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April 09, 2007
Easter
イースターともなると、ロンドンは日が長くなり暖かい。日本の季
節感にはかなわないが、そこそこ四季を感じることができる。長く
暗い寒い冬がようやく過ぎて春が来る嬉しさは、こことて格別であ
ることにそう変わりはない。
フラットのベッドルームから、裏の駐車場やUpper Richmond Street
が見える。なにが嬉しそうかって、リスたちである。春の太陽を金
色の背中で満喫しながら、2匹のリスが、恋仲なのであろうか、じゃ
れあって駐車場の屋根で走り回っている。その傍で妙に太った鳩が
足を畳んで、リスたちをゆったりと眺めている。
こんな平和なイースター4連休に、風邪をひいてしまった。数年ぶ
りにきついなあと思う結構な風邪である。最初は喉がひりひりと痛
み、次に鼻水が滝のように流れ、現在は更に胸が痛い。あと数日間
続きそうな勢いでうんざりしている。とはいえ、僕の体にまだ柔軟
性が残っていると思うとちょいと嬉しい気がしないわけではない。
歳をとるにともなって、風邪をひきにくくなる人がほとんどだと思
うが、体が柔軟性を失っている大証拠なのだそうである。僕の場合
はもう5年ほど、風邪と呼べるほどの規模のものはひいておらず、
逆にうんざりしていたのであった。しかし、ひいてしまうとやはり
風邪は憎らしい。
荒療法、テニスで汗をかいて一気に直そうかとも思ったが、朝起き
て、まだまだ症状がひどいのでやめにした。このあたりの見極めは
難しいところだが、あまり過信せぬあたりの判断が適切かと思う。
体からの悲鳴はよくよく耳を澄まして聞いてあげたほうが、永い目
でみて正解なのだろう。なので、暖房を入れた暖かい部屋でイース
ターを無為に過ごしている。
無為に過ごすというのは僕の場合、頭の半分で本を読んだり、テレ
ビをみたり、ごろっと横になってラストシーンがみえみえの恋愛映
画を豆でもかじりながら眺め、他の半分で会社のことをぼーっとな
んとはなしに考えるというものである。これが幸せな時間かどうか
は知らんが、近代人にとって贅沢と呼ぶべき時間であることはまず
間違いない。
そんなこんなで、イースターには結構な量の読書が進んだ。梅原猛
氏が若き頃著されたエッセイ的な作品集や、塩野七生女史など、
本棚から目についたものをランダムに手に取った。こうした哲学者や
小説家の感性に何時間も浸っていられるのは、必要な贅沢ものであ
り、かつこの贅沢は自ら作り出さねばいけないと再認識した次第で
ある。
投稿者 lib : April 9, 2007 05:07 PM