世の中には一風変わった決まりごとが存在する。例えば、栃木県高根沢町には「ハートごはん条例」という、聞いただけでほんわかした気持ちになる条例がある。その前文によると「まごころ(ハート)を込めて育てた農産物を、愛情(ハート)を込めて料理し、感謝の気持ち(ハート)をもっていただくということを大切にして、高根沢町の食文化を伝え育んでいく」・・・というのが理念ということだ。

また、北津軽郡板柳町には「りんごまるかじり条例」なるものがある。「消費者が安心して安全なりんごを食べることができるシステムを整備することにより、健康食品であるりんごの普及促進を図り、国民の健康づくりに貢献するとともに、板柳町のりんご関連産業の振興に資すること」が目的なのだそうだ。確かにまるかじりできるような品質はありがたい。

さすが日本!いずれも納得のいく決まりと言っていいだろう。

翻って、イギリスはどうだろう?なんと、廃止の声が高いにもかかわらず、1300年代に政令された法律の中にさえ今もなお有効なものが存在するという。「なぜ!?」という法律の中から、いくつかをご紹介しよう。


海岸に打ち上げられたクジラやチョウザメは
現君主に献上しないとならない

7世紀以上も前にエドワードII世王によって制定された。英国中の白鳥はエリザベス女王所有ということはよく知られているが、クジラとチョウザメも同じ理屈のようだ。しかし、海岸に打ち上げられたクジラやチョウザメといったら、すでに生きてはおらず強烈な臭いを放っていることは間違いない。そんなものをもらっても迷惑なだけのような気がするが・・・。


パブで酔っ払ってはならない。
また、店内で酩酊や無秩序な行為を許したパブのオーナーは罰せられる

いずれも19世紀中に制定されたものだが、現代はもちろんのこと、当時を舞台にしたドラマや映画を見ても、守られている法律とは到底思えない。さらに2003年には、酔っ払い客に酒類を売ることや、すでに酩酊状態にある人のために酒類を買うことも犯罪行為となった。これらの法律を破ったことのない人、手をあげて!


不審な状況で鮭を扱ってはならない

よく意味のわからない法令だが、制定されたのは1986年と比較的新しい。その頃不法に鮭の取引をしていた輩が増えたということだろうか?


はしごを運ぶのに歩道を使ってはいけない(ロンドン)

実ははしごだけでなく、樽、たらい、車輪、板、棒、プラカードなども同様で、転がして運ぶのもダメ。単に人の行き来を妨げるからというのがその理由だそう。だが、これから自宅のリフォームを考えていたのに!という方はご安心を。運搬車から下ろすことは許されている。


防犯アラームは、解除できる人を指名してからでないと
作動させてはならない

留守中に防犯アラームが鳴ってしまった場合に、20分以内にアラーム解除に駆けつけられる人を決めてからでないと、アラームをセットしてはいけないそうだ。バッテリーが切れて情けない音になるまで鳴りっぱなしのアラーム音を聞くことがあるが、あれは違法で正解だろう!


兵士や警察を装った服装をしてはいけない

前者は1906年、後者は1996に制定された法令。仮装パーティでも、ハロウィーンでも、ダメなものはダメらしい。(結婚直前の花嫁の友達グループで行う「ヘンパーティー」の定番だと思っていたのは勘違いだったのか?)違法でも兵士や警察のかっこをしてみたいという方は、6ヵ月の懲役も覚悟の上で!


フロントガラスが凍結したままで運転してはいけない

目の前の部分だけでなく、ガラス全体に凍結部分が一切ないようにしないとならない他、車の屋根に雪を積らせたままの運転も罰金の対象になるので気をつけよう。


ピンポンダッシュも違法!

1839年に制定された、レッキとした法令。法的な理由なしにノックしたりピンポンダッシュをすることは、居住者の平和の妨げになる。確かに・・・。


使用人を窓枠に立たせてはいけない

平民にはあまり関係のない決まりだが、窓ガラスの掃除やペンキ塗りを理由に使用人を窓枠に立たせることは禁じられている。


核を爆発させてはならない

当たり前すぎて何も言えなくなってしまうが、そういうことらしい。


個人宅の300ヤード以内にキャノン砲を打ってはならない

こちらもあえて法律にしないといけないのかと不思議だが、制定されたのは1938年と、イギリスの感覚だと比較的最近のことだ。しかも、法を破ってキャノン砲をぶっ放してしまった場合の罰金は、わずか£200。そもそもキャノン砲を保持すること自体は問題にならないの?


午前8時前にカーペットをはたいてはいけない(ロンドン)

1854年に制定されたロンドン警視庁の法令。朝8時前にカーペット、ラグ、マットといった類のものをはたいたり、叩いたりすることが禁じられた。高層の集合住宅であればわからないでもないが、一般の住宅でなぜだろう。曇りの日が多いこの国は空が低く、カーペットをはたくと町中に鳴り響いてしまうのだろうか?まさか・・・。

かように、イギリスには気づかず破っている決まりがいくつもあるので、気をつけよう。