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February 06, 2007

その後のシルパ

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すでに過去の話題になっていると感じつつも、今週も懲りずにビッグ・ブラザーの話題で引っ張ります。

と言っても、番組が終わってから、メディアからは「人種差別」の「じ」も聞かなくなってしまった。
つい2週間前に「メディアが騒ぎすぎ」と言った舌の根も乾かぬうちに、ビッグ・ブラザー騒動が全く忘れ去られてしまった事に、一抹の寂しさを覚える私である。

と思ったら、土曜日のタイムズ紙で懐かしいシルパの顔写真を見つけた。
番組が終わったのは1週間前のことなのに、すでに「あの人は今」の風情である。
シルパが登場したのは、My Week というコラムで、毎週、有名人の一週間を日記風に綴ったものだ。(ライターが書いたもので、もちろん架空)
要約してご紹介すると、

月曜日 自由になった初日。召使が持って来た新聞を読むと、一面に私の名前が。私は高貴で文化的なイギリス人に愛されているのね。なんて素晴らしい事かしら!インドから飛んできたエージェントが言う。「シルパ・シェティの時代が来たぞ!」

火曜日 エージェントが言う。「本物のブリティッシュ・セレブリティの様に振舞えるようにしなくては。」「プリンス・チャールズへのお辞儀の仕方とか?」「いや、バカルディ・ブリーザーを酔いつぶれるまで飲んで、カメラマンの前で失態を演じられるようにするんだ。」

水曜日 「グッド・ニュース!いい仕事が来たよ。」エージェントの声で起こされた。「エリザベス一世?高慢と偏見?」「いや、パントっていうんだけど、ボーンマスで演るんだ。馬の足の役だよ」

木曜日 ジョーダンという女性とナイトクラブで喧嘩したり、ラッセル・ブランドと寝たと言い触らすと良いと、エージェントにアドバイスされる。私のキャリアのためになると言うけど本当かしら?

金曜日 「雑誌で脱いだり、フットボーラーとデートしたり、車から降りるときに下着を見せなければ、本当にイギリス人に愛されることができないの?」エージェントの答えはイエス。「でもここは、世界一教養高いとされている国じゃないの?シェークスピアやジェーン・オースティンの生まれた土地よ!だけど国民はアホだらけだわ!退化した俗物の単なる大酒飲みじゃないの!犬の方がまだましだわ!」
エージェント曰く、私の言った事は人種差別にあたるとか。知った事じゃないわ。

最後のオチで笑った。
支配した側と支配された側、という歴史が勿論あるけれど、有色人種が白色人種の悪口を言っても、人種差別にはならないんだよなあ。

人種差別かそうでないかの線引きって難しいけれど、同じ事を言っても、その対象や自分の置かれている立場によって、微妙にニュアンスが違ってくると思う。
イギリスにいる日本人は差別される側、する側どちらにも成り得る可能性があるだろう。

例えば「イギリス人て仕事遅いよねー」と言っても、皆笑って同意するだけだけど、「インド人て仕事遅いよねー」と言ったら差別発言ととられるだろう。(実際に数年前、問題発言の多い某王室メンバーがこの発言をして騒がれたことがあった)

イギリスに長く住んでいる日本人からも、割と不用意な発言を聞いて驚く事がある。
以前、初対面の日本女性と話していた時に、夫はチャイニーズだと言うと、
「え?本土から?」と聞く。香港だと言うと、
「ああ、それなら香港チャイニーズと言った方がいいわよ。でないと、本土からの人と勘違いされちゃうわよ」
と、非常にビミョーなご助言を頂いた事が合った。

また、他の、イギリス人と結婚している女性からは
「中国人は日本人を上だと思っているから楽でいいわね。イギリス人は日本人を下に思っているから大変よ」と言われたことがある。彼女の経験から出た本音だったのだろうが、かなりびっくりした。

中国人同士でも差別はあるようで、香港で現地の友人と話していると、何気に本土からの人たちを見下しているような雰囲気を感じた。(本土からの人が道に唾を吐きすてるなどのマナーの問題も確かにあるのだが。)

そういう私も、日本にいた頃、フィリピンパブで働くお姉さんの口真似をして、(実際にそう言うのかも知らないのに)「シャチョさん、シャチョさん」などとふざけた事があった。自分がマジョリティだった頃、マイノリティの人たちの気持ちを考えようともしなかった。無知のなせる業である。今になって反省する。

そういえば、英国でのイジメの犠牲者シルパのお国インドは、カーストで明確な階級分けをしていた国だ。

人を差別したいと思う気持ちが人間の本能ならば、差別されたと感じた時に無視して受け流せる強さと、自分の気持ちの中にも潜む、他者を差別したくなる気持ちに打ち勝つ強さが必要なのかな。

投稿者 lib : February 6, 2007 09:58 AM

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