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March 06, 2008

嬉しくも悲しいニュース

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今週は何について書こうかなと思い巡らせていた私に今日、嬉しくも悲しいニュースがもたらされました。

Head of Humanities、つまり人文学部の主任である同僚Kが休み時間に私のところにやってきました。「同僚Mと二人に少し話したいことがあるのでお昼休みに私の部屋に来てくれるかしら?」というK。

同僚Mは2月の初頭から育児休暇が明けて一年ぶりに職場に復帰した学科主任。私は彼女の復帰まで学科主任代理だったのですが、彼女がパートタイムで週の半分だけ働くことになったので現在はJob shareといって、ふたりで一緒に責任を分担しながら学科主任を務めています。

その同僚Mと一緒にということは、来年から大幅に変わる歴史のカリキュラムかなんかについての話かな、、、と思っていました。この間もそのことについて話さないとね、なんて言ってたので。

さて、お昼休みになり、Kの教室へ。しばらくして授業を終えたMが合流し、3人で席に着きました。そして、Kが慎重な面持ちで「実は話したいことがあるの。あなたたち二人が一番影響を受けることになるから、、、」。

これを聴いた瞬間、「カリキュラムのことなんかじゃないんだ。もっと深刻な話、、、?」と私の胸に一瞬で緊張感が走りました。

少し間を空けた後、Kが思い切ったように口を開きました。

「実は私は今年の夏で学校を去ります」

「ええっ?」

全く予想もしていなかったことでかなり衝撃を受けた私。隣に座っていたMも同様の反応です。

その直後、さらに驚きのニュースが。

「そして、9月に結婚します。」

「えぇぇぇぇぇぇ?」

心臓が飛び出しそうでした。驚きの声を通り越して半ば絶叫を上げた私とM。一瞬にして寂しさと喜びの気持ちが同時に溢れ出て私の頭の中はパニック状態。

何せ、私の学部ではKはほとんど自分のプライベートのことをしゃべらないことで知られている人。お付き合いしている人がいるのかいないのかも謎で、MがよくKの細かい変化に気づいては「きっと新しい彼氏が出来たんだよ」と想像を張り巡らせていたものです。

それから彼女は自分が去年の夏に婚約していたこと、お相手の男性がロンドンから離れたところに住んでいるのでどうしても通勤が出来なくなること、大学院のコースに進む考えがあることなどを最初は少し緊張した様子で、でも嬉しそうに話してくれました。

「相手はどんな人?どこで知り合ったの?」様々な疑問が次から次へと涌いてきます。私自身、あまり根掘り葉掘りプライベートなことを聞くのが好きではないのですが興味津々。隣に座っていたMは逆にそういう話が大好き。見事に私の代わりにKに質問を浴びせてくれました。

彼女の話を聞いていて本当に嬉しいと思う一方、来年度から彼女がいなくなるという寂しい現実を突きつけられて正直、足元がぐらつくような感覚を覚えた私でした。

彼女は私が今の学校の面接を受けにきた時に初めて私を迎え入れてくれた人物。面接日に私の授業を観察したのも、面接をしたのも彼女です。私をイギリスの教育界に迎え入れてくれた一人なのです。また、彼女自身も歴史が専門で教師経験も私よりずっと豊富で、立場的には日本でいうように私の「上司」なのですが、イギリスという環境のせいもあり、上下関係を感じずにいつでも気軽に色々と相談をしてきた人なのです。

教育についての考えや生徒に対するスタンスなど、色々な面で私と異なることも多いのですが、それでもアドバイスはいつも的確で助けてもらったことは数え切れません。

歴史科、地理科、宗教科など、人文学系の科目を統括する学部長という立場で、個性派ぞろいの学部の教師たちを相手にするのは大変だったと思います。でも、それを絶対に外に出さずに学部をまとめてきた彼女。

その彼女がいなくなる。来年のことを想像すると不安でもあるし、純粋に悲しくもあります。それでも彼女が人生の中で新しい一歩を踏み出すことは本当に喜ばしいことですが。

毎年新しい生徒と同僚に出会い、そしてさよならを告げる。そんな職場に慣れていたと思っていたのですが、身近にいたKの退職については書かずにいられませんでした。

彼女に頼らず、しっかりと学科を運営しなければ、、、と気を引き締められた一日でした。

投稿者 lib : March 6, 2008 10:02 PM

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