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June 28, 2005

オー・ペア LiBホームページへ

career2.gif オー・ペアというのは、住み込みで家事や子守の手伝いをするためにイギリスにやって来る若い子たちのことである。年齢制限もあり、一種のワーキング・ホリディのようなものだろうか。昔は日本人にもオー・ペア・ビザが出ていたらしいが、今は廃止されているようだ。

1日に5時間程度働き、週休2日。自分の部屋をあてがわれ、食費もホストファミリー持ち。お小遣いとして、週給50−70ポンドが支払われる。仕事の内容は簡単な家事。家の掃除をしたり、ホストファミリーの子供の学校の送り迎えである。

私もずいぶんとお世話になった。

1年間にひとりずつ、7人の女の子が順番に私の家に住んでいた。国籍はクロアチア、チェコ、スロバキア。あのあたりでは大学に進学するのは大変らしく、(政治家や役人にコネがないと入学できないとか言っていた)高校を卒業すると、就職に役立つ英語を身につけるためにイギリスをめざすという。

オー・ペアの紹介業者から写真つき履歴書と手紙が送られてくる。候補者を選ぶと電話でインタビューをして、英語の能力をみる。

あまり英語ができない子では困る。ロンドンの希望者が多いので、私はたくさんの中から選べる立場だった。イギリスでも、ものすごい田舎だと、オー・ペアが行きたがらない。田舎に回されてくるのは、町中のホストファミリーが欲しがらない貧弱な英語力の子らしい。

日本人英語もいろいろと問題があるが、彼女たちの英語も楽しかった。

「私は自転車を運転したい。自転車を買ってください」

Rideではなく、Driveを使うところがシブイ。意味は通じるけど。

「歯を洗います」

Wash(洗う)ではなくて、Brush(磨く)を使いましょう。

「彼女が壊れてしまった。水が流れてくる」

彼女って誰? 誰から水が流れているの? と慌てると、洗濯機を指さしている。たぶん洗濯機は女性名詞なのだろう。

真夜中に国のボーイフレンドから電話がかかってくる。

「ごめんなさい。彼は兵役中で、この時間だと見張りに立っている兵舎の電話から、無料で国際電話がかけられるんです」

兵役?

「空襲があったときは、防空壕の中で家族の安否を心配しました」

空襲? 防空壕? 旧ユーゴスラビアから来た子たちには戦争の経験がある。みんな18歳くらいだったけど。

「英語はまだ苦手ですが、ロシア語ならできます」とスロバキアの子。

そう言われても、私のほうにロシア語の心得がないんですけど。

世界は広い、と思い知らされた。

それぞれのオー・ペアは箸の使い方をパーフェクトに習得し、日本のカレーの大ファンとなって、家族へのみやげにハウスバーモンドカレーの大箱とキティちゃんグッズを持ち帰っていった。

もうオー・ペアは置いていないが、週に2回ほどクリーニング・レディが来て、家の掃除をしてもらっている。それというのも、私は掃除をしようとすると頭痛がしたり、倦怠感が現れるという奇病にとりつかれているのだ。2時間で10ポンド。キッチンからバスルームまでピカピカにしてくれる。

現在のクリーニング・レディはポーランドの女の子とリトアニアのおばちゃん。最近、晴れてヨーロッパ連合の一員となり、ビザなしでイギリスで働けることになったからだ。

投稿者 lib : June 28, 2005 02:26 PM

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