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March 27, 2008

お星様きらきら、瞳きらきら。

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イースター明けの今日、兼ねてより楽しみにしていた授業がありました。

実は、EAL(English as an additional language) group、つまり英語が母国語ではない子供を集めた小さなクラスでEAL専門の教師である同僚UとTeam teaching(複数の教師がチームになって一緒におこなう授業)をする約束を数週間前にしていたのです。

移民の多いロンドンでは大抵どこの学校へ行っても必ずEALの子供がいます。学校によってサポートする体制に多少差はあるかと思いますが、普通、In-class supportと言って、専門のアシスタントスタッフが普通授業のなかでEALの子供を個別にサポートするか、Withdrawal sessionといってEALの子供たちだけを集めてEAL teacherが別の場所で授業をするかのどちらかになります。

最近では「Inclusion」というコンセプトが当たり前になってきていて、EALでもビギナーレベルの生徒以外はなるべく普通の授業に参加して他の子供たちと一緒に学ぶほうが英語の伸びが良いとされています。これは現場では是非の問われるところですが。

さて、なぜ歴史教員の私がそのEALの授業に参加することになったのかといいますと、、、。同僚Uが授業で自分が日本の俳句について教えるからその延長で私に日本語、それから日本の書道について子供たちに教えて欲しいと頼んできたのです。

私自身、書道は実は幼少期から小学校の高学年まで習っていたので基礎は知っていますし、自分の運営する部活であるJapanese Clubでも教えたことがありました。道具もそのために日本から3組ほど持ってきていたのがあったので即OKしました。

そして今日の二時限目にその授業はありました。そのEALのクラスは私の教室でいつも授業がおこなわれているので、たまに彼女らの授業の様子を垣間見ることがあります。生徒も全員で6人。私がいつも教える授業は大抵30人クラスですから、本当に小さなグループです。

生徒の国籍と人種は様々。バングラデッシュ人もいればソマリア人、リトアニア人(恥ずかしながらLithuaniaが日本語表記のリトアニアなのだと後から気づきました)の子もいます。

彼女らの英語のレベルは私が少しゆっくりとしゃべれば、ほとんどこちらの言うことは理解でき、簡単なことならば自分たちで知っている単語を使って説明できます。Writingはまた違うのでしょうが。

簡単に日本語の成り立ち、中国との関係、書道の道具や歴史を説明した後、授業で使われた松尾芭蕉の俳句にあった「音」という漢字をお手本として楷書で書いてみることにしました。二年ぶりくらいに向かい合った半紙。筆も久々に握ったので少し違和感がありましたが体は覚えているものですね。持ち方もちゃんと覚えてました。

同僚Uとアシスタントで入っているもう一人の同僚、そしてEALの生徒たち6人が注目する中、なんとか無事に書き上げました。仕上がりはというと、自分の中ではお世辞にも上手いとは言えず。それなのに周りは「Wow!」とかなり感心した様子。かなり複雑な気持ちになりました。

「書道は間違えてもなぞったりして修正してはいけないのよ」と私が言うと

「じゃあ、Xと線を引いて隣に書き直せばいいのかな?」と生徒の一人が(笑)

「書道は何度も何度も新しい紙に書いて失敗せずに美しく書けるまで練習するものなんだよ」と言うと納得。ちなみに漢字がいかに難しいかを知り、さらに私が日本の小学生はひらがな・かたかなに加えて1000字くらいの漢字を何度も何度も練習して書けるようにするんだよと言うとすごく驚いていました。

私も日本語を習っている友人がこちらで何人もいて、漢字を覚える難しさについてはよく耳にするので、自分自身母国語とはいえあれだけの数の漢字を覚えたというのは確かにすごいことだったのだなと思います。まぁ、それだけ当時の私の脳みそも柔軟だったのかもしれませんが。

生徒の一人が「The Sun(太陽)」を書きたいと言ったのですが、今日は一文字書くのが目標だったのでとりあえず、「日」という文字を教えました。もっとチャレンジしたいと言った子には「陽」の漢字を。厳密にはこれだけでは太陽の意味にはならないのですけれど。

それから「Star(星)」という漢字もリクエストされました。そこで私が気づいたこと。

「今まで教えた漢字、『音、日、陽、星』全てに『日』の文字が使われているね」

なるほど、とみんなで納得。日本人なのに私自身、あまり意識してなかったのです。そして、「星」という漢字を見て思ったこと。

「星って『日』という漢字と『生』という漢字が組み合わさって出来てる。もしかして日(太陽)から生まれるのが星って考えたらいいのかな」と。

子供もこのアイディアを気に入った様子。あとでネットを調べても星という漢字の成り立ちを正確に知ることは出来ませんでしたが、この「太陽から生まれる無数の星たち」というイメージが私も好きになりました。

たった一時間ちょっとの授業でしたが、私自身、多くのことを感じ学んだように思います。彼女らと学ぶ感動を共有させてもらったというか。なかなか生徒全員に歴史を面白いと感じてもらえない、そういう授業をなかなか思うとおりにできないと日ごろ感じることもある私。この授業は私に素直な驚きと感動を与えてくれました。

彼女らは英語があまりできないことなど気にしていません。よく、EALの生徒も自分の普通授業の中で教えますが、中には他の生徒に圧倒されて満足に発言したり質問したりすることすらできない子もいるのです。それに比べ、EALのクラスでは生徒の一人ひとりが主役。みんな堂々と、そして活き活きとしているのです。「学びたい!」という気持ちが伝わってくるのです。

彼女らの瞳の中に無数の星がきらきらと輝いていました。

投稿者 lib : 07:41 PM | コメント (2)

March 26, 2008

ジャンクフードの甘く危険な香り 1

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私の夫は「オーガニック信者」である。

私は元々、それほど気にしない方ではあったが(普段の食生活にお金をかけるくらいなら、洋服を買ったりホリデーにお金を回したい)、やはり一緒に暮らしていれば夫の教義に知らず知らずのうちに洗脳されてくる。

加えて、5年前に子供が生まれた事と、昨今の食品の安全性が信用できない風潮も重なって、我が家のオーガニック嗜好に拍車がかかった。
ちなみに最近、日本で中国産食品の危険性が重ね重ね報道されているが、実は我が家では何年も前から、
「中国産の食べ物は買うな」
と夫からのお達しにより、中国製品は締め出されていた。
自分が中国人なのに、中国産の食べ物が信用できないというのも悲しい話だが、身内だからこそ分かるということもあるのかもしれない。
中国製品締め出し政策は調味料まで及び、我が家の豆板醤はリ●ンキではなく、キッコーマン製である。オイスターソースもキッコーマン製である。日中逆転現象が起こっているといっても過言ではない(何のこっちゃ)

