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July 09, 2008

イギリスのバブル その4

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(前々回の「イギリスのバブル その3」から続く)

新聞記事ひとつにしても、人間のサガというものを思い知らされることがある。

「女の子は若くてきれいでなくては値打ちがありません。仕事の能力? そんなことには期待してません」みたいなことをおじさんが言うらしい。 (ありがたいことに私の目の前で言った人はいない。なぜかというと・・・なぜだろう?)

で、内心は (ま、男の場合は違うけどね。男は仕事で決まる。顔や若さは関係ないもんね。どんな権力を握るか、どれだけ稼ぐか、がポイントさ)なんて思っているのだろう。

しかし、今回のC氏の記事で目からウロコが落ちた。

なーんだ、結局、ビジネスマンの男も 「顔と若さ」が重要じゃん、という事実である。

「自分のビジネスを設立するために160ミリオンポンドのボーナスを蹴って退職」というネタだけにしては、顔写真が大きすぎる。しかも、私服で歩いているところをパパラッチされた感じだし。

「セレブ・ヘアドレッサーによるスタイル」 だの、「住んでいるのはリラックスしたXXX」だのと同じ無料新聞でも 「ロンドンペーパー」か 「ライト」の芸能人ゴシップ欄のようなノリだ。

「鶏ガラのような爺さん会長」 「脂ぎったオヤジ社長」 「若い凄腕経営者、顔に難ありなのが残念」なんてビジネスマンとは違う。この人たちだと25ビリオンポンドなんてビジネスディールでも、証明写真程度の大きさしか顔が出ない扱いだ。

C氏は数週間後にも新聞に登場した。
彼の辞職によってXXXファンドから投資家が逃げ出し、株価が落ちているという記事だ。 で 「彼は130ミリオンポンドのボーナスを蹴って・・・」とある。

あれ? 160ミリオンじゃなかったっけ?

よく読んでみるとこのボーナスは会社の株でもらえる予定だったとか。だから株価が下がった今、その額も減ったのだろうか。30ミリオンの違いってすごいよね。 本人は蹴ったくらいだから気にしないだろうけど。

「おいしかったね。お勘定は割り勘にしようね。いくら? 30ポンドくらいかな? え? 60ポンド? マネージャーを呼べ!」
なんて30ポンドくらいで頭に血が上る私たちとは別世界の人だ。

私の周りにも自社株が目減りして、がっかりしている人は多い。もちろん、30ミリオンポンドも下がったという友人はいませんが。

さて、ここで謎々です。

「株価が下がってニコニコするのは誰でしょう?」 また 「人員整理の時期にニコニコするのは誰でしょう?」 はたまた 「家庭不和で離婚が増えてニコニコ・・・(以下省略)」

答えは 「弁護士」

イギリスのバブル期に 「ゴールドディガー」こと、 「これっぽっちも道徳心なし、バリバリに金目当て、必殺必中、玉の輿めざし女」の手中に落ちた男たちは、もうすぐ 「金の切れ目が縁の切れ目」という透かし文字が浮き出た便箋を弁護士事務所から受け取ることになる。

利益の追求に純粋なゴールドディガーは、シティ勤めの夫の資産が目減りする前にと弁護士事務所に駆け込んでいるとか。下手なファンドマネージャーより相場の動きには敏感だったりするし。

離婚の理由は 「性格の不一致」 とかになっているんでしょうねえ。まさか 「エマージング・マーケットの株価下落に加え、プライベート・プレースメントの収益減収とプロパティのポートフォリオ悪化のため」 なんて家庭裁判所に提出できないって。

クレジット・クランチでもゴールドディガーは元気いっぱいです。

投稿者 lib : July 9, 2008 11:22 PM

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