戴冠式の場、ノートルダム大聖堂
かつて「フランス王はランスで戴冠式を済まさなければ正式な王ではない」と言われた格式のあるノートルダム大聖堂は、13世紀に着工された素晴らしいゴシック建築物。工事は6人の建築家を経て着々と進んだが、塔の建設が終了した15世紀の終わり頃、大火事のためプロジェクトは一時中断に追い込まれる。さらに、第一次世界大戦で街の大部分が崩壊され、大聖堂もかなりの打撃を受けるが、ロックフェラー財団の協力により復興工事が始まり、1937年に現在の燦然たる姿に復元された。
ここで見逃せないのはシャガールのステンドグラスだ。大聖堂の正面中央扉から細長い身廊(しんろう)の真正面に鮮明な青色のステンドグラスが現れる。キリストのはりつけに代表される宗教画のモチーフからクロヴィスの戴冠式にいたるまで、いかにもシャガールらしい幻想的なイメージが一面に広がる。ノートルダム大聖堂、隣接するトウ宮殿、そしてサンレミ教会はいずれもユネスコの世界遺産に指定されている。
シャンパンの製造過程
シャンパーニュ地方で収穫されたピノ・ノアール、ピノ・ムニエ(黒葡萄)、そしてシャドネー(白葡萄)の3種類の葡萄からできた発泡酒だけがシャンパンと呼ばれる。毎年9月から10月にかけて収穫される葡萄は、一粒たりとも皮が破れることがないよう一房ずつ丁寧に手で摘まれる。一ヘクタールの葡萄畑を一日で摘みきるためには45人も必要だそうだ。
シャンパン作りには2種類の発酵過程が必要。まず、絞った果汁を畑単位で、品種ごとに大きなステンレスの樽で発酵させワインにする。葡萄の出来が格別よかった年だけ、その年のワインだけでビンテージ・シャンパンを作る。毎年同じ味と品質を提供するノン・ビンテージ・シャンパンには、その年のワインに過去のワインが微妙にブレンドされる。ここでワインは分厚いシャンパン・ボトルに移され、少量の砂糖とイースト菌を加えて2度目の発酵過程に入る。
15ヶ月から3年間、ヴィンテージの場合はさらに長い期間、ワインは地下蔵で成熟し、フォームと呼ばれるシャンパン独特の泡を熟成させていく。
シャンパン・セラーを訪問しよう
ランスには、「シャンパンの王様」として知られるクリスタルで有名なLouis Roedererを始め、Mumm、Tattinger、Veuve Clicqot、Pommer、Lansonなど名の知れた有名シャンパン・ハウスが門を構える。それぞれが数キロから数十キロメートルもの長さの地下蔵を抱えており、ほとんどのハウスが一般客に地下蔵ツアーを提供している。中には予約なしで入れるところもあるが、事前予約しておくと安心。ハウスごとに秘蔵の葡萄のブレンドや製造方法があり、近年随分作業がハイテク化されている反面、今でも昔ながらの製造方法を地道に守りぬく小規模なシャンパン・ハウスもあるので、その差を見学するのも楽しい。 |