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December 21, 2007

初舞台

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先月のブログで私が教員コーラス(Staff Choir)に初参加したことについて書きました。あれから一ヶ月ちょっと練習への参加を続けまして、先日初めて観客の前で歌いました。

練習といっても実際には私自身風邪で数回お休みしてしまいましたし、毎週欠かさず来れた教員の方が少なかったのですが、何とかコンサートで歌う予定の歌も皆で歌える状態に仕上がりました。これも指導にあたってくれた音楽教師の同僚Lと毎回素晴らしい伴奏で盛り上げてくれた同僚Aの技量によるところが大きいのですが。

初舞台となったのは昼休みの生徒向けのコンサート。私の学校はPerforming Artsが盛んで、普段から希望者に楽器の演奏法を教えたり、ダンスセッションをおこなったりします。そして、学期末に近づくと歌やダンス、演劇などの様々なイベントがおこなわれます。今回もその一環で4日間に渡って音楽科の教師が主催して普段から練習をしてきた生徒達が歌・それぞれの楽器の演奏を披露することになったのです。教員コーラス部(?)はコンサート初日に参加しました。

前もって鑑賞希望の生徒達にはチケットが配布されており、私が担任を持っているクラスの子にも「私も出るよ~」と伝えておきました。内心、わざわざ貴重な昼休みに音楽鑑賞になんて来ないかなぁと思っていましたが。

ところが、会場である音楽室に行ってみてびっくり。あれよあれよという間に生徒が集まり、人数を数えていた同僚Aによると、どうやら70人近く(そのうち約20人はJunior Choir - 低学年コーラス隊の子たちですが)は来ていたようです。そんなに大きな部屋じゃありませんからもちろん全員が座れるはずも無く、会場は立ち見の生徒でひしめき合いました。わたしのクラスからも5人くらい来てくれました(って私を見にきたのかは定かではないですが)。同僚も10数人集まり、気分も盛り上がってきたところでいよいよ本番。

一曲目はChristmas carolの定番の一つ、Good King Wenceslas。歌い始めから曲の半ばまで、緊張してる気持ちは無いのに私の膝はかすかに震えていました。最初はそれを隠すのに必死でした。教師のくせにもともと人前で注目を浴びるのは苦手なのです。自分の教室では平気なんですけどね。おしゃべりやめない生徒に「私に注目しろー」って年がら年中怒鳴ってるくらいですから(笑)。さて、二曲目はRentというミュージカルからの一曲でSeasons of Loveという歌。これはメンバー達が一番入れ込んでいた曲でメロディや歌詞が本当に美しいのです。私なんか惚れ込み過ぎて連日家に帰ってからYou tubeのクリップでメロディを確認しながら一人で練習していたくらいです。皆さんにも一度聞いていただきたい曲です。

そして最後はお決まりでJingle Bells!英語の歌詞を知らなかった私は本番でも終始歌詞カード見ながら歌ってましたが。この曲では観客の生徒たちも加わり全員で大合唱。中学生も高校生もです。クリスマスソングを中学・高校で合唱した記憶なんてない私にはとても不思議な光景。皆で歌って楽しんでいる彼女らの純粋さ・無邪気さに感動してしまいました(教室ではぜーんぜん素直じゃないんですけどねぇ)。

というわけで大興奮の中イベントは終了。大成功でした。生徒って教員がイベントに参加することをすごく好意的に捉えてくれるのです。教室以外でいつもと違うことを夢中でやってる教員達を見るのはおもしろいのでしょう。私もこういうことを通して生徒達と交流することができて嬉しく思います。教師一年目の時は余裕が無くて参加することなんて考えられませんでしたが。

さて、その後、勢いに乗った私たちは終業式の日にあったパフォーマンス・ショーでは全校生徒の前で前述のRentの曲を歌い、翌日の教職員の昼食会とお隣にある特別養護学校のクリスマスショーではクリスマスキャロルを3曲熱唱しました。

これはもう、病み付きになりそうです。願わくば1月以降も活動が続きますように。

投稿者 lib : 12:21 AM | コメント (3)

December 19, 2007

ロンドン案内 その3

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初めてのヨーロッパという友人に楽しんでもらおうと張り切っていた私。しかし、仕事もあるので四六時中いっしょに行動はできない。

最初の週末を使って、交通機関の利用法をしっかり教え込む。トラベルカードが安くなる時間なんかを知らせておくのは当然だが、

「電車が止まったら、こうする」
「つり銭の間違いを防ぐために、ああする」

と、細かく指示している内に、
「あなたって、そんなに念には念を入れた性格だったっけ?」と不思議がられた。

いや、念を入れるつもりはないんですけどね。日本では考えられないようなトラブルがしょっちゅう起こるので、常に 「傾向と対策」を模索するくせが・・・。

逆に日本のホテルの受付で、
「明日、朝の6時に起こしてください」なんて、モーニングコールを頼むと、
「はい、かしこまりました」とあっさり言われ、
(え? こんなに簡単な手続きで大丈夫なんだろうか?)と不安になる。
イギリス暮らしのせいで、「口頭のみで書面にしない」 「一人だけに頼む」 「再確認しない」なんてことができない身体になっているのだ。

「長く住んでいるうちに用意周到になったわね」なんて言われて、
「大ざっぱで先のことなんか考えない、ノホホンとした私を返してー!」と叫びたいくらいだ。

友人をチャイナタウンの 「ウォンxx」に連れて行った。
これは 「シンプソンズ」でローストビーフをおごってくれた友人へのささやかなお礼。 ・・・確かに80ポンドのランチに対して、掛け値なしに 「ささやか」である。
ここは 「うまい」「安い」「早い」に加えて、 「店員の態度がガサツ」という四拍子そろった店だ。

「xxの歩き方」なんかを片手に貧乏旅行をする学生に人気のチャイニーズレストランだが、 「ルールズ」をご指名するような私の友人なら、まず、縁のない店だ。

しかし、私のように、たった一人で見知らぬ外国人の男と相席になりながら、3ポンド80ペンスのヌードルを食べるのがぜーんぜん平気、という女には便利な店だ。
コベントガーデンのオペラハウスに近いので、仕事帰りにオペラに行くとき、時間がかからないここを利用することがある。ま、服装的には浮いてしまうが。

