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February 04, 2008
子供と宗教
来週からチャイニーズ・ニューイヤーなんだそうである。
イースターと同じでチャイニーズ・ニューイヤーも毎年日にちが変わる。
その日暮らしで先々の予定を立てるのが苦手な私は、毎年夫に
「来週からチャイニーズ・ニューイヤーだよ」
とリマインドしてもらい初めて、
「ああ、今年も、もうそんな時期か」
と気づく。
それを聞いていた息子も話に加わった。
「去年は幼稚園で、Tのお母さんがライオン・ダンスをしたね。」
ああ、そうだったな。
息子が去年まで通っていた幼稚園では、チャイニーズ・ニューイヤーを学校ぐるみで祝っていたので、中国出身の父兄の一人が、中国の獅子舞を子供たちに披露した、と聞いていた。
この幼稚園は公立小学校の付属だったが、高級住宅地の隣にカウンシルフラット(公営住宅)がある、という地域柄、父兄もイギリス人のミドルクラス&ワーキングクラス、バングラディシュやソマリア、東欧からの移民、インド人のビジネスマンetc、と雑多で、「これぞロンドンの縮図」といったような学校だった。
私はいろんな人種や文化が混沌とひしめきあっているのがロンドンの魅力の一つだと思っているし、様々な肌の色の子供たちが一緒に遊んでいるのを見るたびに、なんだか「オリンピックの入場行進」を思い出し微笑ましい気持ちになった。
まだ偏見のない子供のうちから、いろんな国から来たいろんな人種の子供と一緒に学べる息子は、なんてラッキーなんだろうと、思ったりもした。
その頃、まだ日本語で10まで数えられなかったのに、ベンガル語で数の数え方を覚えてきたときは思わず笑ってしまった。
さまざまな文化背景をもつ子供達を抱える、この学校の努力も素晴らしかった。
クリスマスはもちろん、ヒンズーのディワリ、イスラムのイード、そしてチャイニーズ・ニューイヤーも同等に敬意を表し、子供達と祝っていた。
そういえば去年の今頃、息子のクラスの先生に
「壁に中国語を貼りたいから、書いてもらえない?」
と頼まれて、いくつかの漢字を書いてあげた。
借り物のようにこの国に暮らしている外国人の私だが、この時ばかりは自分の文化が脚光をあびて(正確に言えば中国の文化だけど、まあ近いってことで)誇らしい気持ちになった。
きっと、インド人も、バングラディシュ人も自分の文化が学校で祝われる時、同じ気持ちになったのではなかろうか。
この学校を息子も私も大好きだったのだが、残念ながらレセプションの席は得ることができなかったので、第二希望の英国国教会の学校に昨年から通うことになった。
私は無宗教だが、夫は8年近く、近くの教会に通っている。
教会系の学校に息子が通うことになって夫は喜んでいたが、私はどうも複雑な思いがした。
現代のようにいろいろな価値観が混ざり合っている中で、ひとつの宗教だけを子供に教え込むのはどうなんだろう。
大人になってからどの宗教を持っても持たなくても勝手だが、無垢な子供に大人の選んだ宗教を「洗脳」するのは、どうも腑に落ちない気がした。
ためしに息子に
「学校の先生、チャイニーズ・ニューイヤーの話する?」
と聞くと、
「ううん。今は、イースターの話してる。」
との事。そりゃそうだよな。でもなんか寂しいな。
教会の学校に願書を出したのは親である私達だし、納得した上で通わせることにしたのだから、こんな御託を並べるのが筋違いであるのは百も承知の上だが、なんとなく、一神教を教え込むよりも、
「世界には色んな文化や宗教があります、皆でそれを理解し祝いましょう」
と子供に教えるほうが、今の世の中に合っている様な気がする。
まあ教会系の学校が「ゴッド」や「ジーザス」の話をするのは当然だし、いい学校ではあるんですけどね。
投稿者 lib : February 4, 2008 11:15 PM