しかし、やはりオーガニック食品は高い。
毎日のこととなると、それなりの出費となり家計に響く。
というわけで、私が買い物するときは、オーガニック以外の肉や野菜も適当に織り交ぜて購入する。
夫が帰宅する前に料理をすませ、「オーガニック」の文字の見えないパッケージはゴミ箱に放り込んで証拠隠滅を図ることも忘れない。

化学調味料も極力使わないようにしている。
…こんな風に書くと、なんだかとってもヘルシー嗜好の奥様のようだが、実は夫にも息子にも言えない秘密がある。
たまにむしょ~に「インスタントラーメン」が食べたくなるのだ。

化学調味料の味が嫌いなのは嘘ではないが、たまに、その化学調味料の味にまみれたラーメンがとても恋しくなり、
「ラーメン食~べたい、今すぐ食~べたい」
と矢野顕子の歌が頭の中をぐるぐるまわり、一秒も待てないほどの、狂おしいほどのラーメンへの恋慕で心が一杯になる。
(私はこれを『矢野顕子現象』と名づけている)

息子がもっと小さかった頃は彼の手前我慢していたが、最近は息子が学校に行っている間に矢野顕子が現れると、ひっそりと禁断の果実(麺だけど)を味わっている。
オーガニックに洗脳され、塩分控えめで化学調味料も使わない、うすらぼけた様な味の料理(自覚あり)に慣れた舌には、「インスタントラーメン」のパンチの効いた味は鮮烈だ。

夫にも息子にも秘密の、白昼の密かな楽しみである。
ああ、人に隠れて何かをするってどうしてこんなに楽しいのだろう。
若い頃、親に隠れてした○○なことや●●なことを思い出す…。(遠い目)


だからどうした?って感じでもありますが、
つづく

投稿者 lib : 12:26 PM | コメント (2)

ああ、海外出張(その2)

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飛行機で搭乗を待っていた時、バーバラが「これ読む?」と言って、
ラウンジにあった無料の新聞を私に渡してくれた。
へぇー、意外と親切じゃん。その後も飛行機の中でウトウトしていたら、
「椅子を倒すといいわよ。」と結構世話を焼いてくれる。
(むー、人は見かけで判断してはいけないなー。)と思った。
そして、我々にとってはトランジットのための飛行場に着いたが、少し遅れての到着だ。
その上、着陸した後もトロトロしていて、なかなかゲートまで到着しない。
PRのリタがいるので任せっぱなしだが、実は我々は結構時間がない。
次の飛行機の時間が迫っている。
そして、ドアが開いて降り、イミグレーションへ向かった。
リタもバーバラもEUの列だが、私はALL OTHERSの列だ。
そして、前にはインド系の家族が審査を受けている。
どうもすんなりと入れてもらえないような雰囲気だ。先に出たリタがイライラして私を見ている
しかし、どうーすることも出来ない。
やっと通過した家族の後に審査を受け、リタ達と合流。こういう時に日本人って不便だなー。
そして、我々は乗り換えの飛行機のためのセキュリティーチェックに向かった。
しかし、次の飛行機のための搭乗券を持っていない。
当然のことだが、セキュリティーのスタッフに止められた。
カウンターに戻って、発券をしてもらうように言われたが、リタも黙っていない。
ロンドンで発券をしてくれないし、乗り換えに時間がないのだから、通過させてほしいと懇願した。
が、答えはNO。
我々は、仕方がなくカウンターに行き、事情を話し、一番先に対応してもらうことにした。
しかし、その担当者は「離陸時間の25分前迄が受付だ。それを過ぎているのでもう遅い。
向こうのカウンターへ行って相談して。」とつれない答え。
言われるままにそのカウンターへ向い、次の飛行機のチケットと交換してもらった。
次の飛行機は3時間後だ。
我々は、ここで時間を潰すことになった。

「そうね。お昼でも食べましょう。」とリタは気を取り直して、レストランを探した。
席についた我々は、ワインを頼み、ゆったりのランチとなった。
ふと気づいたが、ドイツの空港ってなんだか静か。人々もひそひそしゃべっている感じ。
そこへ、リタのしゃべり声が響く。
飛行機に乗り遅れた事。先に1人が現地に着く事。
タクシーの手配などなどを到着先の相手と連絡しあっているのだ。
それは大変なことなのだが、明らかに我々の存在は浮いている。
どうもうるさいのだ。リタは気がついていない。

そして、待って、待ってやっと乗れる時間になったので、ラウンジに向かった。
しかし、到着する飛行機が遅れているということで、そこでまた待つ事になった。
そんな後だから、搭乗手続きが始まった時にはリタは、はしゃいだようになって
「ほら、 急いで。早く乗りましょうね。」と我々を促す。
しかし、自分のスタイルを崩さないバーバラは、
「急いでも同じよ。ゆっくり行きましょう。」とゆっくりモードだ。

乗り込んだ 飛行機は、小さなタイプで、小型のスーツケースと手荷物を持ち、
最後に乗り込んだ我々には、荷物を置く場所見つからない。
リタが「ほら、詰めさせてもらって、ここに置きましょう。」と座席の上の荷物おきに
自分のスーツケースを入れようとした。
他人の荷物を押しのけ、スーツケースを入れ込もうとしているリタを見て
スチュワーデスが我々の所に飛んで来た。
「NO。マム。あなたのスーツケースの車輪は汚れています。他の方の荷物を汚しますので、無理に荷物を乗せないでください。」ときつく断られた。
「じゃあ、我々の荷物はどうするの?」
「自分の座席の前に置いてください。」
「ちょっと、それじゃあ、足がはいらないじゃないの。」
「置いてみて。」
試したが、やはり足が入らない(このスッチー、歳は取っているが新米?って感じの対応だ。それとも英国人嫌いかしら??)
「では、空いている座席の前に置いて下さい。」とスチュワーデス。
その間、上げたり、置いたり、移動したりと他の乗客の視線にさらされていた我々だった。

外は、暗くなってきている。
どうやら、やっと目的地が近くなってきた。まだ終わっていないが、長い1日だなー。(つづく)

投稿者 lib : 10:11 AM | コメント (0)

March 23, 2008

Tennis

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当社の社員の3名がその翌朝土曜日、 Argos へ走ったという。その
前知識を仕入れ、僕も Amazon へインターネット上で走りオーダーし
た。ずっと気にはなっていたのだ。あれだけ巧みなTV宣伝をしばしば
見せられて、多少でもおもちゃ好きなオヤジなら、気にならぬわけが
ない。しかし1分を惜しむ毎日が昨年から続き、なんの手当てもでき
ずにいた。

その日は当社の新人歓迎会にて、シティーのパブで飲み始めた。ちと
ポッシュなパブであったが、それが置いてあって自由に遊べるのであ
った。今思えばこれを設置したフロア長は大したものだ。他の客がぎ
ゃあぎゃあ遊んでいるのを見ながらその凄さに呆れてしまった。いっ
たいなんなんだこのシステムは。加速度センサーというかジャイロと
いうか、昔は高価で巨大だったものが、こんな小さなコントローラー
に収まるようになったからなのだろうか。そしてそれを安価に提供で
きるまでに開発してしまう、かつ少年のように面白さを徹底的に追う
素敵なオヤジ達が集まっている組織に脱帽である。