この店で食べる作法は次のようである。

まず、窓に張ってあるメニューで注文するものを決める。
伝票はテーブルに来ないので、値段も覚えておく。席に着いてから、 「メニュー見せて」などと、まどろっこしいことを言わないためだ。これは立ち食いそば屋で 「お品書き見せて」と頼むようなものだ。

ドアを開けると、人数を指で示しながら入店する。
一人なら、入り口に近いエリアで他の人と 「相席」。二人以上なら、店の奥、二階、地下のどれかを指示され、そこでやはり他の客と 「相席」する。

席に着くと、おはしと急須、湯のみが投げ出されるように置かれ、
「何になさいますか?」ではなくて、
「何が欲しいんだよ?」と聞かれるので、あらかじめ決めておいた品を注文する。
二人以上の場合、別々のものを頼むと、一人が食べ終わってからもう一人の注文した料理が来たりするので注意が必要。

ここでは、ワインリストなんかは頼まないほうが賢明だ。(あるのか? この店に?)

実を言うと、私はこの店の 「異国情緒にあふれた場末感」が好き。特に 「ひとり食い」エリアにいる様々な国籍の人 (私も含むが)のしょぼい雰囲気がイカしている。
ちょっと冴えない服装のおじさんなんかと相席になると、
(旅行者にしては貧乏くさいな。出稼ぎかな? 正式な労働許可証なんか持ってない感じだよな)と勝手に決めつけたりする。

友人も 「おいしいわ」とは言わなかったものの、結構めずらしがってくれた。
「いかにも外国に来たって感じね。香港旅行を思い出さない?」
そうそう、そう言えば彼女と一緒に香港に行ったっけ。私だけが腹を下して・・・。

ここは 「香港なロンドン」だが、他にも 「アラブなロンドン」とか 「パキスタンなロンドン」もあるよ。

投稿者 lib : 10:52 PM | コメント (0)

羊とロバ 2

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不用意な一言で「羊役」の息子の気持ちを傷つけてしまった。
「そんなことないよ~。Sheep最高~」などと息子をなだめながらも、翌日の日曜日、朝イチで最寄のWoolworthsに羊のコスチュームを買いに行く。
私がイギリスに来た頃は、日曜はどの店も閉めていたが、最近は大抵の大手小売店は営業している。感心、感心。

家を出た時から空模様が怪しいとは思っていたが、バスで目的地に到着した時は大雨になっていた。
傘も持たずにバス停から走ってWoolworthsに行くと...

...閉まっていた。

店の前に貼られた「営業時間のお知らせ」を見ると、日曜は11時からとなっている。
時計を見ると、時間は9時半。
失言の失敗を挽回するためにと焦るあまり、早く着きすぎた。
仕方ない、近くの店で時間をつぶすか...と思い歩くと、隣のBootsも11時から、その隣のMarks & Spencerは12時から!!!どこも閉まってるやん!!!
ずぶ濡れになりながら大雨の中をさ迷い歩き、やっと一軒のカフェが開いているのを見つけた。
やれやれと思い店内に入り、コーヒーを注文。
支払いをするべく財布を見ると..

...現金が入っていなかった。

小銭をかき集めてもコーヒー代に達しなかったので、ダメもとで「カード使える?」と聞くと、「No」との返事。そりゃそうだよな。
ずぶ濡れ、文無しの二重苦の私を気の毒そうに見送るカフェの店員の顔が忘れられない。

幸いなことに銀行のキャッシュマシーンは近くにあったので現金をおろし、他のカフェに入り開店を待つことにする。
「Woolworthsに 羊の服を 買いに来るとは これいかに...」
などと詠んでいたら11時になったので再び店に駆け込んだ。

コスチューム売り場に直行するも、無い!無い!スーパーマンもパワーレンジャーもお姫様もあるけど羊が無い!

店員に聞くと、店頭には置いていないがインターネットで注文できるとの事。
くう...とんだ時間の無駄遣いだったと家に帰る。

家でWoolworthsのサイトを見ると、羊だけでなくマリア、ヨセフ、羊飼いなど総出演者のコスチュームが揃っていた。
羊もいた、いたが...

...可愛くない。

顔が妙にリアルで、可愛くない。
気に入らなかったので、他のサイトも探してみた。

Ebayには「一度着ただけです」と去年の羊コスチュームが多数出品されていた。
......同じWoolworths製でも去年のバージョンの方が可愛いな。
私と同じ境遇の「羊役の子供の親」がイギリス全国、津々浦々にいるようで、多数入札が入っていた。
商品説明に「去年、Nativity playのために12ポンドで買いました」と書いてあるのに、なんと19.5ポンドまで値がつりあがっている。

く、狂っている...

「羊役の子供の親」たちの戦いに参加する気にはなれなかったので、他のサイトを探すことにした。

つづく

投稿者 lib : 01:01 PM | コメント (0)

ナイスな女2人旅「ウインザー城、イートン校」(その3)

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朝食を食べて、B&Bをチェックアウトして、目指すはイートン校。
今日は、ボーイ達をたっぷりと拝見する日だ。
イートンの町は、小さな可愛らしいし店が建ち並び、川も流れ、女王様も持ち物の白鳥様もなぜか沢山いる。
美しい眺め。いい兆候だ。
ルンルンルン。
2人のナイスな女は、イートン校の中を見学できると聞いていたので足取りは軽い。
ウキウキしながら、学校の前にたどり着くと、何かノーティスが貼ってあった。
なんと構内見学は、イースターまで行わないと書かれてある。
ガーン。おばさん2人組は軽い目眩が起きた。
なんていたって、今日のテーマは、美しいボーイ達を見る事だ。
その目的がなくなってしまったのだ。
無言。・・・・・・・・・・

仕方がない。今回の旅は下調べが全くされていない。自業自得だ。
じゃ、せめてちょっとだけでも周りを散策して、同じ空気でも吸って帰ろうということにした。
人生、いろいろあったナイスな女性は、立ち直りも早い。

