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February 17, 2010

バリアフリー

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突然だがうちのダンナは、健康だけが取柄のような男だ。

決してけなしている訳ではない。
私は若い頃から身体がそれほど強い方ではなかったので、「健康だけが取柄です」なんて言える人を羨望と憧憬のまなざしで見てしまう。(それを恋愛感情と間違えた、という説もある。まあそれはそれとして)

ダンナがどんなに健康かを説明しよう。
50歳をちょっと越した彼、数年前まで肩こりも頭痛も経験したことがなかったという。
(友達が『頭痛がする・・・』などと言っているのを聞くと、いったいどんな感覚なんだろう・・・と未知のものに対する憧れに似た気持ちを持ったらしい)
風邪も殆どひいた事がなかった。
つまり生まれてから40年以上、人生の殆ど絶好調、という体調だ。(体調以外はたいして絶好調でもないですが)

「数年前まで」と書いたが、今は人並みに頭痛も肩こりも経験した、という事である。
私と結婚してからと時期が重なるが、あくまでも「偶然」の一致、「年のせい」だと信じたい。

しかし依然として体力や運動神経は若いものには負けないらしく、テニスや卓球でも20代の若者にも勝つらしい。

50歳前までの半生が健康すぎて、少しでも体調に不備があると大騒ぎしていた彼だった。
例えば冬に乾燥した空気が原因でドライスキンになった時、この世の終わりのように悲惨な顔をしていた。(ドライスキンですよ、ドライスキン)

そんなダンナがヘルニアになった。

仕事柄、いつも重いかばんを持って歩くのでそのせいかもしれない。
職業病とでも言うのだろうか。

どんなに大騒ぎをするかと思えば、私に不調を訴える前に自分でGPに予約をとってヘルニアの診断をされてきた。

「へ?全然騒がなかったし、どうして言わなかったの?」

「友達が同じ症状になったばかりだし、GPに言われなくても分かってたし」

などと、妙に冷静で気味が悪いほどだ。
私に不調を訴えてもどうせ優しくなんてしてくれないということを学習したのだろうか。それとも何か心境の変化でもあったのだろうか。

そんなある日、仕事から帰った彼がポツリと言った。

「ロンドンの地下鉄の駅は障害者に優しくないよなあ」

「え?そうなの?リフトもあるし、ロンドンは日本よりずっと障害者に優しいと思っていたけど」

「いや、実際、リフトやエスカレーターがない駅もある。あったとしても、電車から降りて外に出るまでのどこかに段差があるんだ。車椅子やお年寄りの人はその一段を上れなくて苦労するんだよな」

ロンドン地下鉄がDisabled friendly でないという事実にも驚いたが、「お年寄り」や「障害者」の気持ちをダンナから教えられるとは夢にも思わなかった。
どうやらヘルニアのせいで、重い鞄を持ち上げながら上がる階段が相当辛いらしい。

健康の権化だったようなダンナがお年寄りや車椅子の人と同じ目線になっている。
そのことで、いかに彼の症状が重かったのかが始めてわかったような気がした。

バリアフリーは大切だ、健康は大切だ。


投稿者 lib : February 17, 2010 12:12 AM

コメント

子育てママ、おかえりなさい! ご主人たいへんそうですね。 わたくし、肩こり系プロブレムなら、エクスパートです。 針、整体、スポーツマッサージ、祈祷、黒魔術等、今まで数1000ポンドをかけた知識を伝授いたします。 え? ヘルニア? それなら、白魔術系のほうがいいかなあ・・・。

投稿者 十貴川 洋子 : February 18, 2010 02:14 PM

洋子さん、ただいま~ (え?)
実は私も筋金入りの肩こりです。ロンドンに来てからは随分ましになったと思うのですが、自分では全然こってないと思う日でも、美容室でマッサージをしてもらうと「こってますねーーー!!!」と驚かれます。どうも肩こりが標準仕様らしいです。
白魔術と黒魔術の違いが分からないんですが、ヘルニアは手術でもすれば治ると思うので(投げやり)、肩こり解消法を伝授してください。できればお金のかからない方法で。

投稿者 子育てママ : February 19, 2010 10:40 PM

えー、肩こり治療知識についてはエクスパートですが、解消法は知りませんな。 あるんでしょうか? 解消法。 私も知りたい。 治るなら、ヤギの生贄の一匹や二匹・・・。

投稿者 十貴川 洋子 : February 23, 2010 10:27 PM

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