カラオケマイクを話さないオヤジもいるが、僕はギネスを片手に、そ
の後たっぷり1時間、汗をびっしょりとかきながら、テニス、ゴルフ、
野球、ボクシングと、大忙しに遊び、WIIコントローラを離さないオ
ヤジと化していた。遊びたかったけど社長がコントローラーを離して
くれなくて遊べなかったスタッフの皆さん、ごめんね。今度ぜひ我が
家に来てください、一緒に遊ぼうよ。

Amazonから届いた箱を開けて3日後、イースターホリデーとあいまっ
て、僕のWIIスポーツのテニス腕前は600点を超えたぞ。既に相当
汗をかかないとコンピューター相手のゲームは勝てなくなっている。
ハード・ソフト共、芸細かく、バランス良く、感心の連続である。長
い道のりだと思うが、現在300点を越した同居人とともにWIIテニ
スプロの道をいつか究めたいと思う。

満足度120%の購買だった。一家の愛犬になりたいというのが開発
陣の根底に流れているのではあるまいか。どうにも見習わねばなる
まい。

投稿者 lib : 05:03 PM | コメント (2)

March 22, 2008

ほっとした瞬間

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先週は気の休まらない週でした。

前回のブログで書いたように採点物が多かったせいもありますが、それよりも何よりもずっと気にかかることがあったからです。

実は数週間前、Six form(うちの学校は12・13年生がA-levelというコースをやるための学校であるSix form collegeが併設されています)のHeadである同僚Sからメールが届きました。

「17日にあなたの12年生の授業(最初の半分である50分間)を観察します」

観察の主眼点は『Challenging Lesson』。ひとりひとりの生徒の知識と理解を深め、より高いレベルまで教科に関わるスキルを伸ばせるような内容の授業を教師がおこなっているかをモニターするのが目的です。授業観察自体はこの国で教師になってから数え切れないほどされたので慣れているのですが、観察の目的が目的なだけに自分がどれほどレベルの高い授業を生徒にわかりやすくやれるか問われるということもあり、メールを読み終わった後は緊張感が体中に走っていました。

A-levelはほぼ日本の大学のゼミに近いような授業をします。割と小規模なクラスで、討論なども活発に行われます。歴史に関して言えば、史実をそのまま知識として教えることの多いGCSEと比べ、より生徒の史資料(一次史料・二次史料含めて)の理解力・分析力が問われ、それから著名な歴史家たちの学説などもある程度理解・考察する必要があります。そのため、そういう知識・スキルを問うA-levelの試験は短答式ではなく、すべて記述式なのです。

日本で教育を受けた私自身、歴史家の学説にまともに触れたのが大学2年でゼミに入ってからですから、A-levelを教え始めたときはずいぶん高度なことを早いうちにやらせるのだなと思ったものです。

A-levelの試験結果は生徒がどの大学にはいれるかを左右するものですから、教える側も慎重に授業計画をしなくてはなりません。私自身、A-levelを教えるのは今年で3年目ですが、特に今年から教え始めたナチスドイツ史の週二回の授業準備には毎回相当時間をかけています。

そんなわけで、先週一週間はこの月曜日の授業のことで頭がいっぱいで、相当ナーバスになっていたわけです。実際、金曜日の放課後から日曜の夜まで、空いてる時間はすべて準備に当てたわけですが、やはり観察授業となるといつもより気を遣う点も多く、結果的にいつもの3倍は時間をかけることになってしまいました。

そしていよいよ当日。教室に着くとほどなく同僚Sが。彼女は宗教を教える教師でもあるので歴史とは学部が一緒のため、よく顔を合わせる同僚です。とはいえ、今回は私の上司として観察するわけですし、彼女に授業を見られるのも初めてなのですごく不思議でした。

生徒もそろい、授業開始。緊張するかと思いきや、授業が始まってしまえばこちらもリズムに乗ってきて観察されていることもあまり意識せずにできました。生徒もいつもどおり(もしくはそれ以上?)、積極的にディスカッションに参加したり、面白い意見を出してくれたりして好調。計画したよりもひとつひとつのタスクに時間がかかってしまいましたが、結果的には内容の濃い授業をみんなで作り上げたという満足感がありました。

あっという間に50分の観察終了。昼休みに感想・注意点なども含めたFeedbackをもらえるというのでどきどきしながらそのままあと50分授業を進めました。

そして昼休み。同僚Sから授業の感想を貰いました。彼女の授業観察の紙には観察のチェックポイントがならんでいたのですが、そこには「Y」という文字がいっぱい!「Yes」の「Y」で目標到達した部分が多かったという証拠なのでほっとしました。

最後まで授業計画案よりも時間がずれたことが気になっていましたが、そこには全く触れられず、私が生徒一人一人の学力に合った課題を与えたこと(Differentiationと呼ばれます)、授業中のディスカッションの質問も適切で授業に良い流れがあったこと、そしてなによりも生徒が意欲を持って授業に臨んでいたことなどがあげられました。

実はこれは教師4年やっている中で一番嬉しいフィードバックでした。なにしろ、12年生の生徒は16・17歳くらい。下手をしたら私よりもボキャブラリーが多く、(あたりまえですが)流暢に話すので、ネイティブでない私は彼らとのディスカッションをスムーズに進めるだけでもチャレンジであったりするのです。

今日の授業を土台にしてもっと自信と実力をつけたい。久しぶりにすごくポジティブな気分になれた出来事でした。

投稿者 lib : 09:37 AM | コメント (0)

March 19, 2008

ああ、海外出張(その1)

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私は、仕事柄めったに海外への出張なんてない。昨年がなんとか2回。
そして、昨年と同様な仕事で急遽ドイツに行って来た。
これは出張というよりもPR絡みなのでご招待されていくのだ。
なんて書くと羨ましがられるが、タダほど怖い物はない。
あとでこのお返しをしなくてはいけないので、プレッシャーだ。
さて、 一緒にいくのは私の他に3人の女性達。
フリーでPRの仕事をしているリタ。
今回のコーディネーターで、適度にやり手の気の良いオバさんだ。
マリアは、記事を雑誌社に提供するライターで、子供が2人いる良妻賢母でありながら、
仕事もしっかりこなす優しいママだ。
この2人とは、昨年も一緒に行動をともにしたので、なんだか嬉しい再会。
それに今回はもう1人の雑誌社に勤務するエディターが参加するようだ。

