« バレンタイン | メイン | ダブル不倫 その3 »

February 18, 2009

SNOW SNOW SNOW 2  人々編

mama.gif

多くの人が会社を休んだ18年ぶりの大雪の日、うちのダンナは悪天候に挑戦する「燃える勤労者」と化した。
マンチェスターへ、どうしても外せない日帰り出張が入っていた彼、列車が動いているかも分からなかったが、とりあえず列車の出るユーストン駅めざして6時半に自宅を出発した。

自宅からユーストンまではバスで15分程だが、もちろんバスは動いていない。
最悪の場合はユーストンまで徒歩で行く覚悟で降りしきる雪の中を歩いていると、奇跡的に1台のタクシーが止まったと言う。ドライバーによると、
「君は運がいいよ。いままでに何人も止めようとしたお客がいたけど、雪が深すぎて歩道につけることができなかった」
との事。
奇跡的にユーストンに到着した夫は、これまた奇跡的に遅れも無く動いていた列車に乗ることができ、無事にマンチェスターでの仕事を終えてロンドンに戻ってきた。

ロンドンでは大雪の影響で仕事にならないと、家に3時頃には生還した彼、
「ハムステッドヒースにソリ(Sledge)をしに行こう」
と言う。
「そり?そりなんて無いよ」
と私が答える間もなく、彼はキッチンや押入れからプラスティック製のお盆や、衣装ケースの蓋、空気を入れて膨らませるゴムボートなど「滑りそうなものなら何でも」ゴソゴソと取り出している。

「ええ~?そんなんでやるの?貧乏くさいなあ」
と思いつつ、息子と息子の友達を連れてハムステッドヒースにたどり着くと、いるわいるわ、みんな手に手にそり(の代用品)を持って丘を目指している。
商品として売られている「そり」を持っている人は極少数派で、大多数の人は
「ダンボール」
「不動産屋の立て札」(”To let”とか書いてあるアレです)
「黒いビン(ゴミ箱)の蓋」
など、「家の中や外にあった滑りそうなもの」
なら何でも持参して来ていた。
私達の「プラスティック製のお盆」などはそこではポッシュな部類だった。

初めのうちは下の方でちょこちょこと滑っていて子供達もそれなりに喜んでいたが、夫が
「もっと上に行こう」
というので丘の頂上まで登ると、そこには狂喜乱舞するイギリス人たち(主に大人)が思い思いのソリの代用品で滑降していた。
なんだかよく分からない大きな板の上に10人位乗って歓声とも叫び声とも聞こえる奇声を上げながら落ちていくグループや(滑っていくうちに他人もどんどん乗っかって行った)、止まらなくて木に激突している人など、積雪を見慣れない人々がはしゃぐ姿はまさにカオス。
「危ないなあ・・・」と思ってみていると、夫が
「20年くらい前までは毎年、これくらい雪が積もったんだ。ここへ来て友達と遊んだものさ」
と言う。
私がイギリスに来てからはこんな大雪が無かったので知らなかったが、「そこらにある適当なものですべるソリ遊び」どうやらイギリス人のトラディションらしかった。
家に戻ってニュースを見ると、各地でソリ遊びに興じる子供達の映像が流れていたが、ハムステッドヒースはそれよりもかなり激しかった。怪我がなくて良かったわ。


投稿者 lib : February 18, 2009 03:23 PM

コメント

コメントしてください




保存しますか?