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June 18, 2008

おばあちゃんの葬儀で。<その1 20年間の秘密>

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ダーリンのおばあちゃんが亡くなった。
8月で95歳になるはずだったので、長生きの人生だった。ここ5年は、ややボケが始まったおばあさんの面倒を日中誰もみられないので、老人ホームに入所していた。歩けないので、ホームでの生活は、自室内だけの行動。施設の誰かがスイッチを入れ、そのテレビを一日中、ボッーとしてソファーに座り、見て過ごしているだけだった。家族の喜びは、いつも無反応なのに、ある日いきなりいつもの調子で話しだし、昔のおばあちゃんに戻ったときだろう。

延命治療はしないということだったので、脳梗塞を起こしてから1週間後に他界した。
世話をしていた義理ママやその兄は、もちろん寂しいと思っただろうが、おばあちゃんにとって、いい人生の幕引きだったと他のみんなは思っている。

ダーリンは、葬儀でスピーチをしてほしいと頼まれた。大概このようなスピーチは、おばあちゃんの息子、叔父さんがするはずなのに、なぜか依頼がダーリンにきた。ダーリンは困っている。冠婚葬祭のスピーチは、褒めることが鉄則だ。しかし、このおばあちゃん、私も知っているが、厳しい。というイメージしか思い浮かばない。ダーリンは、表面的に褒めることをためらっている。というのも葬儀に参列する人もおばあさんの厳しさ、頑固さを知っているのに、ただ、いい人だったと褒めても嘘がわかるからだ。頭を抱えているダーリン。そこへ弟がアイディアをくれた。

当日のスピーチは、こうだった。 手作りのジャムやクリスマスケーキ、アップルパイなどを孫に用意してくれていた祖母。今でも時々その味を懐かしく思い出す。それは、厳しいだけだと思っていた祖母が、実はいつも暖かく孫たちを迎えていてくれたことなんだと、今頃気づいた。 そして、両親が遠出で留守をした日、14歳の弟は友人と羽目を外し、家で初めての酒を飲み、吐いて家を汚した。面倒を見るように依頼されていた祖母が、家に来た時、弟の行動を見て厳しく叱ったが、ママには言わなかったそうだ。ママに言えば、さらに叱られるのは、目に見えている。もう、1度叱ったのだから、それでいいという事だろう。

このことは、20年経ったこの日までママも知らなかった事実だった。
葬儀が終わった後には、参列者からいいスピーチだったと言われていたが、これは、おばあちゃんの人柄を今になってみんなも知ったからだろう。人が去って初めて知るその人の良さってこんな時では、ちょっと遅いし残念だったなー。

投稿者 lib : June 18, 2008 05:07 PM

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