すると若いボーイ達が数人歩いてくるではないか。
白いタイを結び、モーニングコート(イートンではテールコートという)を着ている。
きゃー、可愛い。
我々は、急に方向転回して、若者がいる方向へ向かった。
時は朝の11時、授業が終わって教室を移動しているようだ。出てくる。出てくる。
モーニングコート着た坊ちゃんたちがどんどん出てくる。
どー、どーしよう。とおばさん2人は立ち往生。
しかし、ここで怯んではいけないと、友人は、いきなり1人生徒を捕まえて、
「道に迷ったんだけど、駅はどっちかしら?」と大胆な質問をした。
その躾の行き届いた若い学生は、
「僕もよく知らないが、多分右に折れて、左に行けば、行けるはずです。マム。」とイートン発音で答えてくれた。
友人「ああ、いいわねー。ヒューグラントを若くしたみたいで。」とうっとりしている。
そう、そう、ここの生徒の髪型は、時代遅れのようにみんな長髪で、あるボーイは、金髪を風になびかせている。
うっとり。
だれも5分刈りなんていなし、スキンヘッドなんていない。
しかし、制服フェチってあるけど、このモーニングコートを着ていると誰でもかっこ良く見えるから凄い。

私「ねえ、ちょっと。あのお坊ちゃまなんで駅の場所をしらないのよ。」
友人「決まっているじゃない。彼らは電車なんて使わないのよ。たまに帰宅する時は、お迎えの車がくるのよ。」
これは我々の勝手な想像ですが、そんな一般の人とは違う生活って感じです。
それに最後の「マム(マダム)」なんて呼んでくれて、気持ちがいい。
「我々に男の子がいたらねー、入学させたいわね。」とオバさん達は、
自分の境遇をまったく無視した妄想にしばし浸っていた。

学校の近くには、イートン校のギフトショップがあり、そこでお土産でもと物色していると
友人は大画面に写し出されたイートンボーイの生活という映像を見ている。
友人「このDVDが買いたい!!」という。
うーん。すっかりハマっている。

我々は、目の保養と元気をいただき、「ああ、来た甲斐があったね。」と大満足だった。
目の保養に次回は、何処にいこうかしらね?と我々は、変な味を覚えてしまったようだ。

投稿者 lib : 10:43 AM | コメント (0)

December 14, 2007

Power of Eid

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今日の2時限目、9年生の授業の最中にMid-day supervisor(休み時間中の生徒の監視員。授業中の構内や学校付近のパトロール、事務の手伝いなどもする)の女性が教室に入ってきました。彼女の手には校長からの全校生徒と保護者に宛てられたレターの束が。

なんだろうと受け取って見ると「End of Term Arrangements(学期末の予定)」とあります。数週間前に同じような手紙が全校生徒に配布されていたので「何でもう一度、、、?」と不思議に思って読み進めると大切な予定変更があるとのこと。

当初の予定では来週火曜日が生徒にとっての終業日で一時限目は学級会(というよりパーティ)、二時限目はスタッフによるパフォーマンスを鑑賞した後に生徒はお昼休み前に帰宅、午後は教職員の研修会があるはずでした。そして水曜日は引き続き教員の研修日となるはずでした。ところが手紙の記載を見ると終業日が月曜に研修日が火曜日に変更になったというではないですか。学期中に学校が突然休校になったり(冬に暖房設備用のボイラーが故障したとか、職員のストライキなどで)、イベントの予定が変更になったことは過去にも何度かありました。が、ただでさえも予定が立て込んで忙しい学期末、しかも終業日が突然変更になったことなど初めてです。

しかし、理由は簡単でした。実は来週の木曜日はEid ul-Adhaというイスラム教徒の大きなお祭りがある予定だったのですがそれが突然水曜日に変更になったのです。イスラム教徒の教員も多い学校なので彼らに考慮すると研修日を水曜日にするわけにはいかず、一日繰り上げるというわけです。

このお祭り、イスラム教徒にとっては年に二回あるEid(イード)と呼ばれるお祭りの一つで、一つ目はラマダン(断食月)が終わった直後のお祭り(Eid ul-Fitr)、今回のEid ul-AdhaはHajjと呼ばれる聖地メッカへの正式な巡礼の日の翌日に行われるのが慣わしのようです。このようにEidは宗教上のお祭りですが、実際に生徒達にとっては美しい衣装を親に新調してもらって美味しいものを食べて家族や友達と出かける恰好の機会のようです。

さて、クリスマスのようになぜ毎年同じ日にお祭りが行われないのかと思われるかもしれませんが、イスラム教のカレンダーは太陰暦に基づいているため、太陽暦のカレンダーで見ると毎年日にちが変わるのです。そして、Eidがどの日になるかはイスラムの聖職者が月の満ち欠けを見て決めるらしく、このように直前に変更になることもあるとのことです。全校生徒の約90パーセントがイスラム教徒である私の学校の場合、このような宗教行事が学校の全体行事までをも動かしてしまうのです。

というわけで、イスラム教徒ではない私もちゃっかりこの恩恵を受けて水曜日が休みに(でも本当は採点が山のように溜まっているのですが、、、)。当日はこれまたキリスト教徒でもないのにしっかりとクリスマスショッピングに勤しむつもりです。

投稿者 lib : 09:39 AM | コメント (0)

December 13, 2007

ロンドン案内 その2

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日本から遊びに来た友人をミュージカルに連れて行くことになった。

レスタースクエアにある 「当日券 半額チケット売り場」で、彼女が選んだのはサヴォイホテル横のサヴォイシアターで「屋根の上のバイオリン弾き」だった。
55ポンドのチケットが手数料込みで30ポンド。

ふたりとも題名は知っているが、ストーリーは知らない。

「えーと、ロシアの話だよね?」と友人。
「ユダヤ人一家の話じゃなかったっけ?」と私。

――― ロシアに住むユダヤ人一家の話でした。

登場人物は多いのだが、ほとんど 「一人舞台」という感じで主人公がどんどん話を進めていく。主演の俳優は本当にチャーミング。日本でも有名な老俳優がロングランで演じていた覚えがある。

次は紅茶だ。

紅茶にまったく興味がなく、イギリスに住んでいながら、紅茶を飲むのは年にほんの数回という私と違い、友人は大の紅茶好き。

まず、紅茶の殿堂(?)フォートナム・メーソンに連れて行く。
彼女に 「特大サイズ」缶の 「ブレックファストティ」をおみやげにしたことがある。当時、深緑色だった缶のデザインは変わり、あのデカサイズはなくなってしまっていた。

