« ああ、海外出張(その3) | メイン | 新学説発見 »
April 04, 2008
The X-Factor
「The X-Factor」というテレビ番組がイギリスにあります。いわゆる才能のある歌手を発掘しようというオーディション番組で、イギリスでは人気のシリーズになっています。
実は去年から私の勤務校でこの番組を真似たイベントが音楽学科主催でおこなわれています。企画名も「X-Factor」。完全なるパクリですね(笑)
生徒の中から参加者を募り、一次選考、二次選考とオーディションを行って本選出場者を決定します。今年は10組くらいが本選まで残ったでしょうか。
その中に実は、私が担任を持つ9年生クラスの生徒R、そしてクラスは違いますがそのこと一緒にデュオとして出演する同じく9年生のGがいました。
生徒Rは元気のいい女の子。時々突拍子も無いことを言ったりやったりして私とクラスの皆を驚かせ、そして笑わせますが、パワー全開、快活で素直な生徒です。そして、決して他人に流されない、とても独立心のある子供。そのせいでちょっと他の子から浮いてる、、、と見られがちなのですが、クラスのポジティブムードメーカー的な存在です。
彼女のお母さんとは何回か三社面談で会ったことがありますが、実は今までで一番印象に残っているお母さんです。他にも娘さんがいて、「私はね、自分の子供をすーごく愛してるのよ。宝物なのよ」と嬉しそうに「いつも持ち歩いてるの」と娘さんたちの写真を私に見せてくれた人です。こんな歳の私でも「いいなぁ、ああいうお母さんがいて、、、」と思ってしまいました。
本当に素直な人で、生徒Rが悪いことをしたと聞けば叱り、でも愛情は惜しみなく注ぐ、、、生徒Rがなぜあんなにいつも幸せそうで素直なのか分かる気がします。まぁ、去年はそんなRも思春期だったからなのか、少々感情の起伏が激しく、接するのが難しい時期もありましたが。
さて、そんな彼女と一緒に組んだのは私が歴史を教えているクラスにいる生徒G。実は、一月に書いた「アニメの力」という話に出てくる生徒Gと同一人物です。机に向かってする勉強が本当に苦手(というよりも怠けモノ)な彼女。でも、Japanese Clubに来るときは夢中になって質問したり、漫画を描いたりするのです。音楽もそんな彼女が情熱を注ぐものの一つです。
この二人、順調にオーディションを勝ち抜き、今週の火曜日に終に本選出場となりました。私も普段見られない生徒たちの姿が見れるので、火曜日の放課後に本選を見てきました。
最初はGとRだけちょこっと見るつもりでいったのですが、パフォーマンスを見だしたらこっちが夢中になりました。全ての生徒がすばらしかった。お世辞にもすごく上手いと言える生徒ばかりではありませんでしたが、100人近くいる観客(保護者も何人か来ていました)前で歌うなんて大の大人でも簡単に出来ることではないはずです。なかには「えー、あの子があんなに上手なんて!」と嬉しい発見もありました。
そして、いよいよGとRのパフォーマンス。彼女たちが選んだのはJohn LegendのOrdinary People という曲です。はっきり言って、最初の数フレーズを聞いただけでたぶん会場のほとんどの人が「この子達、すごく上手い」と思ったと思います。声量も音程のとり方も抜群。堂々とそして落ち着いた雰囲気で二人はこのとても難しい曲を歌いきりました。会場からは曲が終わった瞬間に大きな歓声が。
残念ながら私はこのあとやらなければならないことがあって結果を聞く前に会場を後にしたのですが、この子たちが優勝するなとほぼ確信していました。
そして、程なくイベントが終了したらしく、がやがやと廊下を歩いていた生徒たちに結果を聞きました。「RとGのデュオが優勝したよ」と。
やったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
うきうきしながら歩いていた駅までの帰り道、生徒Rが家族と一緒に道を歩いていました。思わず遠くから「R!よく頑張ったね!!あなたたちがほんと一番すごかったよ。おめでとう!」と叫んでしまいました。
すこし恥ずかしそうにでも嬉しそうに振り返って手を振ってくれたR。とても幸せになった夕方のひと時でした。
投稿者 lib : April 4, 2008 09:54 AM