« イギリスの森でファミリー・ホリディ | メイン | 一時帰国 その1 »
August 16, 2006
ある一日
朝起きて携帯を充電する。
今日は、ロンドンの郊外で打ち合わせだ。
電車は、ウォータールー駅 から 30分毎に発車する。
ダーリンいわく、 チケット売り場は、
最近凄く並んでいるので、早めに行った方がいいよ。とアドバイスをしてくれた。
まあ、1時間もあれば大丈夫だな。と出かけたら、ダーリンの言う通り凄い列だ。
辛抱強く待っている間に、テレビ画面の電車のタイムテーブルを見る。
私の乗りたい電車があと5分で出発。
ああ、どうも間に合いそうにない。しかたがない。
次の電車にすることにした。
幸い10分程度の遅れで済むので、お客様に遅れる旨を連絡しようとした。
ない!!携帯がない。
ああ、そうだ、充電したまま、家に忘れてしまったのだ。
ああ、情けない。(涙、、、)
小銭をかき集め公衆電話で連絡を取る。
お客様は、快く承諾してくれた。
田舎なので、駅まで向かえに来てくださるという。「店がない方の出口」で待つように言われた。
小1時間ほど電車に乗り、駅に降りた。
無人駅だ。
さびしい駅だな。
お客様が指定した「店がない方の出口」、そんなものはない。だってどちらも店はないのだ。
うーん、おかしいなー。と思いつつしばらく待ってみた。
やっぱり電話をした方がよいだろう、と思い、
バックを開けると、 ああ、そうだ。携帯を忘れていたことを思い出した。
こんな日に忘れるなんてアホな私。
幸いホームに公衆電話ボックスがあるぞ。
よかった。と思い電話ボックスに入ると、なんとホーンカードのみ。
ガーン。
困ったな。
2人の若い女の子がおしゃべりをしている。
多分次の電車を待っているのだろう。
彼女達に、この近くにある公衆電話の場所を聞いた。
『電話ねぇ、この辺にあったかしら??』
となんともたよりない。
焦っていた私は、お客様と待ち合わせしたこと、 向えが来ないこと、
そして、携帯を忘れて連絡が取れないとかなり困った風に話したのだろう、
1人の彼女が、
『私の携帯使っていいわよ。』と言ってくれた。
『え、いいの?』
『もちろんよ。』
人の親切が身にしみる。(2回目の涙)
電話をするとどうも降りる駅を間違えたらしい。
私が来たのは、彼女の以前のオフィスがあった場所で、現在はまったく別の所に移転したとのこと。
ガーン、ガーン。
正直言って、では、次の機会にさせてください。と言いそうになった。
しかし、お客様はお待ちしておりますから、どうぞ気になさらずにいらして下さいという。
お客様第一主義。そして、お客様 は神様です。
『では、お言葉に甘えて伺わせていただきます』と 明るく答えていた私。
それから1時間かけて、やっとたどり着いた。
お客様がいったように 『店のない出口』もちゃんとある。今度は間違いがない。
よかった。
電話をして向かえに来ていただいた。
ご挨拶をしたら、『お疲れでしょう』と言われ、
『お昼は、まだですか?あまりチョイスがないけど、よかったらランチを一緒にしませんか?』と食事に誘われた。
あっ、気がつけばこんな時間。
『そうですね。』といいつつ、駅を間違えたため電車のチケットを2回も購入し
お金をあまり持っていないことを思い出した。
『すみません。そこはカード使えますかね?』といきなりこんな質問をする私。
『さあ、どうかしら?』
『では、この辺でお金をおろせる所はありますか?』
と、今日の事情を説明し、所持金があまりないことを伝えた。
『キャッシュマシーンね、多分、なかったわね。』
ガーン、ガーン、ガーン。
『大丈夫よ、大変な思いをして来て下さったのだから、ご馳走しようと思っていたんです。』
と言ってくださる。
ここまで言ってくださって、一緒に行かない訳にはいかない。
『では、もしカードが使えなかったら、お借しください。』
とすっかり甘えムードでカフェのドアを開けた。
その瞬間にドアを見たが、カードを使えるシールが貼っていない。
ちょっと田舎のカフェだもん、無理よね。
やはりカードを使えず、お借りすることになった。
大体、このような場合は、仕事上私が支払うのが普通。
携帯も忘れ、お金もないなんて、なんてアホな私。。。
テーブルに着くと、小さな男の子がやって来て、○○を買ってくれないか?という。
○○って何?というと見せてくれた。
モロッコの子供たちがつくるブレスレットだという。
実は、モロッコの学校で教材が必要なので、これを売って寄付をするつもりだという。
自分は、この近くに住んでいて、このカフェの叔父さんは、すでに100ポンドで買ってくれたという。
うーん。また、お金か。
しかし、聞けばもうすぐ8才になるこの男の子のしっかりとした目的、説明できる能力に惚れ、
『今日は事情があって、お金を持っていないの。1ポンドなら買えるけどどうかしら?』
というと、それでもいいと言う。
お客さんと2人で、どんな色がいいだろうか、などど結構真剣に選んでいた。
お客様と年齢が近いこともあったのだろう、こんな話をしながらランチを終え、彼女の事務所でお仕事のお話をした。
結果、お願いしたかった事も承諾していただき、ここまで来た甲斐があった。
会社にもどったのは、5時を過ぎていた。長い一日だった。
携帯を貸してくれた女の子、ご飯をご馳走してくださったお客様、クレバーな男の子、
英国の生活もまだまだ捨てたものではないなぁー。
投稿者 lib : August 16, 2006 09:58 AM
コメント
業者と極力対等に付き合おうと努力して頂けるお客様に乾杯。ええ
話でした。社員と社長の関係も目線の高さはいつでも同一がいいで
すよね。
そういえば、まだ英語も覚束ない頃、出張にてリナテ空港(ミラノ)
の日曜午後、タクシー乗り場で、あれっどこに行くんだったっけ!
と一瞬蒼白になったことがあります。以来、
- Credit Card
- Passport
- 行き先の詳細
出張時の三種の神器です。近頃だと携帯電話も加わるかな。
投稿者 Yoshy : August 16, 2006 09:01 PM