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June 22, 2008

Road to China

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先週、同僚Nから教員全員へメールが送られてきました。

9年生の生徒Mが今年の夏、テーブルテニスのトレーニングとオリンピック観戦のために3週間中国へ行くというのです。

実はこの同僚N、Greenhouse Schools Project という公立学校やコミュニティでのスポーツ振興を目的としたプログラムを提供しているチャリティ団体から派遣されているイギリスのテーブルテニスのプロなのです。

私の学校ではこのテーブルテニスの選手育成プログラムが去年からスタートし、希望者や教師から推薦された子供たちがプロのコーチである同僚Nからほぼ毎日トレーニングを受けているようです。

生徒Mも当然そのうちの一人。去年、全く初心者の状態ではじめたわけですが、今では何千人もの子供たちの間から選ばれた中国に派遣される28人のうちの1人になるくらい素晴らしいプレーヤーに成長したのです。

実際、この間の放課後、体育館を通りかかったときに彼女がコーチと練習しているのを見たのですが、思わず窓にへばりついて見てしまいました。だって、彼女のストロークをする姿、まるでプロ並みなのです。

私は自分でもテニスをやるので球技する人のフォームって気になるのですが、本当に彼女のフォームは美しかった。一年前に初心者だったころの彼女のプレイを覚えているだけに本当に感動でした。

さて、日本にいる皆さんは、コーチに習って学校でスポーツをすることがそんなわざわざプロジェクトになるような特別ですごいことなのかと思われるかもしれません。

実はイギリスの公立学校には日本のような部活動がありません。教師が有志でおこなっている同好会のような活動はあるのですが、日本のように毎日週末も休まず練習する姿が見られることはないのです。もちろん、学費が一年で百何十万もする良い私立校に行けば、テニスクラブやクリケットクラブなど普通にあるのかもしれませんが、、、。

今、子供の肥満が社会問題として取り上げられるイギリスでは、政府が子供たちの間にスポーツを振興させようと必死です。実際、10年生、11年生でも体育がGCSEの必修科目になったりと政策での変化はあるのですが、それも二週間に一回授業があれば良い方で、子供たちが運動をする機会はほぼ皆無です。

特に私の勤務校は校庭も狭く、体育も敷地内の体育館や校庭では場所が足らず、学校から10分ほど離れた公共のグラウンドを使わなくてはならないほどです。

それに、私の生徒が多く住む東ロンドンは都心に近いので幹線道路が多くあり、車の交通量も多く、また、犯罪率も高いので小さな子供が自分たちで安心して走り回って遊べる場所は少ないのです。

また、親が子供にスポーツをさせない傾向もあるように思います。特に私の学校はムスリム家庭が大半の女子校ですから、水泳やサッカーを娘にさせることに抵抗感を持っている親御さんが多いのも事実。

ちなみにスポーツをするときはヘッドスカーフを安全上外さなくてはならないのですが、それもスポーツを積極的にさせない要因になっているのかもしれません。

そういう事情もあって、このテーブルテニスプロジェクトは、普段スポーツをする機会のない子供たち、特に親の経済事情でスポーツを定期的にやりたくてもできないような子供たちにチャンスを与える良い機会なのです。

さて、生徒M、渡航・滞在費用はGreenhouse Schoolsが負担するものの、これから夏までの間に自分でもFund raising(募金活動)をしなくてはならないのだそうです。先日、私のところにも来たので、いつもは数ポンドで済ませてしまう私もお札を渡しました。

アフリカ系のイギリス人である彼女、中国へ行くことも、家族(特に彼女の妹は同じ学校の8年生、それも同じプロジェクトに参加しています)と離れて3週間過ごすことも、オリンピックゲームを見ることも全て初体験。

彼女にとってこの旅が素晴らしい思い出になること間違いありません。そして、彼女がイギリスの代表選手となるのもそう遠い未来ではないかもしれません。

「あぁ、私もそんな体験がしたかったなぁ」と大人気なくも14歳の彼女を羨ましく思ってしまう私でした。

投稿者 lib : June 22, 2008 12:22 AM

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