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November 29, 2010

ギリシャ旅行 最終回

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インターネットにトラブルがあって、順番が狂ってしまいましたが、ギリシャ珍道中に話は戻ります。 

ギリシャといえばパルテノン神殿である。 が、 ギリシャ旅行を計画したとき、イギリス系の某旅行会社のパンフレットを入手したら、ロードス島、クレタ島、コス島、コアフ島、ミコノス島と行き先はいろいろあるものの、パルテノン神殿のあるアテネが見当たらない。 

この旅行会社は自前のホテルをいろいろな島に持っていて、プールつきのホテルのきれいな写真がいっぱい載っているのだが・・・。 どうやら、イギリス人にとってのギリシャ・ホリディは 「イギリス人でいっぱいのビーチ」 に行くために、「セルフサービスのイギリス料理」 を出す、 「イギリス人でいっぱいのホテル」 に泊まり、「ビールやアルコポップ等、イギリスの酒」 をがぶ飲みして終わる旅行を意味するらしい。 

で、アテネは? ・・・あまり行かないそうです。 何度もギリシャのビーチに行くイギリス人は多くても、アテネには行ったことがないとか、アテネ空港に着いてもすぐに島に移動するんだって。

ま、わたくしは知的好奇心の旺盛な日本人ざますから、パルテノン神殿詣では当然、アテネ素通りは言語道断ざます。 ビーチでダラダラと2週間を過ごすのはイギリス人にまかせておいて、遺跡をはじめ歴史的建物、博物館、美術館訪問ははずせません。

とはいえ、エーゲ海に行かないギリシャ旅行も、ネタなしのシャリだけの寿司、餡の入っていないお饅頭、熊にまたがらない金太郎、であろう。

とりあえず、エーゲ海の島も見たいよね。

アテネ発エーゲ海の一日クルーズは エギナ島、ポロス島、イドラ島を巡って100ユーロ位らしい。 合計6時間は船の中、上陸しても自由時間は少しだけ。 船内でのランチつきだが、あまりパッとしないランチという噂である。

結局、アテネから1時間ばかりのエギナ島だけに出かけることにした。 エギナっていうけど、これってエーゲのことじゃないの? アテネの港町、プレウスから船に乗る。フェリーと高速船で値段は違うが、片道10ユーロ程度である。

おおっ、青いぞ、青い。 日本の海と言えば、緑がかっている気がするのだが、エーゲの海の色、さすがの青さで空の色のようである。 船の周りを飛び交うかもめも、さすがはエーゲ海・・・いや、これは日本のかもめと同じか。 同じ船に乗り合わせた高校生の修学旅行生も、日本と同じくはしゃぎまくって大騒ぎ、どなり疲れた先生は椅子にぐったりと座り込んでいる。 ティーンエイジャーの引率は大変ですねえ。

さて、エギナ島に着いた。 まず、その時点で、帰りの船の時刻をチェック。 賢い私たちは先を読んだ行動をするのだ。 で、帰り道にその時刻表がまったく意味をなさないことを知るのだが・・・。 船着き場にデカデカと時刻表をかかげ、で、その時刻表に沿わない運行をする地中海の人達って、何を基準に生活しているのか? 

船からおり、何となく人の流れにつられて右へ行った。 レストラン、カフェ、みやげ物屋が並んでいる。 カフェのテーブルのすぐ横を車やバイクがバリバリ走っているのが気になるが、ま、ご愛嬌。 どの店でランチをするか物色しながら、横道に入った。 

みやげ物屋のすぐ裏は普通の住宅地だ。 南国らしい家のつくりで、強い日差しを避ける窓のスクリーンがついている。 イギリスの窓にさげるカーテンは冷たい外気の進入を避けるためだから、目的が違うねえ。 

オレンジの木があちこちにあり、大きな実が鈴なりになっていて・・・と、止める間もなく、友人がオレンジをもぎとった。  「おいしそー」 と皮をむくと私たちにも差し出す。 「食べる?」  おい、窃盗行為するなよ。 「うわ、にがい!」 と友人は吐き出した。 同じオレンジでも、食用と観賞用は違うらしい。 これで誰も道端のオレンジを盗らない理由がわかりましたな。

ギリシャの島の住人の日常生活を覗き見ながら、のんびりと歩く・・・つもりだったが、狭い道を20秒おきに、ノーヘルメットのバイクが走ってくるので、そのたびに壁に張りついてバイクを避けなければいけない。 気を抜くと大怪我をしそうである。

1時間近く目的もなく歩いていると 「港はこっち」 のサインがあった。 きっと地元の人の使う小さな船着場に違いないと思っていると・・・遠くに元の船着場が見えた。 いつの間にか島を1周したらしい。 白い砂浜があり、黒人だか、日焼けした白人だかわからないほど褐色肌になった観光客が寝そべっている。 水着を持ってくればよかったなあ。(旅行時 5月のはじめ)

