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March 27, 2006

野球で世界一になったそうだ

mama.gif WBCという野球の大会で、日本が世界一になったそうだ。

なった「そうだ」というのは、私が野球オンチであることに加えて、イギリスで野球とは
「ベースボール?それ何だったっけ?ああ、クリケットから派生した野蛮なスポーツか。」
程度の認識しかない超マイナースポーツなので、試合の中継や報道がゼロに等しいからだ。
アメリカで行われている試合を、日本のインターネットサイトの記事を通して、イギリスで知るという、非常に間接的な情報だったので臨場感に欠けは、した。

そんな私でも、世界の王さんとイチローくらいは知っている。
この二人が中心となり、インチキ審判やアメリカに有利な組み合わせにもめげず、日本が優勝したそうだ。

試合内容のことはよく分からないが、各メディアで散々取り上げられている通り、あのクールなイメージのイチローが良くも悪くも、この大会では非常にエモーショナル(感情的)になっていたらしい。

熱くなったり挑発的な発言をしたり、感激屋さんになったり、愛国心を顕わにしたりの突然の変貌。
いったいどうしたのだろう。

数年間アメリカでプレーしているうちに、里心がついたのだろうか。
チームメイトの雑談に入れなくて寂しい思いをしていたのかな、とつい下世話な推察をしてしまう。

外国語を話す時、一番難しいのは「雑談」ではないかと私は思う。
(仕事の会議などはテーマが決まっているので思ったほど難しくない)
一対一の時は相手がこちらのレベルに合わせてくれたりするのでまだいいが、イギリス人複数の中に日本人ひとりだけ、という状況になると、話はとりとめがないし、早口だし、俗語が入るし、置いてきぼりになってしまいがちだ。

イギリスに来た頃、あるイギリス人の家に遊びに行った。
そこには10人位の人々がいて、イギリス人と日本人が半々だったと思う。
お茶を飲んでいると、テレビで「シンプソンズ」が始まった。

ご存知の様にシンプソンズは、早口、スラングがてんこ盛りで、一話30分の間に、弾丸の様にギャグが飛ばされるアニメである。

その時、偶然にもテレビに向かって右側にイギリス人のグループ、左側に日本人のグループが固まって座っていた。
イギリス人グループは3分おきに吐き出されるギャグに
「がはははははは~!」
と一堂、申し合わせたように爆笑していた。

しかし。

同じ番組を観ていた日本人は、一人も笑っていなかった。
その中には在英20年以上の、日常的にイギリス人と仕事をしている日本人女性もいたが、彼女も笑っていなかった。

涙を流さんばかりに笑い転げるイギリス組と、画面を観つつ固まる日本人組。
最後列で、まさに「明暗」の分かれる様を観た私は、「20年住んでもシンプソンズのギャグを理解できないのか」と衝撃を受けた覚えがある。

察するに、超体育会系のアメリカの野球選手の雑談やジョークなど、シンプソンズ並みの早口とスラングの応酬なのではないだろうか。
イチローの英語力がどの程度か知らないが、日本で育った人間がそうそう簡単に入れるものではないだろう。
もともと多くを語らない人だと聞いたが、「話の内容が分かっていて、輪に入らない」のと「話の内容が分からなくて、入れない」のは精神的に雲泥の差があるとも思う。
チームメイトの「ちょっとした他愛ない話」に入れず、イチローは孤独な思いをしていたのかもしれない。

自国のチームで、母国語でコミュニケーションしながら戦うことはやっぱり嬉しいだろう。
そのことがイチローをリトルリーグの熱血少年のようにムキにさせ、悔しがらせ、喜ばせたのだろうか。

もし、そうだとしたら、同じ異国に住むものとして、とても微笑ましい気がする。

もちろん彼にとってはそんなことは小さな事で、だからこそ偉大な記録を出し続けているのだろうが。

投稿者 lib : March 27, 2006 10:06 AM

コメント

こんにちは.ケンブリッジ在住1年のかねちんと申します.拝見させていただいています.雑談の件,仰るとおりだと思います.私は遺伝子関係の研究をしていますが,研究の話しならほぼついて行けますが,やはり雑談は厳しい.特にケンブリッジはなまりがひどいようで,地元民の言葉はほとんど分かりません・・・.ジョークを理解できる日は永遠に来ないような気がします・・・.

P.S.中田は随分語学が達者なようなので,クラブチームとも打ち解けてるんでしょうね.

投稿者 かねちん : March 28, 2006 10:03 AM

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