けたかっただけと言う説もあるが。でも本当に危険な時は飛ばないでね)

=================
さて、社長さんも書かれていたとおり、年末に編集部が忘年会を開催して下さいました。
僭越ながら私も、他のブログ執筆者の印象を伸べさせていただきます。

ダーリンは英国人 - とてもお洒落で、素敵なお洋服と着こなしのセンスの良さにいつも感心します。働く女性+主婦の二役を華麗にこなしていらっしゃる印象。

キャリアウーマン - 巧みなトークで皆を抱腹絶倒させてくれる間にも、他人への細やかな気遣いが垣間見えます。芸術的センスと常識、豪快さと繊細さを併せ持った素敵な女性。

社長5年生 - くだけたお人柄で、少年の様な笑顔が印象的でした。IT社長で文才もあるって凄いですね。機械音痴の私にプチアドバイスをありがとうございました。

現役駐在員 - イラストよりもずっと若い、若いけれど落着いていて貫禄があり、誠実そうで、さすが日本経済を背負う駐在員。家庭では愛妻家、良きパパであると思われます。

私 - 脳がヌカ味噌化しつつある、ぐうたら主婦ですが、社会で活躍されている皆さんとお会いできてヌカ味噌に少し風が通りました。今年もよろしくお願いします。

投稿者 lib : 10:39 AM | コメント (0)

January 06, 2007

A happy new year.

shacho.gif

Christmasが4連休、年末年始は3連休だったが、どうも休んだ気
がしない。ちょっとしたビジネス判断の時期が迫っており、頭が過
熱気味である。加えて忘年会・新年会が毎日続き内臓も大分疲れて
いるらしい。本日は何も考えず酒ものまず、風呂と読書で一日無為
に過ごそうかと思う。

金曜は、当社非常勤取締役のトニーさんと午後を過ごした。彼は僕
の頭がもがいている時に必ず現れて、豊富な経験と鉄のような力強
い意志を大量のジョークと共に惜しみなく与えてくれる。ありがた
いことに、彼のようなビジネス経験豊富な英国人オヤジ数名が僕ら
のビジネスを常に見守ってくれている。吉田に過ぎたるもの二つ有
り、知恵の課長会と、静かなるオヤジ達、というところか。昨年は、
それぞれのスタッフが将来への手ごたえを多少感じてくれたと思う。
本年度も気を引き締めて計画通りの成長を達成したい。

さて年末年始は日本に帰省された方も多いと思う。今週は電車とパ
ブが比較的すいていた。ビジネス・フル稼働は来週からなのだろう。
ふと気付いたが、日本に帰省する際には、文字どおり日本に”帰る”
と普通は表現するだろう。が、渡英10年を超えるあたりになると、
日本に帰り、英国に戻るときにも”帰る”になる。どっちも”帰る”
なのが面白い。更に20年近くなると、日本へ”行く”になり、英
国に”帰る”と、まるであべこべになってしまう。所用にて来週末
から日本へ行き、実家にも顔を出してこようと思う。日本は飯がう
まい。ごく普通の朝ごはんが、味噌汁が、なんてうまいのだろうと
感激さえ覚える。それと、日本産ワインが評判良いらしく、これも
2年ぶりの日本の楽しみにしている。

今年もよろしくお願いします。

---
ところで、昨年暮れに編集部のご好意で忘年会が開催され、本ブロ
グ執筆者達が集まった。初めてお会いした印象(あくまで個人的な
もので、文責は全て私にあります):

子育てママ - 知的でかつ相当な美人、落着きと暖かさ。

ダーリンは英国人 - 素敵な感性と細やかな気遣いを笑いのオブラー
トで包むあたりはさすが。旦那さんとも久しぶりに飲みたいなあ。

キャリアウーマン - 文句なし、滅茶苦茶おもろい。文章が面白い
人は喋りも面白いというのは例外ない。感性、無尽蔵の想像力に脱
帽。

現役駐在員 - えっ若い!このアイコンは偽りです。素敵で太っ腹
なエリート駐在員。

電気屋のオヤジ - ただの酔っ払い、大変失礼しました。。。

一同、2007年もLiBブログを盛り上げることを誓い乾杯しました。
今年もご愛読・活発なコメントをお願いいたします。

投稿者 lib : 10:38 AM | コメント (1)