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September 14, 2006

冠婚葬祭 オフィス編

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イギリスのオフィスにも「冠婚葬祭」はある。

が、規則に従って統一の取れた行動を取るのが苦手なイギリス人の集まりだから、「掟」はけっこう緩やかだったりする。
日本のようにマニュアル本で勉強したり、水引の格を考えなくてもいいから気楽。

とりあえず入門編は「誕生日カード」か。
「顔見知りの同僚」レベルなら職場で一枚のカードに寄せ書きする。名前を見てもどの部門の誰だか、よくわからない場合もあるが、まさか、「知らないから書かない」わけにもいかないあたりが、まさに理不尽なしがらみを強要される「冠婚葬祭」のノリ。

(子供じゃあるまいし、今さら、お誕生日おめでとうでもないだろうに・・・)と思うが、カードが回っているのを見たことがない人もいて、
(この人、もしかして嫌われている?)と邪推を呼ぶ。

カードのメッセージはほとんどが「おめでとう」「これからもがんばって」という類のものだが、さすがはイギリス人、気の効いたジョークもありで、それに次々応えるような書き込みもしてあって、なかなか楽しめる。
英語がネイティブではない私にはひねりの効いた一言はなかなか思いつかず、
「お誕生日おめでとうございます」と日本語で書いてお茶を濁すのが悲しい。
内心、(こんなところで妙にがんばって、文法やスペルのミスしてもちょっとね)という自制心も働くし。

「XXが素敵」とか、「取引先のXXがカッコいい」などとミーハーを言っていると、それをネタにカードでからかわれることが多い。
とんでもないデザインのカードにきわどい下品なジョークがてんこ盛りで、とても人様に見せられないシロモノに仕上がっている。

「バースディ・ドリンク」のお知らせがメールで送られてくる。
誕生日のランチタイムで、オフィスのそばのパブかワインバーだ。稼ぎのいい連中はポンとカードをカウンターに預けて、誰にでも奢ってくれる。若い子の場合は参加したメンバーが自分の飲み物代を払う、と様々である。
この日の午後、本人はもちろん使い物にならず、そのセクション全体の仕事の質が低下するのは公然の秘密である。
「来てね」とは言われても、実際に行かなくてもそれはそれ。
だって、全部に参加していると一年中、毎日のように・・・。

21歳、とか30歳、40歳、50歳は「大台の誕生日」だ。
カードも大きめで、その年齢の数字バッジも贈られる。(わざわざ付ける人はいないが)
大台の年や結婚祝い、出産祝い、退職、転職はカードに集金袋(?)がついてきて、有志でお祝い金を入れる。
額は決まっていないので、中身を見て適当に判断する慣習だ。
ま、嫌いな奴ならパスしても構わないらしい。

ご祝儀慣れしている営業職のセクションや管理職を回ってくると20ポンド、10ポンド札、最低でも5ポンドくらいで、カサカサと軽い袋が回る。地味なセクションならじゃらじゃらと小銭の音をさせながら、重い袋が回る。ひとり平均して1-3ポンドと思われる。

結婚祝いに3万、5万という日本に比べれば信じられないほど小額。

お祝いをしてくれるのはうれしいが、気をつけていないとリフト(エレベーター)の中に、
「ジョンは今日で30歳です。おめでとう!」というメッセージと本人の写真をデカデカと貼られたりするので注意が必要だ。
(30歳? どう見ても40歳だ。老けた奴・・・)と社外の人にまでさらしものにされる。

私も年令の入った風船をデスク周りに山ほど飾られて、偶然オフィスに来たクライアントに年がバレてしまい、準備した秘書の子の首を絞めに行ったことがある。

バースディボーイには両ほほにキスをしてあげることにしているのだが、

「お返しにおひとつ・・・」と迫ってくるのがいる。
「いえ、いえ、とんでもございません」とかわし、
「まあ、そうおっしゃらずに」と、さらなる挑戦に、
「きょうの主役は貴殿ですから・・・」

と、「お返しのキス」は受け取らないことにしている。

礼儀上、遠慮しているわけではない。

投稿者 lib : September 14, 2006 09:03 AM

コメント

キスの習慣、なれませんねー。タイミングといい、1回?2回?、若い男ならいいけど、嫌なタイプにはこまりますよね。

投稿者 KEROkero : September 15, 2006 03:25 AM

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