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September 14, 2007

また一歩

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長い夏休みが終わりました。
久しぶりに会った同僚達の表情は明るく、休み明けのお決まりで「How was your holiday?」とお互いの休み中の様子を聞きあっていました。学期中は忙しくてストレスも溜まり、楽しい会話をする余裕がないこともあるのですが、今日は学校全体が和やかな雰囲気。私も同僚たちと会えてうきうきしていました。内心、英語忘れてたらどうしようと心配してたんですけど。

さて、初日はスタッフ全員参加のミーティングが開かれ、今年の学校としての方針・目標についてや授業が始まる前に用意すべきこと、夏の間に発表になったGCSEとA-levelというコースの試験結果などが報告されました。GCSEは強いて言えば、日本の高校レベル(ただし二年間ですが)、A-levelはそれよりも一つ上の教育課程で、大学に進学したい子供たちが進む二年間のコースです。A-levelは特にこの試験の結果で入学する大学が決まりますから、いわば生徒たちの人生を左右する大切な試験です。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、イギリスにはいわゆる学習塾・受験予備校といったものがありません。良い学校に通って一流大学を目指す子供たちは特別なサマーコースに参加したり、個人の家庭教師に教わったりするのかもしれませんが、私の知る限り、普通の公立では教師が試験のコツ、解答の仕方、問題の傾向などを教えます。イースター休暇中には補習授業をやったり、試験が近づくと放課後に試験対策のための授業を行う教師もいます。私は教師歴やっと3年になったところでやっと手探り状態を抜け出してきたところですが、やっぱり日本の予備校教師のようにはいかないなぁと悩むところです。詳しく書く機会があると思いますが、私の担当教科である歴史では、私がかつて日本で経験したように「とにかく暗記!」ではなく、自分の言葉で論理だてて説明することが要求されるので教えるほうも難しいのです。

さて、その歴史教科の試験結果ですが、私はGCSEのクラスを一つ受け持っていたので休み中もかなり気になっていました。しかもこのクラスはコースの初めから通しで2年間受け持ったクラス。初めの頃はクラス経営に悩んで同僚達に助けてもらったこともありました。でも、二年目だった去年は「今日の授業すごく面白かった」と言ってくれる生徒もいて、「教師をやっていて良かった」と思えるくらい励みになって教えるのも楽しかったのです。思えば、初めて日本人としての私を素直に出せた生徒達でした。日本に生まれ育ったからこそ教えられること(例えば、冷戦との絡みで朝鮮戦争や現在の北朝鮮の話をしたり)もあるんだなと自信につながったのです。同時に私を心底悩ませる生徒達もいて、彼女らとのバトルも多々ありましたが(笑)

そんな思い入れの深い私の生徒達。嬉しいことにたくさんの子達が私が予想したとおり、もしくはそれを上回るよい結果を出しました。歴史科全体としても上位の成績に当たるグレードA*(エースターと読みます)からCまでを取った生徒が67パーセントと去年よりも大幅に上回る好結果。ロンドンの中では比較的貧しい地域に当たる東ロンドンの公立で決して学力の高い子がそろっているとは言えない我が校にとって、これは本当に嬉しいことなのです。実際、去年半ばに産休・育休に入った同僚の代わりに学科主任を務めている身としてはほっと胸をなでおろした瞬間でした。

さぁ、私の「教師モード」のスイッチが入りました。休み中は教師という肩書きをはずし、「ただの私」に戻ってしまうので。今年は教師4年目。今までのように「まだまだ新米だから」と周りを頼ってばかりいられません。同僚を指導する機会も多くなるでしょう。ここからどう自分が前に進めるか、緊張感が増す瞬間です。

投稿者 lib : September 14, 2007 12:06 AM

コメント

子供を持つ母親として、先生の視点からのお話はとっても興味があります。これからも毎週楽しみに読ませていただきます。お仕事ともどもがんばってください。

投稿者 Kureha : September 14, 2007 08:04 PM

昨年まで東ロンドンに住んでいました。現在コルチェスター(Essex)に住んでいます。東ロンドンの学校で教えているというだけでも「すごいな!」ってしまいますが、歴史を教えていらっしゃると聞いて、本当にただただ感心するばかりです。素晴らしい!
教育システム、生徒の勉強、先生に対する姿勢の違い等、日本と比較するといろいろあるかと思いますが、これから子供(現在1歳)が学校に通うようになるわけですので、スクール・ティーチャーさんの日記を面白く読ませていただくとともに、参考にさせていただければと思っています。
ちなみに、イギリスって小学校の始まる子供の年齢が学校によって違うような気がするのですけど、それは学校に年齢設定をまかせるのでしょうか?もし教えていただければ嬉しいです。

投稿者 Hiroe : September 16, 2007 09:17 PM

>Kurehaさん
私のブログを呼んでいただけて本当に嬉しいです。やはりお子さんがいらっしゃると学校の仕組みや内部の様子が気になりますよね。私のブログを通じていろいろ知っていただけたら幸いです。

>Hiroeさん
有難うございます。そうですね、日本との違いは多々ありますが、好きな部分は多いです。小学校の始まる年齢ですが、私の知るところでは日本より1年早いと思います(つまり、こちらの中一が日本の小6)。学校によって違うものなのかは私も分かりません。

投稿者 月子 : September 17, 2007 09:29 PM

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