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February 22, 2006

掃除 <番外編その2>

darling.gif  先週に引き続き、「それぞれのダーリンはイギリス人」第2弾!
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イギリス人の夫の母は、完璧主義者の上、きれい好きである。
しかも人に指図するのが、3度の飯より好き、という人でもある。
こういう人が姑だと、嫁は眉間にシワが2,3本余計に増えることになる。

彼女が訪ねてくる前日は大変である。

結婚した当初、
「カジュアルな訪問だし、普段の生活をお見せする方がいいんだわ」と、かなり勘違いしていた私は、
居間にざっと掃除機をかけただけでお迎えした。
と、彼女は薦めたソファーに座りもせず、「キッチンはどこなの?」とずいずい奥へ入っていく。
「まあ、何このレンジは?ちゃんと掃除してるの?冷蔵庫の中も汚いわねー。それにこんなに詰め込んだら冷えなくて食品が傷むでしょ。あらあら、それに床も・・(以下略)」

言い忘れたが、彼女は歯に絹を着せない人でもある。

こんな調子でバスルーム、寝室まで点検され、しっかり「だらしのない嫁」のレッテルを貼られてしまった私は、次の彼女の訪問の前日、大掃除を決行した。

とりあえず前回指摘されたところは全てきれいにして、「ふふ、これで汚名挽回」と挑んだ2回目だったが、彼女は部屋に入るなり「この部屋、カビ臭いわ」とおっしゃった。
あまりのフェイントに石像のように固まる私を眼にして我に返った夫が、
「何言ってるんだよ。全然カビ臭くなんてないよ。」と一応反論するが、
「あなた達は毎日生活してるから気が付かないんでしょ。ああ、たまらないわね。ちょっと窓開けていい」と主人を押しのけ、窓をお開けになった。
「あのね、カビは健康に悪いのよ。こんなところで生活してたら、あなた達も体壊すでしょ。ちゃんと毎日部屋の風通しして・・(以下略)」

彼女が帰宅した翌日、私は日本の母に電話して、カビ防止用品を山ほど航空便で送ってもらった。
タンスの中に積んであった洋服も(風通しが悪かったので、確かにすこしカビ臭かった)、
泣く泣く半分ほども処分し、残った洋服は全て洗濯した。
家中の壁を、カビ取り洗剤で拭きまくった。
しかもその上、トイレ掃除はもちろん、蛇口のまわりも専用の洗剤でピカピカにし、
台所のレンジも磨き粉で磨き、床は手で拭いてつやをだし、
嫌がる夫を動員して窓ガラスまできれいにした。

「これで勝負よ・・・」

万全の体制でお迎えした3回目。
彼女は、いつものように、家中をお回りになった。
が、コメントがない。
静かだ・・・。
「こ、これは、ついに勝ったか・・?」
思わず口元がほころびかけた私に、彼女はおもむろに言った。

「あのね、私、今まで完璧主義で掃除とかもきっちりしないと気がすまなかったんだけど、もうそういうの止めたの。ストレスが溜まるだけでしょ。だから汚くても平気でいられるようになったわ。私、そういう自分をほめてやりたい。」

ま、負けた・・。

この人にはもしかして一生勝てないかも、と悟った嫁であった。

投稿者 lib : February 22, 2006 07:46 AM

コメント

こんにちは
いつも楽しく拝見しております。何年経ってもイギリス生活は驚きの連続ですよね。これも人生のスパイスでしょうか。
ところで、申し上げるか否か散々逡巡しましたが、誤字がどうしても気になるのでお伝えします。
「歯に絹着せぬ」は「歯に衣着せぬ」(普通に文字変換しても出てきますよ)。
「汚名挽回」は「汚名返上」(いい間違いの定番?)。
悪く思わないでくださいね。でもこういうのは誰か気付いた人が教えて差し上げるべきだと思っているものですから。
では!

投稿者 Mari : February 27, 2006 09:21 AM

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