空港のチェックインカウンターで待ち合わせることになったが、
これまた朝の早い時間に集合だったため、待ち合わせの時間に少し遅れそうになってしまった。
心配をかけてはいけないと思い、リタの携帯に電話をしたが出ない。
まあ、遅れると言っても数分だ。たが、日本人の几帳面さ?か、
悪いと思い、ヒースロー駅に降りた後は、ちょっと小走りに約束の場所に向かった。
しかし、なんと誰もいないではないか。さすが、やはり英国人たちだ。
時間に遅れそうになるとハラハラするのは、日本人だけ?
そこへゆっくりとリタがやってきた。
「あら、もう着いていたの?私はね、道が混んでいてね。タクシーが進まなかったの。
いつもそうなのよね。、、、、」
(なるほど、英国の乗り物は何も信用できないからねー。でも、あなたがコーディネーターだから少し早くきたほうが、いいのでは?と思うけど、ここは英国。まあ、いっか。)
そこへリタに話しかけてきた女性がいた。(あ、多分これがもう1人の同行者だ)
背が高く、長い髪、高いハイヒール、 グリ−ンのジャケットの上から太いベルトをして、
ファッションに興味ありまーす。という出で立ちだ。名前はバーバラという。
ロンドンからは、この3人だけなので、一緒にチェックインした。

今回はちょっといろいろな事情が重なり、我々はドイツ国内で一度乗り換えて、
ドイツの他の都市へ向かうルートとなった。
マリアとは途中の空港で一緒になる予定だ。
最終目的地迄、同じ飛行機会社を利用するので、1枚のボーディングチケットで済むはずなのに、機械がどうの、こうの、と言われ、トランジットの際に、再度、向こうで新たな搭乗券を発券してもらうように言われた。
今回のトランジットでは、あまり時間がないので、できれば1枚の続きの搭乗券にしてほしい。
とリクエストしたが、答えは同じだった。仕方がない、我々はこのまま出国カウンターへと進んだ。

入り口では、 液体、ジェル、クリームが手荷物に入っている場合は、それらをビニールの袋に入れて、セキュリティーを通過するようにアナウンスしている。
我々は 乗り換えに時間がないので荷物は手荷物だけとされていた。
もうこれは習慣化されていて、誰もが事前にそれらを袋に入れるか、
取り出しやすくしている人が多くなっていると思っていたがどうも違っていたようだ。
私もリタも準備万端でその袋を手にもって歩き始めたら、
バーバラが「ちょっと待って。」と言って、近くの椅子に腰掛け、
小さなスーツケースを開け、液体、ジェル、クリームなどを探し出し始めた。
どうも何も準備をしていなかったようだ。
本人は、慌てている様子はない。マイペースだ。
しばらくすると小声で「カモーン、バーバラ」とリタがイラついき始めた。
やっといろいろ取り出し準備ができたバーバラと一緒に3人がセキュリティーを通過した。
その前から、リタが「ああ、コーヒーが飲みたいわね。私は朝にコーヒーが入らないと仕事にならないのよ。ここを通過したら、まずはお茶にしましょうね。」と騒いでいる。

通過し終わると、そこはデュティーフリーのショップが並ぶ。
バーバラが「私、口紅が買いたいんだけど、いいかしら?」とリタに聞いた。
リタが「いいわよ。そしたら、コーヒーを飲みましょうね。」と繰り返し我々に言った。
意外と早く口紅を購入したバーバラが「サングラスも買いたいの。」という。
そして、3人が一緒にサングラスのコーナーに向かった。
しばらくバーバラはサングラスを見ていたが、これもまた早々に決め、購入した。
我々は、やっとカフェにたどり着いた。
ここで、自己紹介を兼ねてだらだらおしゃべりタイムとなった。
2人は、前から知り合いだからよく話す。
途中で私に気を使ってか、話をしてくる。
私は気になるバーバラを観察している、バックから、小さな鏡を取り出し、先ほど買った口紅をつけてご満悦のようだ。「昨日買った口紅が気に入らなかったの。これはいいわ。」とバーバラ。
ファッション狂いの自己中に見えるバーバラと、やり手のリタ、そして、次の空港で合流するマリアとの2泊3日の出張の旅は、これから始まる。続きはお楽しみに。(つづく)

投稿者 lib : 11:16 PM | コメント (0)

March 18, 2008

ゴールド・ディガー

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ポール・マッカートニーと元妻ヘザー・ミルズの離婚調停に決着が着いた。
ポールからヘザーに2430万ポンド(約47億3000万円)を支払うことで同意したという。
ヘザーが提示していた金額は1億2500万ポンドだったから、約5分の1に大幅値引きだが、なぜかヘザーも今回は「ハッピーよ」と合意したという。

一人娘のベアトリスちゃんへの養育費は年3万5000ポンド。これも予想よりかなり少ない。
今年の9月から小学校に上がるべアトリスちゃん、私立の学費が平均1万ポンドだから、これだけで約3分の1が飛んでいってしまうな、パチパチ。(そろばんを弾く音)

ヘザーもポールも、離婚した当初から「ヘザーはポールのお金目当てで結婚した訳ではない」と主張しているので、他人が金額についてどうこう言う問題ではないでしょう。(と言いながら思いっきりどうこう言ってますが)
そう、ヘザーはポールのお金目当てで結婚したわけではないのです。
年齢が25歳も離れていようと…。
そして「二人の結婚生活を出版やテレビ出演によって口外する権利」にあれだけ固執しようと…。
だって本人がそう言っているのだから…。

なので、ヘザーには全く関係ない話ではありますが、先日、新聞に
「ゴールド・ディガー(お金目当ての女)に捕まらない方法」
というのが載っていた。

なぜか記事の横には裁判所へ向かうヘザーの写真が添えられていた。
「写真は本文とは関係ありません」
と注釈を付けてあげたくなった。
だって、ヘザー本人がお金目当てではないと言っているのだから…。

それはそうとして、その「ゴールド・ディガーの見分け方」
を読むと、

1. 初めてのデートでレストランの支払いの時、自分も払う仕草をするかをチェックせよ
2. まだ付き合って間もないのに、洋服や宝石などをおねだりしてきたら要注意
3. あなた自身や両親の資産をさりげなく聞いてきたら、かなりゴールド・ディガーの要素あり

などなど、「資産家の男性読者の皆さん」に近づいてくる女のチェック事項が事細かに書かれている。 

あの……、これって、わざわざ記事にする様なことか?
そのまんますぎるんですけど…。
大体、プロの(?)ゴールド・ディガーの皆さんはもっと巧妙に男性に近づくんじゃなかろうか。ヘザーがポールにしたように……(おっと失礼、ヘザーはお金目当てでポールに近づいたんじゃなかった、だって本人がそう言ってますから。)

その記事の最後には、
「上記の様な、ゴールド・ディガー撃退法をマンツーマンで指導してくれる、資産家のあなたに最適なクラスがあります。魅力的な女性が1日あなたと模擬デートをして、状況別に個別サポート。ポールの二の舞を踏む前に、女性を見る目を養って、本当の愛に満ちた結婚をしましょう!(そしてあなたの財産を守りましょう!)料金はお手頃な475ポンド!(プラス実費)」

