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July 17, 2007

ロンドンの美容室

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髪を切るのが好きである。

イギリスに来てから、いまいち気に入った美容師さんが見つからないが、それもあって、日系の美容室がオープンすると「今度こそ運命の美容師さんに会えるかも・・・」と淡い期待を抱き門をたたく。
数回通ったところで、「まあ悪くはないんだけど・・・・運命の人ではないわ」と他の美容室に乗り換える、というサイクルをここ数年繰り返している。

私は短い方が好きで、セミロングにしたこともあるものの、この10年程は基本的にショートボブにしている。
若い頃は色々試し、失敗もしたが、それなりに経験を重ね、どのスタイルが自分に似合うか、どういう風に注文すれば良いかも分かっているつもりでいる。
そのせいか、大人になってからは美容室に行って「失敗した」と思った記憶はない。

先日、セントラルに新しくオープンした美容室に行ってみた。
日本人の美容師さんは1時間半もかけて、注意深くカットしてくれた。
仕上がりは上々で、我ながら「おっ。いいねえ」と気に入った。
カラーもお願いしていたのだが、カラーで今まで失敗したことはなかったので、カットを気に入った事で、今回は限りなく100%に近く成功したと思ってしまった。

この慢心(?)が悲劇を招いた。
日本人の美容師さんが、「カラーは日本人でなくてもいいですか?」と聞いてきた。
日本の美容室でもカットはメインの美容師さんがして、カラーはアシスタント(?)の人がすることは良くあることなので、「いいですよー」と深く考えずに答えた。

「カラー担当の者です」と紹介され、女性の美容師さんにバトンタッチした。
私は基本的に地毛の色を残し、ポイント的にハイライトを入れるのが好きなのだが、日本人の美容師さんだと、すぐに分かってくれるので、ここでもまだ余裕でいた。

「どういう風にしたい?ナチュラルな感じがいい?」と聞かれた。
日本人にカラーを入れてもらうと、「全然変わってないやん・・・」と思うことが多いので、「うーん、ハイライトを入れて少し明るめにしたいかな」と答えた。
前回のハイライトがまだ残っていたので、「これくらい?」と聞かれる。
「もうちょっと明るめかな。」
彼女は少し考えて、「あなたの目はブラウンよね。(確かに私の目は日本人にしては茶色い)でも髪の毛は黒よ、黒。(まあそうなんだけど、日本人にしては茶っぽい)だから、あなたの目の色に合わせたらどうかしら?地毛を残しつつ、ライトブラウンとダークブロンドを入れるのはどう?」

彼女は「カラー専門」ということで自分の仕事に自信をもっていそうだったし、私ももともとがアバウトな性格だし、髪の毛はカット98%、カラー2%と思っているので「良さそうね。それでお願い」と適当に答えた。

彼女の話す英語はとてもロンドンアクセントだったので、「イギリス人?」と聞くと、「トルコ人だけど、2歳の時からロンドンに住んでるの」と言う。
彼女がカラーを入れている間、美味いケバブ屋の話などで盛り上がり、仕事完了。

髪を洗い流して鏡の前に座ると、そこには
「限りなくブロンドに憧れているが、顔はどう見ても東洋人の女」
がいた。

誤算だった。
カットが成功したのですっかり安心していたが、「ロンドン育ちのトルコ人」にはやはり日本人の感覚は伝わらないのだということを痛感した。

「ちょっと明るくしたいの」 → 「ブロンドにしたいの。だってその方が可愛く見えるし、男にはもてるし。これが終わったら青いコンタクトレンズを買いにいくつもりよ」
と彼女の中で脳内変換されていたらしい。

日本人の髪は「黒」だとは言っても、私たちから見れば「赤味がかった黒」「緑がかった黒」「漆黒」「マットな黒」「シアーな黒」「天使の輪ができる黒」(後半は何のことか私もよく分かりませんが)など微妙な違いがあるのが分かるが、そのような日本人の繊細な感覚を理解してもらえる訳もなく。彼女から見れば「黒」は「黒」。それ以外のなにものでもないのだろう。
文化的差異をなめていた。

どうみても不自然だが、だからと言って暗い色に染め直すのももったいないし(貧乏性)悔しいので(面倒くさい)、とりあえず人々の反応を見てみることにした。

まず家に戻って息子の第一声。
「ワ~オ!モンスターヘア!」
はいはい、やっぱり子供は正直だな。

その後、近所のニュースエージェントの娘(7歳)に会う。
「オー!Your hair is fantastic!」
子供だが、営業トークも入っているかもしれないので当てにならない。

