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April 26, 2007
狐つきの家 その2
日曜日、隣のおばあちゃんがやってきた。
「お宅の庭にきつねがいるの。死んでるんだか、死にそうなんだか・・・」
この人が前回に私の家に来たのは、「ねずみ」(2006年12月7日のブログ)の件である。で、今回は 「きつね」か。 「動物シリーズ - 殺りく編」はまだまだ続く。
「庭のどこにいるのか、教えるわ」と家の中に入ってきた。
実はクリーナーのおばちゃんはこの3週間、ラトビアに帰省中である。彼女なしでは家の中の片づけに少し自信がないのだが、80歳を過ぎたおばあちゃんにダメとは言いにくい。
ほら、そこに、と裏庭を指差されてみると、確かに茶色いものが芝生の中にいる。芝生がのびているので草に埋まっている感じだ。きれいに芝刈りされた隣の庭ではなく、私の庭を選んだのは、草の感じが 「より自然に近かった」からだと思われる。
「ヨタヨタって感じで庭に入ってきて、そこに寝転がったままで動かないの」
私の頭に、
「庭に横たわる 『きつねのえり巻き』しかも無料」という 「鬼畜」のような考えが浮かんだ。
が、それに続いて、
「・・・を手に入れるためには、血みどろの解体作業が必要である」という文章がこだまする。しかたない。穴を掘って庭に埋めるか。
「あのね、役所に電話をしたのよ。でも、きつねの死体をひきとってもらうには50ポンドもかかるらしいの」とおばあちゃん。
なんだ、動物愛護よりは費用を心配していたのか。
「でも、公道に出しておけば、無料で回収するって」
きつねの死体を家の前に出しておくのも、何だかなあ。
と、その体の上をハエが飛び回ると、耳がピクピクと動いた。まだ生きてはいるらしい。
フラフラと立ち上がるとほんの数歩だけ移動して、そこに寝転がる。
「あら、生きてるわ!」と慌てるおばあちゃん。
歩き回ったあげくに自分の庭で死なれると50ポンドの費用が・・・と思ったのか、いったん、家に戻り、電話帳を持ってやってきた。
「出すぎたまねだと思わないでね。ちょっと動物保護の協会に電話してもいいかしら?」
はい、はい、何でもして下さい。
「お金はかからないから」
そこが重要なのね、おばあちゃん。
日曜日の午後だ。
死にかけたきつねを無料で引き取るような酔狂な・・・と思っていると、
「傷ついたきつねがいるんですって?」と保護用の檻を持った女の人がやってきた。
電話をしてからたったの20分。
以前に悪ガキが庭に入ったらしく、ガラスは割れなかったが窓に卵が投げつけられていたときに警察に電話をしたが、
「このたびは大変でしたね」という 「慰めの手紙」を受け取っただけだ。税金を返せー!
なのに、野生のきつねのトラブルなら日曜日でもたったの20分で駆けつけてくれるのか? 私はきつねになりたい (嘘だけど)
見るときつねは10メートルも移動していて、塀に鼻づらをくっつけたままで寝ている。
・・・・まさか、だらだらと昼寝しているだけでは?
が、動物保護協会のおねえさんが捕まえようとすると、すごい勢いで逃げていった。
後ろ足を怪我しているらしい。元気がなくてぐったりしていたのはそのせいか。
「あれでは狩りができないわ。何日もつらい思いをするくらいなら、安楽死させたほうがいいわね」と保護協会の人とおばあちゃんが相談している。
おい、足の怪我くらいで殺すなよ。
安楽死に対する考えは日本人とイギリス人ではかなり違う。日曜日なのに動物保護のために働くおねえさんは尊敬するけど、ちょっと違和感もある。
医者とか獣医にならなくてよかった。安楽死といいながらも、生きている人や動物の命を絶つのはちょっとね。
でも、ビジネスで同業のライバル社の 「息の根を止める」策略を練るのには罪悪感はありません。
投稿者 lib : April 26, 2007 08:46 AM