一日475ポンド(プラス実費)…あの……これって……。この会社が「ゴールド・ディガー」なのでは?
それとも「資産家の男性読者の皆さん」にとっては、自身の資産を守るためなら、475ポンド(プラス実費)の出費など屁のようなものなのだろうか。
貧乏人にはよく分からない世界だが、こんな講座に、ほいほい出かける時点で「ゴールド・ディガーの餌食候補」の要素満点なような気がする。
講座が終わるや否や、
「おめでとうございます!これがグレード1の修了証書です。更なる飛躍を目指して、グレード2の講座の予約を今すぐに!あ、更にパワーアップした講座内容となっておりますが、受講料はたったの800ポンドです!」
さらに、どこからか登場した「関係会社」の面々に、
「ぜひお勧めしたい株があります。まあここにお座りになって…」
「イタリーに良い別荘地が…」
と、一日が終わる頃には身ぐるみ剥がされ会場を去る「資産家の男性読者」の姿が目に浮かぶ。

そしてしつこい様だけど、ヘザーはゴールド・ディガーじゃないんだってば、だって本人がそう言ってますから…。

投稿者 lib : 11:28 AM | コメント (5)

March 13, 2008

M-Word

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教師になって一番大変なことは何か、、、。

教師一年目に同じ質問されていたら迷わず「生徒指導(Pupil management)」と答えていたでしょう。教師としても新米で、今よりずっと英語が流暢でなくて(特に子供との会話で必要なフレーズ・単語)、毎日が戦いだったように思います。

そして4年経ち、生徒との関係の築き方も自分なりに学び取り、教師としての自信も少しずつではありますが持てる様になってきた今日この頃。

では何が一番今、大変かといえば、、、「Marking」です。

日本語だと「採点」ですが、私たちのやっている「Marking」はいわゆる日本の採点とは異なる点がたくさんあります。

そもそも歴史科の学習到達目標には「史資料から歴史的事件の要因を理解することが出来る」や「自分の議論を明瞭に説明することが出来る」などがあり、とても短答式のテストでは評価できないスキルを子供たちが伸ばすことが求められているのです。

私自身が中学や高校で受けていたようなテストのように「邪馬台国の女王の名前は?」などの質問に対する解答に教師がマルかバツかで点数を付けていく、、、ということがほとんどありません。

こちらで必然的に生徒に出す正規の課題(Formal assessment)はエッセイ形式のものや史資料を与えて生徒に解釈させて説明させるような記述式のテストが多いのです。

より詳細で明瞭な解答に多くの点数をつけるので、結果はもちろん点数で出して生徒たちの学習到達を比較することも出来ますが、記述式のため点数を付けるには時には1ページもある生徒の解答をすべて読まなくてはいけないわけです。そしてどの到達レベルに達しているのか判断して成績を付けなくてはいけません。

特に今年大変なのは9年生の採点。5クラス(一クラス約30人)担当する私は一つのトピックが終わったときに考査をおこなうと一度に5クラス分のテストをマーキングしなくてはならないのです。

そして、教師の採点は考査に限らず、生徒のexercise books(日本ではノートといいますね)のマーキングです。別に点数を付けるわけではないのですが、これもformative assessmentといって生徒の解答に対して、間違いを指摘したり、改善のためのアドバイスを書かなくてはいけません(逆に点数やレベルだけで評価することをSummative assessmentといいます)。もちろん、一答一答時間をかけて読む必要はなく、特に評価したい部分だけ読み進めるのが一般なのですが(でないと一生かかっても終わりません!)。

我が校では教師がこのようなノートチェックを6週間に一回ほど行わなくてはいけないというポリシーがあります。

私は中学1年生2クラス、2年生2クラス、3年生5クラス(事情で現在もう1クラス)、10年生1クラス(生徒は14人ほど)の担当ですから、ざっと計算しても300冊以上のノートを6週間に一回チェックしなければいけないことになります。11年生と12年生はそんなに頻繁にチェックすることは無いのでここではカウントしません。

地理科の教師である同僚Tが計算した結果によれば、私のように10クラス以上担当する教師が6週間に一度チェックするには一日平均10冊は常にマーキングしていなくてはいけないことになるそうです。

他にも様々な課題の採点や教材作り、授業計画、会議、事務的な作業を授業の合間を縫ってこなさなくてはいけない教師にとって、マーキングは本当に『苦痛』なのです。生徒のノートを見ればその生徒がどのような考えを持ち、学んでいるのかがわかって教師・生徒双方にとってプラスにはなることは間違いないのですが、それにしても量が半端ではないのです。

私だけではなく、ほとんどの同僚がこのBook markingを苦手としていて、「これさえなければ教師という仕事がほんとに好きなのに、、、」と嘆きあいます。

教師とは全く関係の無い職についている私の友人は私が「Marking」という言葉を口にしようものなら嫌そうな顔で「またか、、、」という反応をします。はい、そうです。年がら年中マーキングなのです。

最近では私とその友人は「F-word」ならぬ「M-word」という新語まで作って、Swearword(ののしり言葉)と同じくらい避けたい言葉として扱っている次第です。

私のM-wordとの戦いは果てしなく続きます。

投稿者 lib : 08:43 PM | コメント (0)

March 12, 2008

催眠療法 その3

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さて、この催眠術CDのメッセージの内容だが、健康的な食べ物を食べましょう。お腹が空いたときだけ食べましょう。お腹がいっぱいになったら、食べるのをやめましょう。適度な運動をしましょう。といったごく一般的なものだ。
痩せた自分をイメージしてみましょう。大好きな人の目に映る自分の姿はどうありたいですか? というのもあった。

何度か聴いたが、全部を通して一気に聞いた覚えがないので、たぶん25分のうちの数分は 「寝ている」のだと思う。そのため、10分くらいの長さに思える。

トリックとしては、ときどき、右側と左側のヘッドフォーンに別のメッセージが出ていることである。同時に話すので、ぼんやりしているとどちらも聞き取れない。
気をつけて聞いてみると、
「これから4週間は体重を量らないこと」なんて、秘密の指示が隠されていた。

・・・って、確か、 「聞き流せ」って言ってたよね?