ここでお土産用に10個も20個も、いや30個も40個も買っていく日本人は多い。
そんな客にお土産用に小分けする小さい袋を渡すのを拒否するのを見たことがある。
「ケチ」 「老舗のくせに不親切」 「袋なしでみやげを渡せって言うのかい」と思った。
私だったら、 「あ、そう」と10個なら、1個ずつ10回に分けて買い、そのたびに小袋を貰う、という、いやがらせで対抗してしまいそうだ。
最近はどうなのだろう? 顧客サービスが向上しただろうか? それとも、 「ほーらね、資源を大切にしましょう」と袋をくれないままなのか? ご存知の方はご一報ください。

このあと、コベント・ガーデンの 「ティーハウス」が続いた。
ここでも、私は彼女に 「キワモノ紅茶」を何度かおみやげにしている。
「キャラメルティ」とか、 「サマー・プディング」とかね。でも、紅茶好きには、キワモノより、伝統的なフレーバーのほうがいいらしい。
ま、そうだろうね。コーヒーが好きな私も 「ブルーマウンテン-猿の腰かけ風味」なんか貰ってもうれしくないだろうし。

彼女はこのほかにも普通のスーパーで、「イギリス庶民が飲む日常の紅茶」も数箱お求めになった。

紅茶が好きな人は 「粉モノの乾きモノ」も好きらしい。つまり、小麦粉でできた 「パン」「ケーキ」「ビスケット」。これまた、私には興味がない食物群だ。

友人は「スコーンが食べたい」と言う。はずかしながら、イギリスに10年以上も暮らしながら、スコーンを買ったことがない。
昔、どこかのカフェで一度だけスコーンを食べたが、あまりの 「粉くささ」に口の中がパサパサになって、喉がつまりそうになり、パニックを起こしそうになって以来、
「嫌いな食べ物」のカテゴリーに入れていたのだ。

しかし、遠来の客のために、一肌、脱がなければならない(大げさ)。

(プレーンに、チーズ入り、ドライフルーツのもあるな・・・)と生まれて初めてスコーンの棚の前に立ち、悩むこと数分。
――― 悩んだら、とりあえず、基本、という法則でプレーンを買って渡した。

スコーンと 「クロテッドクリーム」による、 「クリーム・ティ」と体験してもらうために、友人をコッツウォルズに送り込むことにする。

友人の 「イギリスで食べたいもの-リクエスト特集」を聞いていると、 「紅茶に興味なし」 「粉モノの乾きモノを食べない」 「ローストビーフより韓国焼肉を好む」私がなぜイギリスに住んでいるのか、という疑問が湧いてくる。・・・・なぜかしらん?


PS. 全然関係ない話。 マリー・アントワネットの真珠の首飾りが落札最低希望価格に届かず、競売が成立しなかったそうだ。ギロチンにかかって死んだ女性の 「首」飾りなんて、これ以上縁起が悪いものも考えられない。私なら、お金もらっても所有したくないね。

投稿者 lib : 06:23 PM | コメント (0)

December 12, 2007

ナイスな女2人旅「ウインザー城、イートン校」(その2)

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さて、ウインザー城を見学することにした。
広大な建物の中を見学して、ああ、ここに住めたらいいのにね。などと願っても無理なことを言い合って楽しい時間を過ごした。
そう、見学はさっさと終わらせ後は、街見物だ。

女2人は、何処にいってもファッション店のショーウインドーが気になる。
「あら、これ、いいじゃない。ちょっとココに寄ってもいいかしら?」と寄り道がどーしても多くなる。
ここにダーリンがいたら、まったく、旅行に来たのか、ショッピングに来たのか分からないなーと言いたげな顔になるが、
女性の旅はそんなことは気にならないし、気にしない。
そんな時間を過ごしていたら、お腹も減ってきた。
あら、もう夕飯の時間だわ。じゃあ何か食べましょう。ということになり
手軽なイタリアンレストランに入った。

我々は、適当に注文し、またまた姑やダーリンの話、うわさ話に夢中になっていると
「君たち、日本人?」と声をかけてきた男性がいた。
聞けば、このレストランのオーナーだという。それもトルコ人。
イタリアンレストランなのに、トルコ人がオーナー?? 
深く考えることはやめよう。イタリアで育ったトルコ人かもしれない。
片親がイタリア人かもしれないし、、、。と質問は辞めた。

やたら陽気に話しかけてきて、しきりに1度は日本に行きたいという。
聞けば、 日本人のexガールフレンドをえらくに気に入っていたようで、それ以後、日本人女性にハマってしまったようだ。
よくよく話を聞いてみると、店を一緒に切り盛りしてほしいという。だから、日本に行きたい。という。
我々「ロンドンには、沢山の日本人独身女性がいるから、そこで見つけたら?」と言うと
彼「いや、 日本から連れてきたいんだよ。そして、ロンドンやウィンザーなどいろいろな所に連れていってあげたいだ。 」
と言う。
ふーん。何かヘン。

そして、とどめの言葉を彼は言った。
彼「ともかく日本で奥さんを買いたいんだ。」
我々「えっっっ!! EXCUSE ME!! ちょっと、何か間違えているわよ。日本では女は買えないのよ!!」と言うと
彼は、慌てて、奥さんがほしいんだよ。と弁明した。
どうもこの男、貧しい国の女性がハゲでチビで年寄りで、イキが臭くても
英国国籍が欲しいがために目をつぶって、我慢して、嫁いでくる女性が日本人だと思っているようだ。

まったく何を考えているのか、この男。
我々は、コーヒーも飲まずにさっさとこのレストランを出た。

ああー、せっかく楽しい一日にケチがついたなー。
でも、明日は汚れの知らない(?)、若くてイキのいいイートン校のボクたちを見に行くので気分は上々。
ウキウキ。(ナイスな女2人旅。まだ続きます)

投稿者 lib : 12:40 AM | コメント (0)

December 10, 2007

羊とロバ

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先日、息子が学校から一枚のレターを持ち帰った。
学期末に披露する学芸会(?)のお知らせだった。教会系の学校なので、Nativity Play(キリスト降誕の劇)をすると言う。

「あなたの息子さんは、クリスマス劇で羊役に選ばれました。」

ふむふむ。

「したがって、来週の月曜日までに羊のコスチュームを用意してください」

・・・・・・・・・ ・・・はい?

