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May 04, 2006
ニューマーケットで競馬
ニューマーケット (サフォーク州) の競馬に行ってきた。 ロンドンから1時間ほどの場所にある。
アスコット競馬と女王陛下のお膝元ウィンザーの競馬には何度も行ったことがあるが、ニューマーケットは初めてだ。クライアントのお供である。
ニューマーケットは詳しくないので、ボスの知り合いの競馬場関係者が案内してくれた。愛想のいいおじさんで、ものすごく顔が広いことを発見。
顔も広いが、競馬場も広い。
3番の 「チョコレート・ファッジ」 か、7番の 「バニラ・アイス」 のどっちにしようかな、と思いながら、パドックに馬を見に行く。
7番の 「バニラ・アイス」 が興奮して暴れ、厩務員を引きずりまわしているのを見て、迷わず3番にする。
売り場に行き、馬券を購入。 レース・コースに入り、馬が疾走するのを見る。
パドックから馬券売り場へ、馬券売り場からレースコースへ、レースコースからパドックへ、パドックから・・・と何往復もしていると足がクタクタになってくる。
ものすごい人出だ。
木曜日の昼だったが、わざわざ仕事を休んできているのか?
日本のデパートのように、 「木曜定休日」 の人ばかり来ているのではないだろうな。
しかし、よく見れば年配の人が多い。 退職者か? それにほとんどが男性。 おまけに白人しかいない。
数千人の白人のおじいさんの集まりというのもなかなか壮観である。
若さと華やかさには欠けるが。
ここは長い直線コースで有名らしく、スタート地点ははるか遠くにあり、肉眼では見えない。
そのせいか、双眼鏡を持っている人が多いのだが、これが超クラシックで重厚なタイプ。
ノルマンディー上陸作戦で使われたような、ちょっと地雷に当たったくらいではこわれそうもないシロモノだ。
メチャクチャ重そう。 歩き回る距離といい、双眼鏡の重量といい、体力に自信のあるおじいさんの集合体とみた。
被っていた帽子を少し浮かせて、案内人に挨拶をする人がいる。
「今のはね、ロード XX」と教えてくれる。
ロードと言えば、XX卿という貴族らしい。
「ごきげんよう」ともったいぶった感じの老紳士が話しかける。
「ごきげんよう、ロード XX」
またまたエラソーな感じのおじいさんが、
「今日は遠方の客人を案内かね?」
「左様でございます。 ロード XX」
数時間の間に10人以上の 「ロード XX」に会った。
シティで10年以上働いているが、「ロード XX」なんて、ほんの数人しか見たことがない。 きっと、貴族はビジネスなんて「お下品」なことはしないのだろう。
「ロードっていうくらいの貴族だからお金持ちなの?」と案内人に聞いたら、
「全員が金持ちってわけじゃないよ」と笑っていた。
他の競馬場でもそうだが、久しぶりに顔を合わせた友人と酒を飲みながら話すのが目的のようで、競馬の開催日を 「ミーティング」 というのはそのせいなのかもしれない。
その横をときどき馬が走る、たまには馬券も買うといった感じ。 私も買った馬券3枚に対して、飲んだのはジントニック2杯にレッドワイン3杯だった。
さすがに、競馬新聞を手に赤えんぴつを耳にはさんでいるおじさんはいなかった。
続く
投稿者 lib : May 4, 2006 08:57 AM