でも、無理。

なぜって、中学・高校と英語のリスニングで、
「一語ずつ、きっちり聞き取り、意味を理解する」練習をしてきたではないか。

「リピート・アフター・ミー」なんて、懐かしいフレーズを思い出した。
ピー、なんて音がして、その後、しばらく無音状態。で、そこで前のセンテンスを復唱する、ってやりませんでした?
「ピーターは羊飼いの少年です。ピー・・・・」
「メアリーはゾンビの少女です。ピー・・・・」

メッセージの中に知らない英単語が出てきたりすると、
「えっ? えっ? 今の単語の意味、何だったっけ?」とあせったりするのだ。
前回、聞き取れなかった部分が明確に理解できたりすると、うれしかったりもする。
そういえば、300から逆に数えるのはどうなったっけ? と、時々思いだすが。

(これは英語の聞き取りテストではないんだから・・・)と、いくら自分に言い聞かせても、中学・高校で叩き込まれた習慣を簡単に変えることはできない。

なるほど、イギリスの催眠術の大家でも、日本の英語教育の厚い壁の前には無力なのだな・・・って、ダメじゃん、せっかくのダイエットなのに。

しかし、この25分というのが、つらい。

寝る前にCDを聞いてみたら、最後に、
「それではカウントダウンをします。これを聞いたら、目が覚めます。5,4,3・・・。さあ、うーんと伸びをして・・・」
という終わり方なので、目が覚めてしまい、また寝つくまでに時間がかかることがわかった。

朝、まだベッドにいる間に聞くと、目覚めようとする脳と眠らせようとする催眠術で相殺効果が働き、なんだか 「効かない」感じがするし。

一番いいのは、夕方。

しかし、仕事から帰って、夕食の準備をして食事をすませ、お風呂に入って・・・などと寝るまでの貴重な数時間のうち、半時間も取られるのは、正直、つらい。
なんとか短縮できないもとかと工夫をしてみたが、催眠状態にもっていくのに最低それだけの時間は必要なのだろう。

CDを効き始めて2週間、これをくれた友人とご飯を食べた。

「どうだった? CD聞いてる? ダイエットはどう?」
「なんだか、食欲が抑えられてきた気がするんだよね。あ、アタシ、デザートはテラミツね。ところで、禁煙はどう?」
「・・・今は吸ってる。でも、また禁煙するつもり。簡単だよ、あのCDを聞けば、すぐにでも禁煙できるからね。全然、心配してないんだ」
「そうだよね。あのCDで、私もダイエットできる。心配ないよね」

―――まったく心配していないふたりなのであった。

というわけで、このCDはダイエットに効くのか効かないのか、よくわかりません。

ホリディに行くので2週間お休みしますね。

投稿者 lib : 08:29 PM | コメント (0)

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急遽、出張のため今週は、やむえずお休みをさせてください。ごめんなさい。coco

投稿者 lib : 09:24 AM | コメント (0)

Agility

shacho.gif

我が庵はPutneyの東側に所在している。地下鉄駅まで徒歩3分とい
う場所だが、リスやら鳩やらが我が物顔に徘徊しているあたりがU
Kらしい。

Putneyという街は日本人もそこそこ多いのであるが、どうも社会的
認知度が低いらしく、同居人は友人に、パ゚ディントン駅から何時
間かかるの?と聞かれることも少なくないらしい。それは結構ショッ
クではある。

ここはZone-2なのである。東京でいえば、世田谷区の東の端あたり
であろうか。住めば都というが、僕はかれこれ12年このあたりを
うろちょろしており、なかなかよい街だとますます思いが強くなっ
ている。パディントンからは30分弱で着く街なので、皆さんお立
ち寄り下さいな。

Putneyはテニスで有名なWimbledonの隣町とも言える。そしてすぐ
西にはHeathrow Airportが鎮座している。僕が12年前にPutneyを
選んだのはHeathrow空港に近いというのも一つの要因であったよう
に思う。その後Warterloo駅からパリやブラッセルまでEurostarが
通じたのは大きな幸せでもあったが、昨年この名誉はKings Cross
に譲られてた。おおいに残念に思っている。

いつか書いたが自宅は禁煙となった。従って煙草を吸うときはフラッ
トの周りを徘徊しながら吸うことになる。表で吸っていると人の通
りが多く、大体はgarageへ通じる裏口で吸うことになる。これも以
前書いたが、僕の場合、煙草を吸っている数分間というのは、実に
考えが集中し、まとまる時間でもある。同時に、なにも考えずにリ
ラックスできる時間でもありえる。そんなときは空をぼんやり眺め
る。

裏で煙草をぼんやり吸っていると、上空を通過する飛行機の多いこ
とにいやおう無しに気が付く。PutneyはHeathrow Airportへ着陸す
る飛行機の最終通過地点でもあり、2,3分おきにひっきりなしに
その上空を通過する。

飛行機が飛んでいる姿は美しいとぼんやり思う。767とか777とか、
340だとか、それぞれに美しい。ぼ~っとみていて美しい。面白いの
は、でかい、747等の飛行機は我が庵上空を通過する際、既にスピー
ドが相当落ちている。それに比べて737のような小型は、いまだ元気
にスピードを維持しながらヒースロー空港にアプローチする。これ
だなあと思う。小さい奴らは小回りが利いて元気がいいのだ。


投稿者 lib : 12:19 AM | コメント (2)

March 11, 2008

マザーズ・ディ

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先週の日曜日(3月2日)はイギリスの「母の日」だった。

その前の週、学校から戻った息子は、私の顔を見るなり
「来週の日曜日は母の日だよ、知ってる?」
と聞いてきた。

そして息子は、
「ヒヒヒ……」
と企んだような顔つきをして、傍にいた夫に耳打ちした。

「母の日のために、学校でプレゼントを作っているんだ、でもマミーには言っちゃだめだよ・・・」

……あの、全部筒抜けなんですけど…。

言い終わると、こちらを向いて、ニカーっと笑い、再び夫に

「あのね、カードとバスケットを作っているんだ……。でもマミーには言っちゃだめだよ…」

……3メートル先まで聞こえそうな声で「内緒話」をしている。

どうやら、人の耳の側で話せば、どんな大音量で話しても音は全て耳に吸収される仕組みだと思っているらしい。

こちらを見て、ニヤニヤしているので、なんか言わないといけないかなと思い、

「何話してたの~?マミーも聞きたいな~」

などと、わざとらしく息子に聞いてみると、

「I’m not telling you~♪ Because Mrs ○○(担任の先生の名前) told not to tell Mummy~♪ 」

君……全部言っているようなものなんですけど……。

5歳児がこんなにバ…、いや無邪気だとは思わなかったが、気持ちは嬉しい。ここは私も大人、何も知らない振りを通すことに決めた。

それにしても、カードは分かるが「バスケット」まで手作りしていると言ってたな…
バスケット… よく観光地に売っている「手作り工房」とか書かれた札がついているようなバスケットだろうか?
「竹細工」や「籐細工」のバスケットは、マレーシアのお婆さん達がせっせと青空の下で作っているイメージがある。
5歳児たちがあんな高度なスキルを一週間で習得できるものだろうか。

いや無理だ…。少なくとも、自分の名前さえもミミズの這ったような字を書くうちの息子には到底無理だろう。
「バスケット」の謎を残したまま、母の日が近づいてきた。

ちなみにその間も息子は、毎日学校から帰ると夫に
「今日も学校で母の日のバスケットを作ったんだ~」(筒抜け)
と耳打ちした後で、私に向かって
「I’m not telling you~♪ だってミセス○○がマミーには言っちゃだめだって言ったも~ん♪」
とご丁寧に報告してくれた。