と、レストランが数軒ある。 それも、船着場の右側にあったレストランのように道路に面していない。 「海の家」 みたいに板張りのバルコニーになっていて、テーブルの横はエーゲ海である。

小海老のから揚げ、たこの炭焼き、グリークサラダ、イカリング、串焼きの肉、ムサカ、オリーブペーストつきのパン。 ビールとアイスコーヒーである。 3人で50ユーロ。 真横にエーゲ海を見ながら地中海の日差しを浴びながらのランチ。 わざわざ灰色のロンドンからやってきたかいがあったね。 あの太陽、あの食事の安さが恋しい。 (まともなブログなら、ここで料理の写真が登場するはずだが、私はカメラを持って旅行しない、っていうか、カメラを持っていない。貧乏だから)

エギナ島でランチするなら、船着場から左へどうぞ。 レストランの数は少ないけどね。 それから、ギリシャではクレジットカードが使えない店が多い。 ATMで現金をおろして来てくれ、って言われるが、クレジットカードで現金を引き出すと高くつくんだよね?

アクロポリスもエーゲ海も堪能し、さて、明日はイギリスへ帰国・・・とテレビをつけると、ギリシャのゼネストのニュースだ。 空港もストで全便欠航って・・・仕事なんですけど。 アイスランドの火山灰騒動が収まったと思ったら、ゼネスト? ホテルのインターネットで次の飛行機を予約したが、一番早く乗れる飛行機は3日後・・・。

ホテルの近くがデモ隊のスタート地点のひとつだったらしい。 見物がてら、近くのカフェで朝食を取った。 何だよ、アイスコーヒーを手にニコニコしながらデモに参加しているじゃないの。 警官も何人か立っているが、やはりアイスコーヒーを飲みながら、のんびりと見ているだけ。 スト警戒中の警官が朝食を買いにカフェに入ってくるし。 こんな呑気なゼネストのために3日間もアテネで足止めを食らっている観光客の気持ちを考えてみてよ。

投稿者 lib : 10:38 AM | コメント (4)

November 26, 2010

ただいま!

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皆さん、本当に本当に、、、本当に、お久しぶりです!!!
すでにこのブログの存在も忘れ去られていそうですが、スクールティーチャー月子、健在。そして、ここに復活です!

1月にブログを皆さんへのお断りもなしに中断してしまった理由、すぐに再開できなかった理由は今も自分の心の中に色濃く残っています。とにかく仕事でもプライベートでも色々あった10ヶ月でした。

そんな中で、自分の現実である日常生活のことをまっすぐ見つめて考察し、ブログとして書くという作業にどうしても足を踏み入れることが出来なくなっていました。

1回こうなってしまうと戻るのは案外大変で、気持ち的に逃げる状態になってしまったんです。もちろん、10ヶ月間、毎日テンションが低かったのか、そんなにどん底だったのか、、、というとそうじゃないんですよ。

その間に喜びも楽しみもちゃんとあったわけです。ただ、仕事でもプライベートでも、心がバズーカ砲で打たれたんじゃないかと人生で初めて思ってしまった出来事がいくつかあったものですから、回復にちょっと時間を要してしまったんです。

それでも最近になって、せっかく自分の経験を語る貴重な場をいただいたのにそのまま終わらせてしまうの?それでいいの?と思うようになりました。

なにせ、一時期穴だらけになったと思っていた心の隙間を埋めてくれたのは、家族、友達、同僚、、、そして、私の生徒たちだったんです。

そう考えたら、やっぱり彼女たちのこと、少しでも書きたいなぁと思いました。

そういう流れを経て、ついにこの度、ブログを再開させていただくことになりました。

全て綿密に記すことは無理かもしれませんが、これからしばらくは、過去10ヶ月の間に本当に心に残った出来事を回想録としてちょこちょこと書いていこうと思っています。

さて、これからまた、よろしくお付き合いくださいませ!

