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January 09, 2008
初夢
今年の初夢は、家のサンルームに洗濯ロープがたくさん張られ、古びたタオルや普段着の洗濯物を 「私」が干している。で、それを 「私」が風呂場の窓から眺めているというものであった。
ハッとして目覚める。
いかん、いかん、いかーん!!!
年に一度しかめぐってこない初夢。その年の運勢を左右するかもしれない初夢。
そんな大切な夢で古タオルなんか干している場合ではない。
幸運なことにまだ夜中だった。なんとか仕切りなおしたい。
心を落ち着かせ、 「純金の富士山」を背景に 「プラチナ製の鷹」が 「ダイアモンドでできたナスビ」をくわえて飛んでいるイメージを浮かべ、もう一度、眠りに落ちる。
数年前まで、私の夢の見方はすごく単純だった。
前日に蝶が飛ぶのを見れば、昆虫の夢を見る。前夜のテレビでアフリカの動物のドキュメンタリーを見れば、象の夢を見た。
「夢を見る」というよりは、 「前日の出来事のおさらい」みたいなもの。
しかし、脳のほうも 「いくらなんでも、芸がなさすぎる」と反省したのか、最近はドラマ性に富んだものが多くなった。
「探偵が犯人を暴くためトリックをしかける」とか 「人妻が愛人と秘密の旅行を計画する」みたいな2時間枠のサスペンス劇場のような筋立てである。
――― せっかく睡眠をとって、 「休もう」としているのに、何のためにわざわざ脳がフルで活動しドラマを作っているのか、疑問ではあるが。
さて、初夢である。
せっかくの努力も空しく、その後は夢を見ることもなく目覚めてしまった。
こんな貧乏臭い初夢でいいのだろうか、2008年・・・。
うーむ、これはひとつ 「夢買い」をしてみようか。
北条政子が妹の 「吉夢」を買って、みごと将軍の奥方におさまったという話を聞いたことがある。妹を騙して運を横取りする根性は汚いが、この際だ、 「洗濯物を干す初夢」よりはマシだろう。
さて、誰から買おうか?
イギリス人に 「初夢」のコンセプトはないから、こっそりと良い夢を聞き出し、ビールのパイントかなんかをパブで奢って、夢を買ってしまおう。
数字が書かれた色とりどりのボールがグルグルと回って、はっきりした数字が6つ見える、なんて夢なら100ポンドくらいあげたっていいし。
「ねえ、ねえ。今年になって、何かいい夢見た?」と同僚に聞いてみる。
「面白い夢を見たよ。カフェでサンドイッチを食べていると、バイキングの一群に襲撃されて、まわりがみんな殺されるという夢」
ダメだ、ダメだ。そんな血なまぐさい夢。新春から縁起でもない。
「それでね、いつの間にか手にマシンガンを持っていて、敵をバシバシやっつけるんだ」
「・・・もしかして、クリスマス休暇に鼻血が出るほどゲームした?」
「そう。よくわかったね」
これはパス。
「最高の夢を見たよ」とニヤつく別の同僚。
「モーリシャスあたりかな? プライベートビーチに寝転んでいるんだ。クラッシュドアイスに注がれたダイキリかなんかを飲みながら」
よし、こいつはいいぞ。で、その続きは?
「でね、ビキニ姿のピチピチギャルがたくさんいて、僕に群がってくるんだよ」
・・・そうか、ピチピチギャルか。ピチピチギャルに用はない。 「ロケーション」は最高だし、 「夢の質」も悪くはないが、これは 「男性用」だな。
と、言ううちに新年も過ぎてしまい、私の初夢も公式に決定してしまったようだ。
その名も 「2008年 洗濯物を干すドッベルゲンガー」である。
かのフロイト大先生やユング先生。はたまたエドガー・ケイシー医師に分析してもらうと、一体どんな意味があるんでしょうね?
投稿者 lib : January 9, 2008 07:13 PM