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March 13, 2008
M-Word
教師になって一番大変なことは何か、、、。
教師一年目に同じ質問されていたら迷わず「生徒指導(Pupil management)」と答えていたでしょう。教師としても新米で、今よりずっと英語が流暢でなくて(特に子供との会話で必要なフレーズ・単語)、毎日が戦いだったように思います。
そして4年経ち、生徒との関係の築き方も自分なりに学び取り、教師としての自信も少しずつではありますが持てる様になってきた今日この頃。
では何が一番今、大変かといえば、、、「Marking」です。
日本語だと「採点」ですが、私たちのやっている「Marking」はいわゆる日本の採点とは異なる点がたくさんあります。
そもそも歴史科の学習到達目標には「史資料から歴史的事件の要因を理解することが出来る」や「自分の議論を明瞭に説明することが出来る」などがあり、とても短答式のテストでは評価できないスキルを子供たちが伸ばすことが求められているのです。
私自身が中学や高校で受けていたようなテストのように「邪馬台国の女王の名前は?」などの質問に対する解答に教師がマルかバツかで点数を付けていく、、、ということがほとんどありません。
こちらで必然的に生徒に出す正規の課題(Formal assessment)はエッセイ形式のものや史資料を与えて生徒に解釈させて説明させるような記述式のテストが多いのです。
より詳細で明瞭な解答に多くの点数をつけるので、結果はもちろん点数で出して生徒たちの学習到達を比較することも出来ますが、記述式のため点数を付けるには時には1ページもある生徒の解答をすべて読まなくてはいけないわけです。そしてどの到達レベルに達しているのか判断して成績を付けなくてはいけません。
特に今年大変なのは9年生の採点。5クラス(一クラス約30人)担当する私は一つのトピックが終わったときに考査をおこなうと一度に5クラス分のテストをマーキングしなくてはならないのです。
そして、教師の採点は考査に限らず、生徒のexercise books(日本ではノートといいますね)のマーキングです。別に点数を付けるわけではないのですが、これもformative assessmentといって生徒の解答に対して、間違いを指摘したり、改善のためのアドバイスを書かなくてはいけません(逆に点数やレベルだけで評価することをSummative assessmentといいます)。もちろん、一答一答時間をかけて読む必要はなく、特に評価したい部分だけ読み進めるのが一般なのですが(でないと一生かかっても終わりません!)。
我が校では教師がこのようなノートチェックを6週間に一回ほど行わなくてはいけないというポリシーがあります。
私は中学1年生2クラス、2年生2クラス、3年生5クラス(事情で現在もう1クラス)、10年生1クラス(生徒は14人ほど)の担当ですから、ざっと計算しても300冊以上のノートを6週間に一回チェックしなければいけないことになります。11年生と12年生はそんなに頻繁にチェックすることは無いのでここではカウントしません。
地理科の教師である同僚Tが計算した結果によれば、私のように10クラス以上担当する教師が6週間に一度チェックするには一日平均10冊は常にマーキングしていなくてはいけないことになるそうです。
他にも様々な課題の採点や教材作り、授業計画、会議、事務的な作業を授業の合間を縫ってこなさなくてはいけない教師にとって、マーキングは本当に『苦痛』なのです。生徒のノートを見ればその生徒がどのような考えを持ち、学んでいるのかがわかって教師・生徒双方にとってプラスにはなることは間違いないのですが、それにしても量が半端ではないのです。
私だけではなく、ほとんどの同僚がこのBook markingを苦手としていて、「これさえなければ教師という仕事がほんとに好きなのに、、、」と嘆きあいます。
教師とは全く関係の無い職についている私の友人は私が「Marking」という言葉を口にしようものなら嫌そうな顔で「またか、、、」という反応をします。はい、そうです。年がら年中マーキングなのです。
最近では私とその友人は「F-word」ならぬ「M-word」という新語まで作って、Swearword(ののしり言葉)と同じくらい避けたい言葉として扱っている次第です。
私のM-wordとの戦いは果てしなく続きます。
投稿者 lib : March 13, 2008 08:43 PM