投稿者 lib : 04:46 PM | コメント (7)

November 15, 2010

ローマ法王

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ローマ法王がやってきた。 イギリスへ来るのは28年ぶりだそうだ。

友人にカソリックがいて、ローマ法王の訪問をワクワクして待っていた。 お気に入りのロックスターを待つ熱狂的ファンのようなノリである。

先代のローマ法王は温和な顔をしていたが、今のは目元がきつい感じで、ちょっと怖い。 知り合いの息子の高校時代の同級生がオックスフォードで神学を学び、現在、バチカンで研修中だそうだ。 で、その授業の科目には現ローマ法王が教壇に立つクラスもあるらしい。 なかなかアカデミックな法王だという話である。

ハイドパークでは8万人を前に演説、ではなくて、説教? 祝福? の予定であった。 各地のカソリック教会では、ハイドパーク式典の招待券が割り当てられ、くじびきの後、配られたそうである。 友人は残念ながら、 「はずれ」。 日ごろの信心が足らないと見た。

「ハイドパークに入れないなら、ロンドンの市内を通るのを見に行こうかな。 でも、たとえ見られてもほんの一瞬だろうし。 テレビの方が全部の式典が見られるけど、実物の法王を見るのも捨てがたいし。 ああ、どうしよう」 と、ウジウジ悩んでいる。

そんなに面白いものなら、私も見よう、とテレビをつけた。

教会内での式典が始まった。 テレビ中継されているのに、座席でウトウトしている神父もいる。 お年寄りだからねえ、しかたないか。 でも、教区の信徒もテレビは見ているはず。 「あ、ジョンソン神父が映ってる。 なんだよ、法王の前なのに居眠りなんかしちゃって、みっともない」とか言われているかも。

100人もの聖職者の入場。赤や白の長い法衣をまとっているのがほとんどだが、ボディガードらしい黒服の男たちも法王の周りを囲んでいる。なんだか、その軍団だけ雰囲気がトゲトゲしいねえ。 今ひとつ、天国からは遠い感じ。

カソリックの神父は妻帯を許されない。 で、非カソリック教徒の友人は 「80歳の童貞男に人生を説かれても、ピンとこないよね」 とのたまい、みんなの爆笑を誘ったのだった。

法王のすぐ横にふたりの従者がいるのだけれど、40歳くらいのこのふたり、 「生まれてこの方、女に縁のない人生」 というにぴったりの顔つきで、つい、友人のジョークを思い出して笑ってしまった。 階段の昇り降りには法王の裾を持ち上げ、式典中は被り物 (冠? 法王帽子?) を着けさせたり、はずしたり、と大活躍だったが、何度も 「中年の童貞男」の文字が頭に浮かび、不謹慎な笑いをこらえられなかった。 すみませんね、不真面目で。

今回の法王訪問は、あちこちの神父が少年達への性的虐待のスキャンダルを起こしていることもあり、賛否両論だった。 やっぱり、妻帯禁止っていうのがまずいんですかね? 
どこかの神父が信者の人妻と駆け落ちしたという話もあった。 プロフェッショナルな信仰を捨てさせるほど、色っぽい人妻だったのか? それとも、人妻の方が 「中年の童貞男」の純粋さにくらっと来たのか? 童貞男に妻を寝取られた夫の驚愕はいかに?  「姦淫はいけない」 って本当ですね。

テレビの式典は着々と進んだ。 バチカンから来たから、イタリア語でやっているのだろうな、と思っていたが、ラテン語なんだって。 ラテン語は死に絶えた言語と思ってたけど、バリバリに使われていた。 関係者以外は誰も理解できないのが、残念だが。(私はわかった。字幕が出てたから) 法王のスピーチはこの式典のキモだったかもしれないが、日ごろ、「イタリア語」で生活している 「ドイツ人」 の「英語のスピーチ」で聞き取りにくかったので、ここで私は休憩して洗濯物を干しに行った。

煙の出る金ぴか箱を振り回したり、パン(煎餅みたい)を食べたり、ワインを飲んだり、といろいろな儀式を見せてもらった。 パンは本来、神父さんから信徒の口に直接入れてもらうのだが、鳥インフルエンザが流行ってから、手に渡すことも増えたらしい。 (友人よりの情報) テレビでも手で受け取る人が結構いたし。

と、式典はつつがなく終わり、法王は教会を出て、「イギリスの若者達」 に挨拶。 カソリックのティーンエージャーの代表者は 「下町イーストエンドの黒人の青年」だ。 ここで、貴族階級の金髪碧眼の白人青年を出さないところが、いかにも計算づくの人選である。 その黒人青年がモデルなみにハンサムだったのはテレビ映りを考えてのことだろう。 外で待っていたのは 「そろいのTシャツ」 を着たティーンエイジャーが200人くらい。 法王にキャーキャーと歓声をあげ、「ベネディクス、チャチャチャ」みたいな掛け声までかかった。 さすがの鉄仮面ドイツ人法王も心から嬉しそうな顔をしている。 うまい! こんな演出をするのがイギリスのあざとさである。 それとも、ヘンリー8世がローマ教会に喧嘩を売って袂を分けたときの罪滅ぼしか?

なかなか金ぴかで仰々しい演出で楽しめた。 友人に 「カソリックにならない?」と誘われたが、私はとりあえず仏教でいいです。 実家には仏壇もあることだしね。 

投稿者 lib : 09:40 AM | コメント (4)