羊のコスチューム・・・・そんなに普通に言われても・・・・。しかも来週までにって。
親が作れということだろうか。しかしど、どうやって・・・。

インターネットで調べると、「羊コスチュームの作り方」が見つかった。
どうもこちらでは割と普通の(?)モノらしい。
白かグレーのフード付スウェットシャツに、コットンを両面テープで全面に貼り付け、フードにフェルトの耳を付けろと書いてある。割と簡単そうだが、「完成図」の写真を見ると、「羊」と言うより「出来そこないのマシュマロマン」の様である。本当にこれでいいのか。学校の求めているものはこれなのか。
大体、時間がないのに「白かグレーのフード付スウェットシャツ」探しから始めなければならない。そんなに都合よく見つかるものなのか。

困り果て、先輩ママ友に電話してみた。
「ああ、教会系の学校ではお約束なのよね。羊のコスチュームもそれ様に売っているはずだから、Woolworthsに行けばあるんじゃない?」

さすが先輩ママTさん。お悩み一気に解消だ。Woolworthsはおもちゃや文房具を売っている、ハイストリートに一件はあるチェーン店だ。確かにコスチュームも売っている。なぜかイギリス人はコスプレ(?)の好きな人達で、よく店先でTVのキャラクターやプリンセス系のコスチュームを見かける。正直言ってなるべく購入したくないものの一つだったが、学校からの指令とあれば仕方ない。

翌日が日曜だったので、朝イチでお店に見に行こうと一安心。
・・・しかし、羊か。「蛙の子は蛙」と言うが、やはり息子も芸無しの両親に似たのかな、と微笑ましいような、おかしいような気持ちになり、仕事から戻ってきた夫と「息子が羊役をゲットした件」について無駄話をした。

「人間役もあるのに『羊』なのよね~。動物なら馬役もあるのに『羊』なのよね・・・」
「『羊』は草食べてればいいからな。」
「そういえば、キリストは馬小屋で生まれたのよね。馬小屋はあっても羊小屋って聞かないね。羊は外で寝なきゃいけないのかな・・・・」

気づいた時は遅かった。息子が背後で聞いていたとは夢にも思わなかった。

黙って聞いていた息子、しばらくしてから
「僕、羊はやりたくない。草を食べてるだけで面白くない。外で寝たくない」
と言い出した。

傷つけてしまった息子の心をどう癒すのか!?
次回につづく


投稿者 lib : 10:02 PM | コメント (0)

December 09, 2007

A Busker

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9月から生みの苦しみにもがき続けてきた。毎度のことだが特に最
初の数週間は暗中模索、一つ問題を解決すると新たな三つの難題が
ふりかかる毎日が続く。赤子のことではない。当社の新しいシステ
ムが昨日ようやく誕生を迎えた。

プログラマと呼ばれる人たちは多少のぶれはあるものの、ほぼ10
年に一度、これまでの仕事を否定されるような愕然とするイベント
を乗り越えなければならない。開発の環境ががらっと変わってしま
うのである。僕の場合、80年代にZ80アセンブラという言語を勉
強しC言語をマスターした。90年代にはMFCという環境で Windows
で動作するプログラムを作った。当時 Microsoftは COM だのCOM+
だの、恐ろしく複雑な開発環境をプログラマに強要していた時代で
あり、その難解さは極まっていた。そしてその流れををせせら笑う
がごとくJavaという優れた環境が登場した。相当数のプログラマた
ちはこれに走った。Microsoftは焦った。そして.NET Frameworkと
いうJavaに対抗する開発環境を作った。僕にとっては最後の10年
毎のイヴェントになるかもしれないが、今回はこの.NETに取り組ん
だ。その開発環境はすばらしい。とはいえプログラマが新しい環境
に取り組むときの苦しみは避けられるべくもなく、昼夜、夢の中ま
で難題に取りくむ毎日が続くのである。これを労働と呼べば僕のこ
の3ヶ月の労働時間は週100時間近くであったろう、まるで日本
にいるようである。

そして、ある日突然全ての苦しみが終わる。体が軽く感じ、新しい
機能の追加なんぞはささーっと作れてしまうこのオブジェクト指向
環境の素晴らしさをマスターしたぞという達成感にプログラマはシ
ャンペンを開けたくなる。

というわけで、ここ数ヶ月、社員や友人達には付き合いの悪いおっ
さんであったが、これをお詫びして平にご容赦いただきたい。赤子
面倒をみているのだろうと思われてたかもしれないが、僕にそのよ
うなことが出来るはずもなく、そのことは同居人が一番知っている
ようでもある。

とはいえ軽くなった体で赤子を登録するという作業はこなしてきた。
日本人が英国で生まれるという特殊性の為、同じような作業を2度
行わねばならない。英国への登録は、簡単な質疑応答で10分で終
了した。日本国への登録は、2通の同じフォームを2種類、更にも
う一枚。本籍なんぞ覚えていないわ、今年が平成何年なのかも知ら
ぬ。そして僕の住所は英国ロンドン市南西15区セントジョンズ通
りなのだそうである、なんのことだろう。赤子の名前は漢字でどう
書くんだっけ。我ながら、このオッサンはいったい何人なのだろう
か、珍しいやっちゃなあ、と思いつつ1時間フォームと格闘し漸く
作業が終わった。

大使館と同じ地下鉄にあるハロッズへ向った。17年間の英国生活
でこれで2度目だ。以前も書いたが僕はこういう環境でぶらぶらで
きないアレルギー体質のようであり、素早く用を足したい。たまた
ま入ったところにインターナショナルインフォメーションがあり、
日本語でどうぞと書かれておる。バウチャーはどこで買えますかと
聞くと地下一階だという。地下一階を歩きまわったが訳が分からん。
たまらずそのへんの店員に聞くと、金額は幾らだという。これこれ
ポンドが何枚というと、それは5階のファイナンシャルサービスへ
行けという。5階といっても広うござんす。漸くたどり着いたらま
さに銀行の窓口だった。化け物のようなデパートだ。アレルギーが
出る前に地下鉄に向ったら、なにか懐かしい音がかすかに聞こえて
きた。エレベーターが降りていくとそれはスキヤキソング、上を向
いてあるこうよ、ではないか。更に近づくと、日本人の若い女性の
バスカーであった。ギターをかかえて、帽子をちょいと被った、気
のよさそうな娘が、その素敵なよく通る声で若干テンポを遅めにし
て歌っていたのであった。思わずポケットを探って一声かけたら、
素敵な笑顔の礼が返って来た。安易なバイトに走る娘もいれば、こ
うして、まあ金目的ではないのだろうが、外国の地で芸を磨こうと
する娘もおる。

彼女はその日朝起きて、今日はやったろうかあと思い、歯を磨き
ながらレパートリから数曲選び、帽子も選び、そしてギターを抱え
てKnights Bridge駅へ向ったのであろうか。世の中の全てを肯定し
たくなるような平和な一日であった。

投稿者 lib : 12:00 PM | コメント (0)

December 07, 2007

カルチャーショック?