ここまで焦らされれば(?)否が応にも期待が高まるというものである。

母の日前の金曜日。息子を学校に迎えに行き、いつもの様に何気なく息子のランチバックを持つと、はっとした息子は

「マミー!中を見ちゃだめだよ! だってミセス○○がマミーは日曜日まで見ちゃいけませんって言ったもん!!」

と私から奪還した。

……何が入っているか言っているようなもんなんですけど……

家に着いてから、息子は「謎のバスケット」を家のどこかに隠したらしい。
夫が帰宅すると、またもや耳打ちした後、夫の手を引いて「隠し場所」に連れて行き、「ブツ」を見せているらしかった。

「お~すごいな~。マミー、きっと喜ぶよ~」

夫の声が聞こえた。(注:私の夫も声が大きい)
親子ともに、全くの「ネタバレ」状況だが、「大人の私」はまたもや知らない振りをして
「何を隠したの~。マミーも見たいな~」
などと言ってみた。

「だめ、あとふたつネンネしたらね!」
いつもはこっちの台詞をぴしゃりと返されてしまった。

さて、日曜日当日…

息子がくれたバスケットは竹細工でも籐細工でもなく、↓の様なものでした……


        


                    「写真」 

※ 巷のブログの技術革新の世界から著しく取り残されている当ブログ。今回初めて写真を入れようと、「きっとやってみればわかるわ~」などと軽く考え試みたところ、どうやるのか分かりませんでした…(涙)。(バスケットを文章で描写するのが面倒だったという噂もあり)というわけで、「写真」と文字で代用し、気持ちだけ表現してみました。どなたかやり方教えてやってください…。

投稿者 lib : 04:28 PM | コメント (0)

March 06, 2008

嬉しくも悲しいニュース

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今週は何について書こうかなと思い巡らせていた私に今日、嬉しくも悲しいニュースがもたらされました。

Head of Humanities、つまり人文学部の主任である同僚Kが休み時間に私のところにやってきました。「同僚Mと二人に少し話したいことがあるのでお昼休みに私の部屋に来てくれるかしら?」というK。

同僚Mは2月の初頭から育児休暇が明けて一年ぶりに職場に復帰した学科主任。私は彼女の復帰まで学科主任代理だったのですが、彼女がパートタイムで週の半分だけ働くことになったので現在はJob shareといって、ふたりで一緒に責任を分担しながら学科主任を務めています。

その同僚Mと一緒にということは、来年から大幅に変わる歴史のカリキュラムかなんかについての話かな、、、と思っていました。この間もそのことについて話さないとね、なんて言ってたので。

さて、お昼休みになり、Kの教室へ。しばらくして授業を終えたMが合流し、3人で席に着きました。そして、Kが慎重な面持ちで「実は話したいことがあるの。あなたたち二人が一番影響を受けることになるから、、、」。

これを聴いた瞬間、「カリキュラムのことなんかじゃないんだ。もっと深刻な話、、、?」と私の胸に一瞬で緊張感が走りました。

少し間を空けた後、Kが思い切ったように口を開きました。

「実は私は今年の夏で学校を去ります」

「ええっ?」

全く予想もしていなかったことでかなり衝撃を受けた私。隣に座っていたMも同様の反応です。

その直後、さらに驚きのニュースが。

「そして、9月に結婚します。」

「えぇぇぇぇぇぇ?」

心臓が飛び出しそうでした。驚きの声を通り越して半ば絶叫を上げた私とM。一瞬にして寂しさと喜びの気持ちが同時に溢れ出て私の頭の中はパニック状態。

何せ、私の学部ではKはほとんど自分のプライベートのことをしゃべらないことで知られている人。お付き合いしている人がいるのかいないのかも謎で、MがよくKの細かい変化に気づいては「きっと新しい彼氏が出来たんだよ」と想像を張り巡らせていたものです。

それから彼女は自分が去年の夏に婚約していたこと、お相手の男性がロンドンから離れたところに住んでいるのでどうしても通勤が出来なくなること、大学院のコースに進む考えがあることなどを最初は少し緊張した様子で、でも嬉しそうに話してくれました。

「相手はどんな人?どこで知り合ったの?」様々な疑問が次から次へと涌いてきます。私自身、あまり根掘り葉掘りプライベートなことを聞くのが好きではないのですが興味津々。隣に座っていたMは逆にそういう話が大好き。見事に私の代わりにKに質問を浴びせてくれました。

彼女の話を聞いていて本当に嬉しいと思う一方、来年度から彼女がいなくなるという寂しい現実を突きつけられて正直、足元がぐらつくような感覚を覚えた私でした。

彼女は私が今の学校の面接を受けにきた時に初めて私を迎え入れてくれた人物。面接日に私の授業を観察したのも、面接をしたのも彼女です。私をイギリスの教育界に迎え入れてくれた一人なのです。また、彼女自身も歴史が専門で教師経験も私よりずっと豊富で、立場的には日本でいうように私の「上司」なのですが、イギリスという環境のせいもあり、上下関係を感じずにいつでも気軽に色々と相談をしてきた人なのです。

教育についての考えや生徒に対するスタンスなど、色々な面で私と異なることも多いのですが、それでもアドバイスはいつも的確で助けてもらったことは数え切れません。

歴史科、地理科、宗教科など、人文学系の科目を統括する学部長という立場で、個性派ぞろいの学部の教師たちを相手にするのは大変だったと思います。でも、それを絶対に外に出さずに学部をまとめてきた彼女。

その彼女がいなくなる。来年のことを想像すると不安でもあるし、純粋に悲しくもあります。それでも彼女が人生の中で新しい一歩を踏み出すことは本当に喜ばしいことですが。

毎年新しい生徒と同僚に出会い、そしてさよならを告げる。そんな職場に慣れていたと思っていたのですが、身近にいたKの退職については書かずにいられませんでした。

彼女に頼らず、しっかりと学科を運営しなければ、、、と気を引き締められた一日でした。

投稿者 lib : 10:02 PM | コメント (0)

March 05, 2008

催眠療法 その2

career2.gif 
大丈夫だろうか、催眠術。

素人の催眠術はかけるまではいいものの、解くことができず、危ないという噂だ。プロの監修なしに家で聴いていて、そのまま 「眠り姫」になってしまったら?

