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October 18, 2007

ナンパの女王 その2

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ナンパには「甲種」と「乙種」があるのではないか。

「甲種」というのは、美人で清楚な女性が、若くハンサムで性格もよく、お金持ちの男性に一目惚れされる。いわゆる 「見初められる」というやつだ。これは意地悪な親戚筋の横ヤリがなければ、「玉の輿婚」へと進むことになる。
これは「大吉」のナンパだ。

一方、「乙種」は素性のわからないボケ野郎に道端ですれ違いざま声をかけられるもの。運悪くそこに通りかかったために、「浮遊霊」に肩に乗られちゃったような「縁起の悪い」ナンパである。なぜか、私はこれによくひっかかる。

現在までのところ、一番、最低だったのはたぶん、これ。
「あ、君。これ、あげるよ」
と道端で差し出されたのは、何とパック入りの「ゴム製品」だ。
「あ、どうも・・・」と納得いかないままにも冷静に受け取って、その場を去った。
もしかすると、そのにいちゃんは
「キャー、いやーん」と騒ぎながら、走り去る女が見たかったのかもしれない。
新装開店の美容院の宣伝ティッシュペーパーでも受け取るような淡々とした態度の私には不満だったかも。

ま、「ナンパ男」というよりは「変態男」のカテゴリーだな。

「君の足首に魅せられた。どうです、お茶でも」と話しかけてきたおじさんがいた。
足首・・・。足首ねえ。
高級そうなビジネススーツを着たおやじである。ちゃんとした企業でそれなりの役職にも就いていそうな風貌だ。妻子がいて、息子は受験生、みたいな年代だ。

それでいて、「足首フェチ」なのか? しかも、それをうれしそうに堂々と・・・。

「いい足首してるねえ」
「あら、自慢の足首なのよ。うれしいわ。お茶でも飲みましょ」
なんて、展開になる可能性は100億分の1、くらいに思えるが。

ロンドンの道端でのナンパは私的統計で中近東男がダントツに多い。
「いま、何時ですか?」「バス乗り場はどこでしょう?」と話しかけて足を止めさせ、そのまま「お茶でも」と誘うものだ。

先日は少し手の込んだナンパ野郎に出会った。

「あ、君。xxで働いていなかった?」 (xxは会社名ではなくて、業界名)
「ええ、以前、**で働いていたけど・・・」 (**は会社名を入れてしまった。ボケた私)
「僕も**で働いていたんだよ。いやー、懐かしいな。どうだい、その辺でお茶でも」
「ええっと・・・。あなたはどこのセクションで働いていたの?」
「ああ・・・、あちこちね。いろいろ・・・」

ここで、やっと私の頭の中のブザーが鳴った。社内の「あちこち」で働く奴がどこにいる? IT部門なら、 「あちこち」のコンピューターを修理したり、アップデートしたりするかもしれないが、それなら、ITチームと答えるはずだ。

考えてみれば、シティで働くスーツを着た日本人なら業界は限られる。
象の飼育係とか、常磐津の師匠、かまぼこ製造業、なんてのはいないはずで、金融関連の2、3の業種に必ず当てはまるはずだ。
xxと言ったのは、確率が一番高いからだろう。

「ねえ、携帯の番号か、メールアドレスを教えてよ」
さすがに 「携帯もコンピューターも持ってない」とは言えないよな、いまどき。
「家にはガスも電気も来ていません。水は井戸から」みたいに聞こえるし。

――日本だったら、こんなときには「リカちゃん電話」の番号を渡すことになっていた。ナンパ男が貰った電話番号にかけると「わたし、リカちゃん」と小学校5年生の少女が電話に出るという仕掛けだ。おまけに彼女には「ワタル君」というボーイフレンドがすでに存在する。

赤の他人に対しても「八方美人」でいたい私は「いやです」と言うのが嫌いだ。で、
「ちょうど、番号を変えたばかりで覚えてないの。あなたの番号をちょうだい。こちらからかけるから」と言うことが多い。

みんな、どうやって断ってます? しかし、「乙種」につけこまれる私に問題があるな。不徳のいたすところである。

投稿者 lib : October 18, 2007 03:26 PM

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