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月曜日にA-levelの歴史を学んでいる12年生の生徒5人を一般にstudy conferenceと呼ばれるイベントに連れて行きました。

A-levelというのはAdvanced levelの略(正式にはGCE A-level)で、11年生(日本だと高校2年生)がGCSE(General Certificate of Secondary Education)という試験コースを終えた後に進むことのできる二年間のコースです。A-levelのコースを持つ学校を6th Form Collegeと呼びます。私の勤務校の場合はSecondary schoolとSixth formが繋がっています。もちろん、Sixth formの無い学校、Sixth formだけの学校もあるわけです。

このA-levelでは大学で学びたい教科を視野に入れて、ほとんどの生徒が3教科をより専門的に勉強します。大学の予備コースのようなものでしょうか。そして2年間の間に試験を受けて、その結果によって行ける大学が決まるのです(もちろん選抜を厳しくするために面接を課す大学もありますが)。

さて、私が教えているクラスは生徒数が6人。お世辞にもうちのSixth formは人気があると言えず、とくに人文学系の科目は生徒数が少ないのがここ数年の傾向です。現在、私が教えてる単元は「エリザベス朝の政府と政治」というタイトルだけだと「つまらなそう」と言われそうなトピック(笑)。エリザベス1世は一般的にはイギリスでは成功した君主と高く評価され、様々な小説家や映画やドラマ制作者が好んで取り上げる歴史人物です。一般的なそのポジティブなイメージにいかにチャレンジし、エリザベスの君主としての成功を主に政治的な観点から評価していくのがこの単元での一番の目的です。

今回行ったイベントはこのエリザベス朝の政治問題、宗教問題、議会と君主の関係などについて、大学の教授陣が講義を行うというものでした。1月にある試験に向けて生徒にとって良い復習になるかなと思って連れて行ったのです。一つの講義は40分。それが朝と午後に二つずつで計4本。私たちのほかにも会場にはイギリスのいろいろな地域からやってきたA-levelの生徒達が100人以上いました。

こういう時に気付かされるのは、いかに私の学校のある東ロンドンが特殊な地域かということ。私の連れて行った生徒は全員が人種的にはバングラデッシュ系のアジア人。彼女らは生まれも育ちもイギリスで英語もネイティブですが、ほとんどの家庭で両親と話す言語はベンガル語、宗教はイスラムで一人を除いては全員ヒジャブ(頭にかぶる布)を付けていました。普段そういう子供たちと当たり前のように接してる私は地下鉄でも会場に行くまでの道でも何とも思わなかったのですが、会場についてあたりを見回すとほとんどが白人イギリス人の若者たち。ちらほらインド系と見られるアジア人の生徒もいましたが、ヒジャブをかぶっているアジア人女性はうちの生徒だけ。さらに驚いたのは体格の違い。東アジア人である私の背丈はまぁ標準で、自分の生徒と同じくらいの体格ですが、周りの他校の生徒達は頭一個分以上大きい子が大半!特に女子校勤務の私には男子生徒が大きく見えること!!私のほうがきっと子供に思われていたことでしょう。現に他の学校の生徒の隣りで一生懸命内職(いえ、生徒のノートの採点です)してたら、ぎょっとした目で見られました。

私の生徒たちもこれには相当驚いたようです。女子校でずっと学んできた上に、ムスリム女性は家族以外の男性と交流する機会もそんなにありませんから(例外あり)、当たり前といえば当たり前ですね。休み時間に「圧倒されたよ~」とさざめきあってました。そして講義中はいつもより緊張した面持ちでまじめにメモを取る生徒達。自分の学校にいるとあんなに堂々としてるのに外に出るとすごくシャイなのです。これは彼女らに限らず、うちの学校のほかの生徒にも言えることですが。低学年は恐ろしいことに集団化するとどこに行ってもすごいうるさいですけれど。

さて、肝心の講義の感想を聞いたら、全員が口を揃えて「情報は役には立ったけど講義自体はつまらなかった」ですと。理由を聞いたら「だってただ座って聴いてメモ取るだけなんて!もっと講師と生徒の対話があった方が良い!!」と意見が。「大学の大講義って基本はこんなもんだよ」と言うと「えぇぇっ?大学行きたくなくなった、、、」なんて冗談半分本音半分の反応が返ってきました。イギリスの生徒達は授業中に発言の機会がかなり与えられており、普段からディスカッションを通して学んでいくことが多いので、大学スタイルの講義というのは未知の世界だったようです。まぁ、貴重な経験になったと思います。

今回はそういうわけで色々な意味で彼女らにとってはカルチャーショックとなった一日でした。さぁ、一月の試験に向けて私も根気入れて指導にあたらなくては!