催眠術をかけられて、自制心が効かず、いらない事をペラペラ話してしまうかと不安だ。

泉鏡花の 「外科室」ではないが、
「私は恋人に誠実な女です」などと言いながら、催眠状態で無防備になり、
「なーんて、実は上司と長年の不倫関係にあり。彼氏の親友を誘惑して浮気しちゃったし。シングルバーでときどき遊んだりもしてるわー」と暴露してしまうのではないか。(例です。私ではありません)

それに、 「催眠術ショー」などで、 「はい、あなたはウサギです」と言われ、ピョンピョンと跳ね回ったり、 「今度はヘビさん」と言われて、ニョロニョロしているではないか。

「この音楽を聞いたら、ヘビさんになります」 「このサインを見たら、ウサギさん」という暗示のトリガーが設定されるのも見た。

横断歩道で 「歩行者」サインを見て暗示のトリガーが入り、ピョンピョンしたり、 「通りゃんせ」を聞いて、ニョロニョロしたりすると恥ずかしいではないか。

うーむ、いやだ。ピョンピョンとか、ニョロニョロとか。

そして、言葉の問題もある。日本人の私が英語で催眠術にかかるものだろうか? 

もちろん、これがヒンズー語とか、ルーマニア語だと暗示にかかりようがないことはわかる。
たとえ、その道の権威者に
「%#*」(&^? ^^^@!) *!*!*!」と誘導されても、
「?(?){?}(?)」としか頭に浮かばないだろう。

で、無意識の領域において、母国語ではないが理解はできる英語の暗示がどれだけ働くことができるのだろうか?

いやいやCDを手に取った。うう、25分もある。長いな。
忍耐力がない上に、人の言うことを聞くのが嫌いな私が、25分もじっとして、他人の命令に耳を傾けなければいけないのか。

ベッドに横たわり、CDをかけて、ヘッドフォーンをつける。

本の表紙の男の人は自信ありげ、かつ優しそうな顔だ。バリトンで、いかにも 「私にまかせなさい」といった渋い声。

「リラックスできる場所を選んでください。これを聞きながら運転したり、機械の操作をしてはいけません」 
(と、いうことは、やっぱり途中で眠ってしまうのか?)

「ステレオで聴いている人はこっちを右耳に、こっちを左耳にしてください」
慌てて、ヘッドフォーンの左右を入れ替える。

――右脳にこのメッセージ、左脳にこのメッセージとか、あるのかな?

やがて、環境音楽のような曲が流れてくる。

導入部分では、
「さあ、300から逆に数えていきましょう。300、299、298、297・・・」

まず、ここから悩んでしまう。
日本人の私にとって、300から、逆に 「英語」で数えていくというのは、それなりに集中力を必要とする作業だ。催眠術の最中に 「集中」してはいけない気がする。
で、途中から、 「にひゃく、はちじゅー、きゅー」と日本語に替えたのだが、それも、また、英語での催眠術にしっくりこないようでもある。どうしたらいいのだろう?

こうして、数を数えていると、彼はいろいろなことを話している。ああ、数なんか数えている場合ではない。メッセージを聞かなくっちゃ。でも、数えるのをやめろ、とは言わなかったし。ええっと、幾つまで数えたっけ?

CDの声に身をまかせるどころか、どう判断したものかという混乱が脳の中をグルグルと回っているのがわかる。・・・いいのだろうか、これで?

さらに続く。

投稿者 lib : 07:34 PM | コメント (2)

英国で『パラノイド』を通過しましたか?(coco)

darling.gif
英国に来て1、2年住んだ人の多くは、「英国っていいですよね。緑が多くて、人々も親切で。人に干渉しなくて。ね。」
と褒める人が多い。
が、これが4年、5年の滞在となると英国の嫌な部分がいろいろ見えてくるのか、パラノイド(妄想)化が起こる。
友人のK子は、滞在6年。
英語は本人もしっかり認識しているほど達者だ。
(しかし、しゃべり方が早口のうえ、まくしたてるので正直少し怖い。英語で話された人に同情するほどだ)
彼女は、友人も多く、すぐに友達ができるタイプで人気者。
ある日、彼女とエキシビションに行き、 バーで飲み物をオーダーした。
するとバーテンダーは彼女に向かって「What ?」(何?)と聞き返した。
その瞬間、彼女は、まくしたてた英語で「Beer. Beer」(日本語で解説すると、ビールだよ。お兄ちゃん、ビールお願いね!!といった感じ)
そして、私に向かって、
「なんで、私の英語がわからないの?奴は、きっとアフリカから来たばかりで、英語圏の人間ではないな。」
と自分の英語が通じなかったのではなく、向こうの英語力を問題にし、自分に落ち度がなかったことを強調する。
私は、「ねえ、ここの場所がうるさくて、ただ単に聞こえなかっただけじゃないの?」といっても聞く耳持たない。
やれやれ。

彼女は、一人暮らし。掃除、料理が嫌いなので、部屋が汚れている。
まるで家事をした事がない単身赴任のお父さんのようだ。家で何かを食べると洗わないといけないので、
最近は外で食べる事にしているそうだ。
ある日曜日に、英国人がよくやるように新聞を持って近くのカフェで、ブランチと決め込んだ。
そして、コーヒーとサラダを頼んだそうだ。
するとコーヒーには、すでにミルクが入っていたそうで、彼女は文句を言って交換させた。
その上、サラダが、なかなか出て来ない。店はそんなに混んでもいないのに、「なぜ?」と疑問をもったそうだ。
もちろん、いつものようにまくしたてた英語で、まだこないサラダを催促したらしい。

この状況は、彼女が言うには、わざとされたらしい。という。
彼女の解釈は、こうだ。
まず、ミルク入りのコーヒーの理由は、自分が黄色人種だから、 白いミルクをいれて “白人“を強調したかったのだろう、と。
そして、サラダが遅れた理由は、やはり白人優先主義で色付きの自分は、どんどん後回しにされたという。
つまりは、どちらも彼女が日本人だから、差別されたという。

彼女のエリアは、日本人にも人気の北ロンドンで、 色付きの人種はあまり住んではいない。
私は、「それは、かなり考え過ぎだよ。」といっても取り合わなかった。
そして、彼女、この事をクレームの手紙として、そのレストランのヘッドオフィスに出したそうだ。

その手紙の内容は、“人種差別を受けた。”とした。
どの企業もこの言葉 “人種差別“ に敏感だから、
その会社は「 人種差別という事はないと思うが、あなたに失礼をしてしまい申しわけない。
スタッフにも充分注意するし、心ばかりだが、フリーの食事券を同封します。」と返事が返ってきたそうだ。
「ねえ。やっぱり言ってみるものね。これで一緒に食事に行こう!」とすっかり気分がよくなっている彼女だった。

「夏でも寒いし、冬はすぐに暗くなるし、いやな天気よね。まったく英国は、、、、、、」
という友達はあなた周りにもいるでしょう?
こうしたストレスがだんだんパラノイド化させているかもしれないけど、
10年以上もいるとそれも慣れてきます。
私も、一時は日本のような居酒屋がない。友達に会いたい、、、などなど言ってもしかたがないことを言っていた時代もあった。
まあ、誰もが一度は「この国は、、、、」とういうパラノイドを通り過ぎないと
しっかりと英国に落ち着かないのかもしれないなー。

投稿者 lib : 10:38 AM | コメント (2)