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October 16, 2008

SATsの終焉。

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一昨日、フォトコピー室で教材準備をしていると、同僚のVがやってきました。「BBCのニュース聞いた?」と私にたずねる彼女。

一体何のことかと首をかしげていると、驚きの情報が飛び込んできました。何とKey Stage 3のSATs(サッツ)が廃止されるというのです。

Key Stage3というのは7年生から9年生までの三年間の過程で、日本でいうと中学校にあたります。

SATsというのはイングランドのNational Curriculum(学習指導要領)に基づいた数学、英語、理科の全国統一試験(過去には情報処理のテストが導入された年もありましたが去年廃止)で、小学校6年と中学校3年の時点での受験が求められます。

ところが今回、この中学校3年、つまりイギリスではKey Stage3の最後の学年で受験されていたSATsが廃止されることになったのです。

元々このSATs、子供から学ぶ楽しみを奪っている、スキル重視になりテクニックさえ身につければ点が伸ばせるため、学力試験としての信頼性が低下しているなどとその弊害・欠点が多く語られ、教師の労働組合から毎年批判が寄せられ、廃止が叫ばれているテストです。

子供の学力低下を危ぶむ政府としては断固として廃止にはしないとは思っていましたが、今回、夏にSATsの結果発表が全国各地で大幅に遅れた批判が相次いだこと、もともとKey Stage3のSATsはGCSEなどと比べると結果が重んじられることも少ないため、今回の廃止に繋がったようです。

それにしてもイギリスで「イギリスの子供はヨーロッパ一、試験漬けにされている」とよく聞かれますが、中学校受験からはじまり、中学高校と学期末試験、学年末試験と学力が頻繁に数字ではっきりと評価され、大学受験に至るまでかなり勉強漬け、テスト漬けな日本の教育を受けた私から見たら、「そんなにすごくもないのでは、、、」と正直思ってしまいます。試験漬けがいいのか悪いのかという議論はここでは置いておいて。単に個人的な試験量比較です。

実際、日本の試験のフォーマル度(?)から比べたら、我が校でおこなわれる各教科の試験は非常に曖昧なものに思えます。試験期間というものは学年末に一応存在していますが、厳しい試験の時間割があるわけでもなく,歴史科では特に一学期に一度ほど、何らかの形で生徒の学習到達度を評価していればOK。

最後の学年末の試験も一年でやった全ての内容を細かくカバーして無くてもよく、実際、悪い点をとっても「どうせGCSEで歴史取らないし」と堂々と開き直る子供の姿も見られるほどです、、、。なんというか、「試験」=「必死に頑張らなきゃいけないもの」という図式が成り立っていないというか、とにかくフォーマル性に欠けるのですね。

こういう状態でSATsが無くなると、もちろん数学、英語、理科の教師のプレッシャーは大幅に軽減されますが、一体、生徒がどのように反応するのやら。ここは東ロンドンの公立。生徒の間で「なーんだ、SATsがないならそんなに勉強しなくてもOKじゃん」なんてことにならないといいのですが。

まぁ、今までSATsが終わると同時に反動で歴史を含めたほかの教科でも一気に学習意欲をなくしてしまう子供が少なくなるは有り難いことですが。

ところで今朝、今年の夏にSATsを受けたばかりの10年生である私のクラスの子供たちが発した言葉。

「私たちがSATsを受けたことに一体何の意味があったの?!」

、、、疑問に思うのも不思議はありません。大人の決め事に一番振り回されたのは子供、本人ですからね。さて、SATs導入、そして廃止、本当に意味があったのかなかったのか、これから数年で明らかになるのでしょうか。

投稿者 lib : October 16, 2008 11:56 PM

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