投稿者 lib : 12:20 AM | コメント (0)

ロンドン案内 その1

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日本から友達が遊びに来た。
ロンドンで何が見たい、何がしたいというのは、人によって違うので、それに合わせて色々なところへ連れて行くことにしている。

「リバティプリントの小物が欲しい」とか、
「ハロッズのショッピングバッグが買いたい」というのは楽勝だが、
「ロンドン橋が跳ね上がるのを見たい」とか言われると困る。
タワーブリッジとの勘違いは指摘できるとしても、橋が開くのは特別大きな船が通るときに限られている。ロンドンっ子でもめったに見られない瞬間だ。
いくら納税者でも、一市民にすぎない私の一存では・・・。

「ロンドンアイに乗って、矢井田瞳の歌が歌いたい」というのもあった。
「え? 『焼いた瞳』?」
「ヤイコってシンガーなの」と親戚の子。
(焼いた瞳か・・・。「全日本 眼科医 レーザー治療研究会 今月の議題」みたいな名前だな)としばらく思っていた。

さて、友人はロンドンの観光名所を一通り見てから、田舎に行き、B&Bに泊まりたいと言う。

「それから、ローストビーフとヨークシャープディングが食べたい。『ルールズ』がいいな。おごるわよ」とのことである。
「御意 (ぎょい)」と承ったが、生憎、希望日に席が空いていない。
「二番手として、 『シンプソンズ・イン・ストランド』はいかがざましょ?」と聞いたところ、
「よきにはからえ」との答えである。
店に電話をすると、 「Tシャツやジーパンで来ないでくださいね」と言われた。
アメリカ人観光客じゃないから、大丈夫よー。

シンプソンズに私が予約を入れ、彼女が支払いをするという絶妙のコンビネーション。

これは学生のとき、クラスで寿司屋に行き、隣に座った子から、
「あたし、ウニ、イクラ、トロは苦手なの。代わりに食べてね」と言われ、盆と正月がいっぺんに来たような気分になって以来のことである。

ローストビーフは以前、サヴォイでも食べたことがある。
目の前で切り分けてくれるので、カッコいいのだが、私としては心ひそかに
(韓国の焼肉のほうがおいしい・・・)という感想を持った。
料理自慢の友人のもてなしも受けたが、肉質が硬かったり、焼きすぎだったりで、あまりおいしいのにめぐり合ったことはない。

シンプソンズのローストビーフはおいしかった。 (でも、やはりカルビのほうが好き)
焼き加減は無難なところでミディアムを頼む。ミディアムといっても、レストランによって、レアに近いミディアムだったり、ウェルダンのようなミディアムだったりと、ずいぶん違う。 「xxでよろしく」と言っても、どんな状態でサーブされるかはギャンブルみたいなものだ。

「ミディアムなのに、中心がピンク色じゃないね」とシェフの前で堂々と言い合う。
こんなとき、日本語って便利よね。何を言ってるかわからないだろうし。
グレービーはサラサラした液状で、ちょっと新鮮に見えたのは、日頃、安価な 「インスタント」グレービーのトロリとした感じに慣れているせいだろう。

肉にはホースラディッシュ。付け合わせにローストポテトとキャベツがついてきた。
どうせ食べきれないだろうと、スターターはなし。
酒を飲まない彼女はミネラルウォーター。私はグラスワインを頼む。しっかりしたレッドでおいしかった。

お腹はいっぱいだったが、ここまで来て、デザートなしというのも悔しい。
「ギャル曽根、させてもらうわ」と気合を入れる友人。よし、私も受けて立とう。
カスタードソースのかかったハニースポンジケーキを一つだけとって、二人で分ける。
これもおいしかったけど、すごく甘い。
「喉がひりひりするんだけど、これって甘さのせい?」
「やっぱり? 私も喉が痛い」と囁きあう私たち。
ひりつく喉をさすりながら談笑するふたりは 「いやー、満足、満足」と言っているように見えただろう。

ローストビーフは一人前が23ポンド。ワインはグラスで7ポンド。ミネラルウォーター、デザート、コーヒー、紅茶の全部で80ポンドくらいだったと思う。

次のお言葉は、
「ミュージカルが見たい。おごるから」とのことであった。
「御意」と申しつかって、次回に続く。

投稿者 lib : 12:17 AM | コメント (2)

December 05, 2007

ウインザー城、イートン校(その1)

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女友達と旅行にいくことになった。
二人ともロンドンに長く住んでいるが、一緒に出掛ける旅はこれで2回目だ。
パリにしようか、それとも行った事がない英国国内などと候補があったが、
なんと近場のウインザー城、イートン校巡りとなった。
ロンドンからだと通勤圏内なのに、なんと1泊することにした。
久しぶりに家から解放?されて、ウキウキムードの2人。
まずは、ゆっくりのお出かけで、それも電車を使い、昼頃に着いた。
さっそくお昼だ。
前に来た事があるが、何も調べていないので、行き当たりバッタリのレストランに入った。
料理は、まあ、観光客用だからこんなものかと言う感じだった。
いつもなら、料理に文句をいうが、女2人はともかくよくしゃべるのだ。
だから、あまり料理はたいして関係ない。
近況は、お互いにしっているが、いざこうしてゆっくり話しだすと、細かい点を聞いていなかった。

お互いが、英国人をダーリンにもち、なんとダンナが同じ年。
そして、どちらもダンナの両親が離婚をしている。
もちろん始めの話題は、姑問題。
彼女の場合は、ダーリンが一人っ子。その上、両親ともロンドンに住んでいるので大変。
その上、義理ママがすごい。キャリアウーマンで、美貌が自慢。
ミニスカートは着こなすし、いまだに恋愛モードにすぐに入れる強者だ。
どうも嫁と張り合っているらしい。
仕方がない。男の子で一人っ子。その上、離婚していたら、その子供はママにとって、子供でありながら、恋人役なのだ。
やれ、今日は男か声をかけてきたとか、お茶に誘われたとか、いかに自分がモテるかを嫁にアピールするらしい。
そして、嫁にまで、もっとミニスカートをはけとか、痩せすぎて胸を小さくするなとか、
ある時は友達的に、また、ある時はライバルとしての助言が飛ぶらしい。
確かに彼女の結婚式に参加した時に、新郎のママは、ママというより女をアピールしていたドレスだった。
女としは、尊敬できるけど、義理ママとなるとちょっと違うな。

ダーリンの両親は、現在パートナーがいないので、さびしいのか子供夫婦と一緒に過ごす事が多いそうだ。
それにロンドンにいるために、家族行事が多く、そのたびに振り回されるらしい。
やれサッカーを一緒に見よう。ご飯を食べに行こうというお誘いから、誕生会、クリスマスと会う機会が多い。
ああ、それに比べて、私はなんとラッキーか。親戚が遠くにいくので、年に会うのは数回のみ。神に感謝だわ。

