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September 07, 2006

夏の思い出

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9月になり、夏が終わろうとしている。

7月は暑かった。
ヨーロッパの夏は「天気が良くて、日が長い」季節であって、決して「ギンギラに照りつけられて、サウナのようにムシムシ」ではなかったものだが・・・。
この数年、30度を超える日がイギリスでも珍しくなくなってきた。

「女はいいよな、ノースリーブとか着られるし。僕たちはいくら暑くてもスーツを着なければならないんだぞ」とボス。
「このくらいの温度で泣き言とは情けない。オタクの先代は暑さをものともせず、アフリカやインド、ジャマイカなんかを無理やり植民地にして暮らしてたじゃない」
そう、いやがらせを言ってやるのだが、
「暑いものは、暑い」
と、軟弱者もいいところである。
大英帝国の衰退、ここに見たり。さぞや、ご先祖様も嘆かれることであろう。

30度なら、日本人の私には平気。
しかし、外に出ているぶんにはそれほど暑いとは思わないが、問題は乗り物の中だ。
イギリスの乗り物はどう見ても「冬仕様」で、暖房は効くようになっているが、窓は小さくて少ししか開かないし、もちろん冷房の設備はない(一部の新型電車にはついているらしいな)。

私は朝夕の通勤時間、日が当たらず少しでも風が入る位置に電車の席を選ぶ。そして、先人の知恵、花鳥風月の文様の入った扇子で涼をとるという原始的な戦術をとる。
日本なら、
「クーラーが効きすぎて、乗り物の中は寒いから、カーディガンを持っていこう」というのも同じく暮らしの知恵である。

「こんなに明るいのにまっすぐ家に帰るのは間違っている」気分にさせるのも、夏のしわざ。
よく考えると、外のテーブルならともかく、ワインバーの中で日が長いも短いも関係ないのだが。
フルボディのレッドワインではヘビィなので、ホワイトにするか、ロゼになるのもこの季節ならでは。

金融街シティでは季節により服装はあまり変化しない。
ビジネススーツというのは生地の厚みは違っても、パッと見目にはかわりばえするものではない。女のスーツも通年ダークカラーで長袖がほとんどだし、男はよほど寒くなければ冬でもコートを着ない人が多い(なぜだ?)

夏のパブ、昼休みでもネクタイを取り、ジャケットを脱いだシャツ姿は少ない。
聞いてみると、
「タイをはずしたりすると、楽になって気が緩み、午後クライアントに会う前にもう一度、身だしなみを整えようという気がなくなる」のだそうだ。

身体の仕組みが違うのか、暑いと言いながらも、上着も脱がず汗も浮かべない姿はちょっと不思議。

シティはデブ度が低い地区である。
それに少々太めでもダークスーツを着ている限りは見苦しい贅肉も目につかない。

が、ショッピングセンターでカジュアルウエアの連中はすごい。
Tシャツやタンクトップで身体の線がモロに・・・。

「臨月の妊婦」のような腹をした「おじさん」。 下着やスカートのベルトで身体のところどころを締めつけられ、その他の部分はボヨヨーンと膨れた「ミシュランのタイヤ男」のような「おばさん」。 チビピタTシャツから、「コブとりじいさん」のコブのようなお肉をプルプルとはみ出させた「おねえさん」。

こうなると、「視覚による暴力行為」といえよう。

お願い、その霜降り肉を人目にさらすのはやめてくれる?

夏のビーチホリディのためにダイエットを計画したが挫折した連中は冬のクリスマスパーティという目標を立てる (私もだが)。しかし、贅肉をジャケットで覆い隠すと、ホッとしてしまい、クリスマスへ向けた減量作戦も危うい様子。

イギリスの食べ物には季節感がなく、「食欲の秋」になりにくいのがせめてもの救いか。

松茸、さんま、柿、栗、と懐かしい日本の秋の味覚を思う9月である。

投稿者 lib : September 7, 2006 09:26 AM

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