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February 27, 2007

イギリスのサービス業 バンク編

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先週のある昼下がり、家に一人でいると電話が鳴った。

電話をとると、「ハロー・・・」とテープで録音された声が聞こえた。
瞬時に「セールスだな」と思い、すぐにガッチャンと受話器を置いた。

15分後、再び電話が鳴ったのでとると、先ほどと同じテープの声だった。
もう少し聞いてみると
「ハロー、こちらは××銀行です。ミスター○○(夫の名前)に重要なメッセージがあります。あなたがミスター○○の場合は1、違う場合は2を押してください。」

××銀行は夫が口座を持っている銀行だ。
でも銀行からの連絡でテープが使われる事は今まで無かったし、「これは新手の詐欺?こんな風に私が呑気にテープを聞いている間にも、一分10ポンドとか法外な料金を取られているかも!」と心配になった。(キャリアウーマンのヨウコさんのちょい詐欺ブログを呼んだ直後だった)
騙されてなるものか!と再びガチャンと切った。

切った後で、「でも重要なメッセージと言ってたな・・・。もし本物だったら気になる・・・」とどうも薄気味悪い思いをしていると、再び電話が鳴った。

同じテープだった。今回はもう少し突っ込んでみようと、同じメッセージを聞いた後、「本人でない」との2を押してみる。
「ミスター○○は今電話に出られますか?その場合は1、15分後に掛けなおす場合は2、さもなければミスター○○に繋がる他の電話番号を入力してください」

ときた。
おお、個人情報を聞いてきたな!ますます怪しいぞと疑惑は高まり、再び電話を切った。

折しも新聞で、銀行口座がマイナスになった場合にオーバーチャージされた手数料(違法)を取り戻すためのノウハウを教えてくれる記事が掲載されたばかりだった。ここには銀行に返金を求めるレター、それを銀行が拒否した場合のレターの書き方まで詳しくのっており、それを読んだ読者が怒涛のように銀行にレターを送っていたらしい。

常々、銀行の一方的な手数料の取立て(&バンカーの法外な収入)に不満(&嫉妬)を感じていた私には胸のすくような思いだったが、次の日の新聞には「銀行がリベンジを開始!」という大見出しが踊っていた。
オーバーチャージされた事を証明するための過去の明細を請求すると、それにまたオーバーチャージ(これも違法)したり、ひどい場合には口座を閉じてしまったり、というケースもあるという。

このような、ヤク○と紙一重のイギリスの銀行なので、仮にこのテープが本当に銀行からのものであっても油断はできない。
返金を請求された分、ウチのように大人しい(ザル勘定で細かい事に気がつかない)預金者から損失分を取り返そうという戦略かも。騙されてなるものか・・・と鼻息を荒くしていると、再び電話が鳴った。

今度は無視して受話器をとらずにいると
「××銀行からミスター○○への重要なメッセージです。このメッセージをお聞きになったら○○―×××まで折り返しお電話ください」
とテープ音が留守電に録音されていた。

ほどなく夫が帰ってきた。
メッセージを聞き、やはり
「この番号へかけたらすごい料金がチャージされたりして・・・」
と半信半疑ながらも指定された番号に掛けなおすと、やはりテープで
「あなたがミスター○○の場合は1、そうでない場合は2・・・」と同様の指示。
その後誕生日などを入力し、本人であることを確認した後、
「あなたは今日、ドイツで138ポンド相当を引き出そうとしましたか。イエスの場合は1、ノーの場合は2を押してください」
と言うではないか。
夫はドイツなどには行っていない。
2を押すと、
「オペレーターにお繋ぎします」
とテープの声の後、ようやく人間の肉声と話す事ができた。

オペレーターによると、何者かがドイツで夫のカードを使ってキャッシュポイントから現金を引き出そうとしたらしいが、怪しいと察知してブロックしたとの事。

夫は2年程前にスリに財布をすられたことはあるが、何故今頃・・・と腑に落ちない点はあるが、まあ銀行のお手柄だった。

夫が喜んで
「お手柄、お手柄。でもどうして僕じゃないって分かったの」
と聞いたが、それは答えられないという。

銀行もたまにはいい事をするなー、と見直したが、こういう重要な連絡の場合は、やはりテープでなく、肉声で電話をかけて欲しいものである。
いくら銀行業務が詐欺と紙一重(私の独り言です)だとは言っても、預金者への連絡まで詐欺と区別がつかないような方法でされては、紛らわしくて仕方ない。

「効率化という名目で人員削減して、その分、残った人間ががっぽがっぽ儲けてるのよねー」と、結局はバンカーへの批判(嫉妬)で盛り上がる私たちであった。

投稿者 lib : February 27, 2007 11:32 AM

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