あるとき、友人は、甘党の義理パパの誕生日に、 奮発して高いケーキを購入していったそうだ。
会場は、もちろん義理ママの家。料理をつくるのもママだ。
ほら、おいしいでしょう、とみんなに褒めてもらいたくて仕方がない。
友人も慣れているので、「おいしいですね。」とママをいい気持ちにしてあげる気遣いもしていたそうだ。
そして、デザートタイムになった時に、義理パパはウキウキしいていたそうだ。
実は、義理の娘が買って来たケーキを見てしまっていたからだ。
義理パパ「なんかデザートなんかあるんじゃないのかな?」と遠回しにいった。
義理ママ「あ、そうだったわね。」と言ってキッチンに行って、
持って来たのはスーパーマーケットで購入した大型のトライフル(カスタードクリームに生クリームが載ったお菓子)。
義理ママ「これって意外に美味しいのよ。沢山、食べてね。」
友人(やられた。ママは、おいしいケーキがだされると、買って来た自分に話題が移るのが面白くないんだ。)
みんなは、仕方がなくそのトライフルを食べた。
義理ママ「家には、私1人だから残さないで食べてね。」と2杯目も取り分けている。

しかし、友人も負けていない。
「私のケーキもあったわね。だしてもいいかしら?」と台所に行って、ケーキを自ら持って来たが
すでにみんなは、お腹がいっぱいで食べられない様子。
義理ママ「あら、もったいなかったわね。」そして、パパに向かって
「せっかくだから持って帰ったら?」でお終いになったそうだ。

すごい義理ママです。
そして、我々は、お腹もふくれたし、やっと観光にと動き始めました。(つづく)

投稿者 lib : 03:02 PM | コメント (0)

December 04, 2007

教育方針

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先日新聞を読んでいたら、政府は3歳からのナショナル・カリキュラムを設定し、来年から法律として施行する予定だという。つまり幼稚園などでは、政府の定めた方針に従って子供達に「アカデミックな」教育をしなくてはならなくなるらしい。

イギリスの公立小学校では4歳からレセプションというクラスに入り、実質的に小学生となる。4歳でも読み書き、発音などを教わるのも早いなあと思っていたが、更に年齢引き下げか・・・。

私は教育の専門家でも何でもないので早期教育をしてどんな良い事があるのかよく分からないが、素人の考えとしては、「イギリス政府は、なにをそんなに躍起になっているんだろう」という感想である。

私の息子が3歳だった頃のことを考えると、その頃までは文字通り「静止している」ということが寝ている時以外無かった。
ママ友とピクニックに行き、他のお母さんと子供たちがブランケットを広げてラブリーにお弁当を食べている時でも、息子は決して座らなかった。結果、私は動き回る息子の後をついてまわらなければならず、いつも飲まず食わず(ついでに休憩知らず)だった。

お弁当の時に座らない息子が、お絵かきや絵本読みで座るはずがない。
結果、彼は同じ年頃の子供よりも運動能力は高いが、絵は描けないし言葉の発達もかなり遅れていた。

どの国の、どの育児本にも「本を読み聞かせる事は良い事です」と書いてあるが、本人が嫌がるのだから仕方ない。
その頃、仲良しの日本人ママ友は、「ナーサリーに入ってから、日本語を全然話さなくなってしまって・・・」と心配していた。この娘さんはナーサリーに入る前には本当に上手に日本語をお話していたので、勿体無いとママが思う気持ちはよく理解できたが、うちの息子はもともと英語も日本語もヘタだし、日本語を話さなくても全然気にならなかった。

本読みにしてもお絵かきにしても日本語にしても、親が強制することによって、本人が「嫌なもの」というイメージを持ってしまうことの方が怖いと思っていたので、別に本人がやりたがらない事はしなくていいよ、というスタンスをとっていた。
机に座ってする勉強は大きくなってからいくらでもできるし。

でも「今しかできない」ことは積極的にやらせた。外で遊ぶことは好きだったので、これは積極的に遊ばせた。
冬は寒くて暗くてなかなか外で遊べないイギリスだが、天気の良い日はなるべく外に出た。
外に出る事によって、季節や自然を感じ取って欲しかった。夏は暑い、冬は寒い、そういう当たり前の事を知っている子になってほしかった。

日本は四季の豊かな国なので、私は子供の頃を思うとき、夏を思えばもくもくとした入道雲や、ひまわりの鮮やかな黄色や、スイカの冷たさが心に鮮やかに浮かんでくる。冬を思えば、吐き出す息が白くなるのが面白かったことや、朝、庭の土の上に降りた霜を踏むサクサク、という感覚・・・大人になってわざわざ霜を踏む人はいないから、こういう経験こそ子供時代にしかできない経験だと思う。中学だか高校だかの古典の授業で、「枕草子」の冒頭を習ったとき、「こんな昔の人も自分と同じ感じ方をしていた!」と驚いたこと・・・。

こういった感覚が大人になってから何の役に立つのかは分からないが、私の中ではすごく重要なことの様な気がする。私が今まで出会った中で「強い人だな」と思った人は、皆、子供の頃自然の中で遊んだ経験を生き生きと話すことが共通点なので、知らず知らずの内に息子にも「子供時代に、へとへとになるまで遊んだ思い出を作って欲しい」と思うようになったのかもしれない。幸せな子供時代の記憶があれば、社会で生き抜く強さが身につく筈、と何の根拠もないけど信じているような気がする。

だから手抜き母の私が、息子がもっと小さかった頃に心がけた事と言えば
「ハッピーでいてほしい」という事だけだった。
長い人生、気の進まないこともしなければならないし、嫌な事もあるだろう。
だからこそ、人生の最初の3~4年くらいはストレスフリーで自分の好きな事だけをしてもらい、
「生きるって楽しいことなんだな」
という印象を抱いてくれれば、私の幼児教育方針(?)は成功だったと思っている。

と言うわけで、少し時期がずれて息子がこのカリキュラムの下で生活しなくてはならなかったら、もしかしたら彼なりにプレッシャーを感じていたかもしれない。でも5歳の今は学校で発音や文字を習うのを、楽しんでいるようなので、子供って分からないからもしかしたら3歳から始めてもそれなりに楽しく適応したのかもしれないけど・・・。
で結局何を言いたいかというと、「子供は外で遊ばせましょう」ってことでしょうか(笑)

投稿者 lib : 10:34 AM | コメント (0)