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December 16, 2009
マリリン・マンソン コンサート
マリリン・マンソンのコンサートに行ってきた。 CDショップなら 「メタル」のカテゴリーに入っているロックバンドだ。マリリンといっても女ではない。
顔を真っ白に塗りたくり、鮫の瞳のような銀色カラーコンタクトレンズと真っ赤なリップステックという 「死化粧」メイクで、長い間 「聞かず嫌い」をしていたのだが、友人のお勧めで聞いてみると気に入った。 バーレスクのスター、ディタ・ヴォン・ティーズとしばらく結婚していたのも有名。 美女と野獣の組み合わせだ。あの馬顔で彼女と結婚できたのはロックミュージシャンの役得だよね。
さて、コンサートはブリクストン・アカデミー。有名な会場だが、 「ブリクストン」に出かけるのは勇気がいる。
その昔、ロンドンに来てすぐの頃、
「ブリクストンとハックニーは避けろ」と言われた記憶がある。
「あの辺の店はウィンドウを金網で保護してる」とか 夜行くのはやだなあ。
日頃、ブリクストンやハックニーには縁がないので、こわごわと出かけた。 ・・・が、ハイストリートは荒れ果てている様子もない。 金網もないし。 最近のロンドン不動産価格の沸騰で、このあたりもお洒落に変貌したのか?
駅ではいつものように「チケット、あるよ」 「チケット、買うよ」のダフ屋のおじさんたちから声がかかる。
このバンドのファン層 「黒皮のロングコート」 「死神風の厚化粧」 「真っ黒に染めた不自然な髪 (根元が金髪の逆プリン)」 「スタッド・ブーツ」 という 「ゴス」の群れを楽しみにしてきたのだが。 えーと、それっぽい観客の姿が見えないんですけど・・・。なんだか、Tシャツとジーンズというカジュアルな人たちばかりである。 つまんないの。 髪をトサカにしたお兄さんがひとりいたが、 「メタル」 と 「パンク」じゃ違うだろ。お兄さん、浮いてますよ。
ヨーロッパから来た連中(なぜか、見分けがつく)もキョロキョロしながら会場に向かっている。
友人が巻きタバコを作っていると、そんなカップルが来て、
「あのー、この辺にパブはありませんか?」と、なまりのある英語で聞く。 「そこにあるよ」と教えてあげたのだが、パブは目の前で捜すまでもなく、なんだか不自然。
友人が作っていた「合法的な巻きタバコ」を 「非合法のイケナイ巻きタバコ」と勘違いして 「パブはどこ・・・」と話かけ、「イケナイ巻きタバコ」を売ってもらおうしたのではないかという説が有力になった。 友人は「ヤクの売人」に間違われたらしい。
ブリクストン・アカデミーはアリーナが3000人、二階が1000人のキャパらしい。 「アリーナで大丈夫? 椅子はなくて、立ちっぱなしだよ」と心配された。「平気、平気」と答えながらも、内心ちょっと不安はあった。 ステージのすぐ前は危ないから避けてね、とさんざん脅かされる。 私は性格こそ攻撃的だが、身体は小柄。殴り合いになるとやや不利である、ってプロレスの乱闘かよ。
4000人の観客のうち、期待通りの黒づくめ 「ドレスアップ」をしていたのは2-30人という寂しさである。 ま、私たちも地味な格好だったのだが。 日本でのコンサートのほうが気合の入った服装で出かける観客が多いのでは。
前座バンドが終わり、カーテンが下げられる。 しばらくすると、スモークが湧き出てきた。 期待に興奮する観客。 さらに湧き出るスモーク、またまた湧き出るスモークが、その上さらに湧き出る・・・ あのー、火事じゃないでしょうね。半端な量のスモークじゃないんですけど。そして、さらなるスモークが・・・。
というわけで、マリリン・マンソンがステージに登場してからも最初の3曲は会場中が霧の中で真っ白。5メートル先が見えない状態である。
「マリリン・マンソンを出せー、金を出してスモークを見に来たんじゃないぞー」と叫びたくなった。
ミキサーの後ろに陣取り、ステージはよく見えたのだが、スモークがすごくて、ボーカルが少しでも後ろに下がると霧の中に消えてしまう。 よく見えないじゃん。 が、隣にいた地味目なティーンエイジャーの女の子は、気にする様子もなく大ノリで、手を振り上げ、腰をグルグルと激しく回し続けていた。 すごい勢いだ。 骨盤体操で体のゆがみを矯正するつもりなのか?
この調子ならステージ前に行ってもいいかも、と思い始めた瞬間に乱闘騒ぎが見えた。 誰かが大男に1、2発殴られているようである。 で、予定を変更してこの場にとどまることにする。 青あざを作るほどマリリン・マンソンのファンではないし。
帰宅途中、ずーっと耳の奥でセミがミンミン鳴いていた。 冬なのに。