夫の意見を聞くと
「人にはいろいろ好みがあって、良いと思う人もいれば良くないと思う人もいるよ」
「あなたの意見を聞いているのよ」
「・・・・君には黒髪の方がよく似合う・・・・」

息子の幼稚園の友達のお母さん達やママ友は
「髪の毛切ったのね!いいわね!」
と髪の「長さ」を褒めてくれるが、「色」に触れる人はいない。

という訳で、美容室にはやはり「以心伝心」などは期待せず、雑誌の切り抜きなどを持っていくのが良いでしょう。

投稿者 lib : July 17, 2007 12:01 PM

コメント

笑ってしまいました。(ごめんなさい)
私はここ数年ロングヘアーだったのだけれども、40を目の前にショートに使用と思っているので、大変タイムリーな話題でした。今週の土曜日に行きますが、カラーはしないので、心配しないでいけそうです。
私はいつもいきつけの美容師さんにこの5年ぐらいお願いしてたのだけれど、今回は彼女が無理ということで、違う方にお願いする事になります。以心伝心を期待したいのだけど、どうでしょう。。。山口さんの日記を読んで、不意に不安になりました。(笑)

投稿者 hiroe : July 17, 2007 10:14 PM

はじめまして。先月くらいから読ませていただいております。
日本にいたって、美容室で思い通りになったことな~んか一回もありゃしません。
娘が、短期留学で来週から一ヶ月ロンドンに行きます。「向こうで髪切ってパーマかけて染める!」と楽しみにしているようですが、彼女の会話力でどこまで思い通りになるか、帰国が今から楽しみです。
どう見ても18歳に見えないので小学生が髪染めちゃダメよ、とか言われそーですけどね。

投稿者 べっち : July 18, 2007 03:05 AM

hiroeさん
笑っていただければ本望でございます。
私の経験からすると、ロングからショートにする時は、大抵の美容師さんは怖気づいてしまい、思うほど短くならないことが多いようです。逆に一度短くすると、どんどん短くなる傾向がありますね。
そういえば昔、仲良くなった美容師さんが日本へ帰国する前に昔話などで盛り上がり、「ああ、いつまでも切っていてあげたい・・・」とつぶやきながらカットしていたと思ったら、気がついたらとても男らしい短髪にされていたこともありました。
すごく信頼できる美容師さんに出会えたら「君の思うようにやってみたまえ」とおまかせしてみたいと思いますけどね・・・

投稿者 子育てママ : July 18, 2007 10:50 PM

べっちさん
一ヶ月のロンドン滞在で「髪切ってパーマかけて染める」ですか!お嬢さんチャレンジャーですね~。若さっていいわー。
18歳に見えない件は心配しなくても大丈夫ですよ。息子の幼稚園の同じクラスの男の子は、モヒカンにして長髪部分を真っ赤に染めてますから。結構かっこいいです。

投稿者 子育てママ : July 18, 2007 10:56 PM

はじめまして
ロンドンに住んでいる韓国人の女の子です。日本語が下手ですみません。今ロンドンで日系の美容室を探しています。失礼ですがもしおすすめの美容室があったら教えてもらいたいです。私はロンドンに来たばかりでまだ分からない事がたくさんいます。このブログでいろんな事を学んでます。ほんとにありがとうございます。

投稿者 ユリ : October 13, 2007 11:33 PM

ユリさん

コメントいただいていたのに気づかなくて、返事が遅くなってごめんなさい~。
私も美容室ジプシーなので、美容室をお勧めする資格がないのですが、日系フリーペーパーのNダイジェストやJーニーに沢山広告が載ってますよ!最近はロンドンにも日系美容室が増えたし、美容室というより、美容師さんとの相性が大事だと思うのでいろいろトライしてみてくださいね。
日本語下手だなんてとんでもない!日本人より上手ですよー。

投稿者 子育てママ : November 12, 2007 01:58 PM

ロンドン在住13年です。このブログ、みんな2007年の投稿だけど、ロンドン美容室日記最近どうしちゃいましたか?今ロンドンの美容室で東洋人が気軽に髪切りに入れて、創価学会がかってないトコ探してるんですけど…皆どこで髪きってますか?

投稿者 シナコ : March 7, 2011 10:25 PM

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