March 27, 2009
Intervention
もうすぐ4月。
あと2ヶ月で11年生の試験が始まります。
二週間前から放課後の補習授業を始めたのですが、参加者は少ないものの生徒から貰う感想はポジティブで、彼女らの試験勉強に役立っていることを嬉しく思っています。
さて、私はイギリスの教員組合に入っているのですが、数日前からメールや組合の代表委員やメンバーから「金曜日のミーティングにぜひ参加してね。重要な話し合いをするから」と言われていました。
メールに書かれていた議題は「Year 11 Intervention」。Year 11 とは11年生のことでInterventionとは普通、「介入」「干渉」「調停」などと訳されますが、この場合、「介入」という言葉が一番近いでしょう。
11年生への「介入」。一体どういうことか。
実は11年生の1月の模擬試験の結果から、今夏の試験結果が去年を下回る可能性が示唆されました。そして、2月のOfsted。去年の結果が思わしくなかったこともあり下から二番目の評価「Satisfactory」を出された我が校。
今年の結果が再び悪いとなると、どうやら来年もOfstedの監査が入るらしいのです。
校長をはじめとするSLT(Senior Management Team)はたぶん内心相当焦っているのでしょう。ここ一ヶ月で何回か教職員の会議が開かれ、「データが、、、」「試験が、、、」と何度もこのことについての言及がありました。
そして、SLTが先日下した判断。
試験結果向上のために、これから二ヶ月間、数学・理科・英語などの主要教科では普通クラスから一部の生徒を引き抜いて特別授業をおこなう。
そして、非主要科目では模擬試験で成績が思わしくなかった生徒についてはその教科をDropさせる、つまり試験を受けさせないで、上のグレードを取れそうな教科を集中的に勉強される措置を取るというのです。
実は先週、私のクラスの生徒一人について「歴史を落としてICT(情報処理)の勉強に集中させる必要がある」と教頭の一人からメールが来ました。
担当教師への事前の相談もなしのこの措置。生徒は十分納得しているのか。一体誰の決断なのか、何を基準にしているのか、歴史を落としたらその時間は生徒を誰が監督するのか、、、。
その教頭に実際に話をしても「生徒との話し合いは十分におこなわれた。生徒は納得済み。あなたの授業時間中にその生徒は図書館や情報処理室で一人でICTの自習をできる。彼女が5教科でグレードA-Cを取るための最善の措置」というだけ。
「話し合い」、、、?「あなたはグレードA-Cを取れる教科が少ない。このままでは歴史も落第するだけだから受けるのをやめて他の教科に集中した方がいい」とでも言ったのでしょうか。ただでさえもプレッシャーのかかっている時期なのにそんなことをいってしまうとは。
月曜日にその生徒から話を聞きましたが、相当に困惑し、不安な様子でした。「先生、私はどうすればいいの、、、」と。
私としては例えC以上を取れなくても最後までやり遂げて欲しいのです。歴史の授業時間を使ってICTの勉強を「自習」することが彼女にとって最善のことだとは思えません。専門の教師がちゃんと監督して彼女の勉強を見てあげるのならまだしもそんな対策はSLT側は用意していない。
歴史のGCSEをまるまる落とす上に、最悪の場合、ICTも結局D以下をとることになるかもしれないのです。
それに今まで二年間彼女が費やしてきた時間と努力はどうなるのでしょうか。彼女の場合、コースワークの提出も出来ているし、これも加味されれば最終的に今より上のグレードを取れる可能性は大きいのに。
そして、彼女の模擬試験の結果だけを元にInterventionを決めるのは軽率です。暗記とをともなう全問筆記の歴史試験の場合、1月の模擬試験は復習や過去問を使っての練習を怠れば頭のいい子でも悪い成績を取ることがあります。
どんな生徒でも夏に向けて復習と過去問を一気にやるので実際の夏の結果は模試よりも二つ以上上のグレードを取ることが多い教科なのです。
過去の結果からもこの傾向は顕著なはずなのに、、、。地理教師の同僚Eと「主要科目でない人文学系の教科はこうして軽視されるんだね」と半分冗談、半分本気で言っていました。
教員組合のミーティングに行って、こういった不満が私のものだけでないことがはっきりと分かりました。11年の学年主任すら初めの段階の話し合いに招かれておらず、教科担当の教師たちの中には生徒からInterventionについて初めて知らされたという最悪なケースもあったらしく、発言するどの教師も厳しい表情でした。
過去のブログでも触れていたかもしれませんが、この問題、実は去年もあったのです。それで余計に教員側の不満も大きいのです。今年はこんなことを繰り返してはいけないと誰もが学年初めに言っていたのに。
組合としてはどんな結論をSLTが出すにしろ、我々、生徒と直接接している前線の教師たちとの事前の協議の場が設けられていないのはおかしいという点で組合員の意見は一致しました。
生徒のためといいつつも生徒に無駄なプレッシャーを与えて学校全体の成績向上を優先させている(しかも去年はこうしたInterventionの効力が疑問視される結果しか出なかったのにも関わらず)。
もちろん、何パーセントの生徒がA-Cを取るかで学校の良し悪しが判断される厳しい現実があります。でも、Cを取れそうになくても可能性を信じて本当に頑張っている生徒を見ている私たちにはなんとも納得の行かないこのIntervention(もちろん、やる気もなければ努力もしない生徒もいるわけですが、、、)。
イースター前の大切な時期。SLTが下した決断が覆されることはないと正直思いますが、来週、SLTが我々の問いかけにどう答えてくるのか。非常に気になります。
投稿者 lib : March 27, 2009 09:47 PM
コメント
うーん、どの科目で生徒が受験するかは、本人にとっても学校全体にとっても大問題、というわけですね。受験する科目数に上限も下限もなければ、いい成績を取れそうな科目だけを受験させることになるのは当然かも、ですね。でも、でも、でも、やっぱり生徒本人と、担当教師と、親と、そして学校の上司(科目のヘッド、学年のヘッド、そしてSLTらがよくよく納得できるまで話し合いの機会をもたれるべきですよね。
私の場合、シックスフォームの生徒にGCSEをオプショナルで教えているので、途中ででドロップしたくなる生徒が多いみたいで、これが悩みの種です。Aレベルの試験のプレッシャーがかかってくるこの時期になって、これまでさんざん面倒を見てきた生徒らがクラスに来なくなるのは本当に残念です。
悩みは尽きない、ということでしょうか。そういうことに悩むことが、まともに向き合って、頑張っている教師の証拠と、いえるでしょうか・・・。
投稿者 dekobokoミチ : March 28, 2009 11:39 PM