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October 01, 2007

中国の農村の子供 2

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地元の女の子を道連れに歩くことになった私達、せっかくなので「中国の今」をレポートしようかと思い、夫を通訳にして彼女にインタビューしてみた。

まずは、中国の一人っ子政策は国民に浸透しているのか。
「兄弟は何人?」と聞くと、
「8人。私は上から2番目。」
と答える。

・・・・中国の人口は、まだまだ増えそうである。

近くに商店なども見当たらないので
「いつも何を食べてるの?」と聞くと、
「芋。昨日も一昨日も、芋。今日も多分芋。」
と言う。道端でお婆さん達が売っていた紫芋が主食であるらしい。
ちょっと胸が痛む。
(それでも、栄養バランスの良い食事を取っている筈の日本の子供よりもずっと健康的に見えたが)

彼女からも
「どこから来たの?」
「子供はいるの?」
など、たまに質問されたが、「ガイドしてあげる」と言った割には総じて大人しい子だった。

そんなこんなで30分程歩いただろうか。
あたりがざわざわとし始めたと思うと、彼女と同じ位の年恰好の子供たちが一つの方向に向かって興奮した様子で走っていく。その一団の中に友達を見つけた彼女は、私達に何か叫んで、皆と一緒に駆けて行ってしまった。

あっという間に彼女の姿が見えなくなる。
「あれ・・・?お金は・・・・?まだ払ってないのに」
と後に残された夫と私。

しばらくして、渓谷での綱渡りショーが始まった。
こんなショーがあるとは知らなかったが、地元の子供たちはこのショーを見るために興奮して席取り(観客席があるわけではないが、良いスポットがあるのだろう)をしていたらしい。

この綱渡りショーはすごかった。
渓谷を挟む形で両端の崖と崖に綱が張ってある。
上は空なので、もちろん命綱はなし。
もし落ちれば、数十メートル下の谷底にまっさかさまである。

その綱の上で曲芸をしたり、バイクで端から端まで渡ったりしている。
屋外で行われているので観客はショーを見るために特別お金を払うわけでもなく、たまたまそこにいれば誰でも見ることができる。
おそらく団体客を連れてくる旅行会社から料金が支払われているのだろうか。だとすれば、彼らに入るお金は雀の涙だろう。
ああ、命の値段の安い中国。(涙)

「命を大切にしろよ・・・」とつぶやきつつも、息を呑むようなショーが終わると、いつの間にかさっきの「ガイドさん」が私たちの隣にちょこんと立っていた。
走って戻ってきたのだろうか、息が弾んでいる。

「ああ、お金を取りに戻ってきたんだな」とこちらもほっとした様な気持ちになり、
「ありがとう」と言って財布を出すと、びっくりしたような顔をして拒否するしぐさをする。

お金を受け取る代わりに彼女が両手に持っていたものは、小さな水晶のかけらだった。
そういえば、紫芋を売っているおばあさんの隣で、これも売られていた。
この地方の特産品なのだろうか。小さくて売り物にならないものをどこからか手に入れてきたのかもしれない。

この期に及んでも私たちは、
「そうか、この水晶を売るのか」
と思っていたが。

両手に大事そうに乗せていた水晶を、彼女は夫と私に一つずつ、嬉しそうに「はい」といった風に渡し、「さようなら」と笑顔で言うと、こちらが何か言う隙も与えずまた走り去っていってしまった。

「お金目当てじゃなかったんだ・・・お土産までくれて・・・」
狐につままれたように、立ち尽くした私たちだった。

水墨画のような、仙人が出てきそうな現実離れした場所での思い出。

あれから5年半。彼女にもらった水晶は今でも家に飾ってある。
あの子は今でも村にいて、学校に行ったり農作業を手伝ったりしているのだろうか。
それとも町に出て、観光ガイドになる勉強をしているかな。

投稿者 lib : October 1, 2007 10:18 PM

コメント

良いお話を読ませていただいて、ありがとう。
小さい頃の子どもは純真な澄んだ目をしている。濁らせるのは、間違いなく、大人。

中国、というと、たくましい、ちょっと、嫌なイメージで、あまり行きたくない国でしたが、このエピソードを読んだり、今関口宏の息子(ごめん名前が・・・)さんが中国を旅している様子がNHKで入りますが、出会う人の優しさ、そしてパワーを見て、ちょっとしたことでもんのすごい過剰反応で糾弾する、マスコミ、一般の人まで、の島国根性丸出しの日本人って・・・どうしちゃったの?と思うようなことばかりな昨今、中国、行ってみたくなりました。

投稿者 べっち : October 2, 2007 03:02 AM

そう、中国人は優しい・・・と思っていると騙す人も沢山いますからねー、気をつけてくださいね。(笑)
国も大きいし人も多いから、一言で言い表せないのが中国ですね。うちの息子は半分中国人の血が入っているのですが、なんだか不思議な気がします。

投稿者 子育てママ : October 3, 2007 09:37 PM

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