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September 19, 2008
ハラハラドキドキ。
新学期が始まって3週間目も終わりに近づきました。
私の「天敵」である「採点」作業はまだほとんどありませんが、授業計画、教材作りにかなり追われている毎日です。
なにせ、今年は7年生から新しい学習指導要領が導入されて、より「学ぶためのスキル向上」に焦点を当てた、より「子供が授業内の活動の中心となる」ような授業作りが推進されているため、授業で子供に与える課題、そのための教材も工夫がなされたものでなくてはいけないのです。
一昔前ならイギリスでも教科書や情報を載せたプリントを使う授業があったようですが、歴史教育の現場、特に私の学校ではそういうものから離れて授業をおこなう傾向が強いです。
また、新しい指導要領では教科間の垣根をなくして幅広い知識とスキルを身につけさせようという考えが根底にあり、歴史を学びながら地理、宗教などの同じ人文学系の科目のみならず、英語、美術など他の分野との関連性を強調した授業案作りがおこなわれています。
私も今年は学科主任として7年生の学習指導案を書いているわけですが、何か新しいことを始めようと思い、同僚の地理教師であるEと一緒に歴史科と地理科の共同プロジェクトとして7レッスンを一緒に計画しました。
テーマは「自分のルーツ探し、そして自分の生活基盤である地域を知る」。具体的には自分史を書くところからスタートし、私の学校のある東ロンドンの過去、現在、未来について学び考えようというテーマで、歴史の授業では特にユグノー、ユダヤ人、ベンガル人など、その時代時代でBrick Laneという場所に移り住んできた移民たちの歴史や、現在再開発が進んだDocklandsの過去、Dock(造船所、波止場)の過去、重要性などを考えさせるというもの。
同僚Eが担当する地理では、歴史でカバーした内容をふまえて、今、移民の街だったBrick Lane一帯がどうなっているか、昔工業地帯、船着場としてにぎわっていたDocklandsが今、どのようになったのか、なぜ変わったのかに焦点にあて、その上でその両地域のこれからを考えるという内容で授業をおこなうことにしました。
なおかつ実際に両方の地域を生徒が実際に訪れるというFieldwork(現場訪問)も加えたのですが、この計画、実行のための手続きがなかなかの大作業。
まずは人文学部の主任である同僚Oへの打診のために大体の構想をまとめて文書作り。今年は歴史、地理、両教科ともに4-5名の教師が7年生の授業を教えているため、それぞれの先生が何月何日に、何時から何時まで生徒を連れて行くのかを全てチェックする作業からはじまりました。
それから現地までの行き帰りにかかる時間の想定、現地到着後の課題の計画、教材作り、そして実際うまくいくか確かめるために放課後にTest drive(試乗運転)ならぬTest Tripをおこなうなど、ここ数週間はこの諸々の作業でへとへとでした。
それでも、私も同僚Eも作りたい授業のビジョンが似ていて、一緒に働いていても苦にならず、彼女もどんどんアイディアを出していってくれたので、教材を作り上げる作業は大変やりがいのあるものでした。
さて、ここまでやっても校長から最終的に実行してもよいという許可が下りなければ駄目なのですが、学校もこういった教科間同士の連携を奨励しているわけですからNoとは言えまいと信じています(でも、内心かなり心配しています)。
実行まであと二週間ちょっと。成功するのか、計画に携わらなかった先生たちにも明確にFieldtripの内容を伝えられるか、そしてそれをしっかり実行してもらえるか。生徒たちは学ぶ喜びを見出してくれるか。今から心配はつきません。
でも、例え大成功に終わらないとしてもこれだけ時間をかけて準備したのですから後悔はない、そう大胆にも思っている私です。
結果はそのうちまたブログでお伝えしたいと思います。
投稿者 lib : September 19, 2008 07:39 AM