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May 17, 2009

にほんごビギナー

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息子が日本語の学校に通い始めて1ヶ月が過ぎた。
1ヶ月といっても週に一度だけなので授業は4回受けただけ。

話には聞いていたが、日本の学校で一週間で習う内容を、土曜日の午前中だけでカバーするということなのでなかなかハード。1年生の初めから宿題を沢山もらってくる。

まずはひらがなの練習ということで、「あいうえお」「かきくけこ」のひらがなの書き取りの宿題。
懐かしの「こくごノート」(四角の中に点線で十字が入っているアレ)で文字の始まる位置、とめ、はね、はらいなどに気をつけながらお手本の様に書かせていく。

実を言うと私は、文字なんて読み手が認識できればいいのではないか。皆が皆、ペン字の様な字を書く必要があるのか、加えて今はワープロの時代、手書きする機会自体が少ないのだから、お手本にこだわって綺麗な文字を書くことにどれだけの意味があるのだろう・・・・と思っていた。

しかし私の意見なんぞ聞かれちゃいないし、とりあえず先生の指示通りにお手本にならって(もちろんお手本の通りとは程遠いが、少しでも近づくように)書けるように息子の隣で指導しながら宿題をこなさせる。

すると、私自身に変化がおきてきた。
まず、ひらがなの美しさに気がついた。
息子に練習させるため、嫌でもひとつひとつの文字をよく見ると、あら不思議、それ自体が芸術作品に見える。
平仮名ってなんて繊細で柔らかくって表情豊かなんだろう。

そして、息子がアルファベットを書き始めたときや英語の単語を読み始めたときも勿論嬉しかったが、息子が「日本語」を読み書きできるようになりつつある、それを見守る嬉しさは、心に温かいものが流れ込んでくるような、英語の時よりもずっと格別な喜びだった。
自分自身、あまり「日本人」であることにこだわっていない方だと思っていたので、これは我ながら驚きだった。

平仮名はアルファベットに比べてかなり複雑だが、アルファベットでさえミミズの這ったような字を書く息子が、それなりに「人が読める」ひらがなを書いている。
・・・・・不器用な息子が平仮名を練習することで、少しは手先の器用さを得られるかもしれない。

今まで私が日本語をあまり教えていなかったので、息子にとっては学校の日本語環境にもプレッシャーを感じるらしい。
「マミー、学校で先生の言っていることよく分からないよ。学校行きたくない」(←In English)
と言い出した。

実は私は今、大学に通っている。
うんうん、「先生の言っていることがよく分からない」気持ちは私にもよーく分かるよ。
まあ言語以前に内容が分からない、って話でもあるんですけど(涙)

「そうかー、でもね、マミーも学校で先生の言ってることなんかよく分からないんだよ」

目をまるくする息子。

「ええ?そんなの嘘だ。だってマミーは大人だし、英語も話せるじゃないか」(←In English)

ああそうか。これくらいの年の子供って、大人は困ったりしないし悩み事なんて何にもないと思ってるんだよな。

「マミーは大人だし英語も話せるけど、マミーにとっては日本語がもともとの言葉で、英語は習った言葉だからよく分からないことも多いんだよ」

親子で傷を舐めあう私たち。
ともあれ、これを聞いて彼も少しは気持ちが軽くなったようだった。

ちなみに息子に「マミーの学校」について質問されるトップ3。

1.マミーの学校にプレイグラウンドある? ← ないよ!
2.マミーの学校のプレイグラウンドは大きい? ← ないんだってば!
3.マミーの学校のプレイタイムは何分? ← だからないっつーの!

私は本当に大人だと思われているのか。

投稿者 lib : May 17, 2009 11:24 AM

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