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October 28, 2008

バブルの崩壊 その1

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リーマンブラザーズとメリルリンチとAIGの経営危機。

経済に興味のない人には馴染みのない名前で、 「マンチェスター・ユナイテッド・フットボールチームのスポンサー、AIGという会社がヤバイ」という新聞記事もあった。そういえば、赤いユニフォームにデカデカとAIGの文字。あれをそのまま、 「マンチェスターユナイテッドが身売り」と受け取ったフットボールファンも多いのでは。

リーマンは「買収の話が流れた」のニュースの後、あっという間に 「イギリス国内で従業員5000人が解雇(自宅待機?)」である。

新聞には私物を入れたダンボール箱を持った社員がカナリーウォーフのオフィスから出てくる写真が載った。アメリカ映画でよく見かける、首になったり、ボスと喧嘩して辞表を叩きつけた主人公がデスクまわりを片づけて、ダンボール箱を抱えて憤然と会社を去る、あのシーンだ。

さて、最初に思ったのは・・・。

(あのダンボール箱は会社の支給品だろうか?)ということだ。

全員解雇の前夜の重役会議で悲痛な表情のひとりが、
「・・・というわけで全員解雇は避けることができません。決定です。・・・さて、次の議題です。私物入れのダンボール箱の注文ですが、5000個でよろしいでしょうか?」
「いや、休暇や病欠の社員もいるから、4500個でいいだろう。非常事態だから、たとえダンボール箱の費用といえど、無駄使いはできないし」

と、一括注文されたのだろうか? そのわりには持っている箱の種類はバラバラだったような・・・。しかし、あの人数の箱がオフィスにころがっているとは思えない。

目端の利く連中がさっさとダンボール箱を集めると、一番高値をつけた同僚に売りつける、という 「転んでもディーラー」 の意地を見せる状況だったのだろうか? 買い付けた同僚もそれを転売し、サヤを抜く・・・みたいな?

実情をご存知の方は一報ください。たいへん気になっているので。

もちろん、シティではリーマンの話で何日間も盛り上がった。

「人の不幸は蜜の味」とはいうものの、不幸にもカテゴリーがある。 「白血病の少女」の話をニコニコと聞く人はないし、「安い輸入品に押され、おもちゃ工場が閉鎖。60人が全員解雇」なんてニュースなら、「養う家族もあるだろうに、再就職は大丈夫だろうか・・・」と心配するのが人情だろう。

正直なところ、シティの勤め人の間でもそれほど同情されていない。(リーマンの皆さん、ごめんね) せいぜい 「うちの猫が子猫をたくさん産んだ。困った。引き取り手いないかな」という話を聞かされて 「あら、大変そう。いい人に貰われるといいわね。でも、誰も欲しくなかったらどうするの?」と言うレベルである。

そのうち、日本の某社がリーマンを買収して従業員をキープなんてニュースが流れると、 「ちっ、余計なことを。助けるなよ」と言う人も現れたくらいだ。

株価が急降下するとの予想は当然だから、Short Sellingに走るだろうな、と思ったら、FSAがそれを禁止。で、せっかくのチャンスを奪われたヘッジファンドがFSAを訴えるとか。 さすが、怖いものなしのヘッジファンドだ。日本なら金融庁にたてつく会社なんかないけどね。いいぞー、もっと、やれー。

ううむ、なんだかドラマを見ているようだ。ソープオペラでは短期間にカップルがくっついたり、離れたり、相手が変わったり、結婚したり、と話が急展開するものだが、この数週間は 「今日はどの銀行を誰と誰が欲しがって、最終的にどこに買収されるかしら?」と新聞を見るのが楽しみであった。

クレジット・クランチのニュースが最初に公になったのは、去年の夏。その前から株価や不動産の値段が高騰していたのを日本人の私たちは 「そろそろかな? いつ頃だろう? 懐かしいなあ、あの頃を思い出すねえ」と来るべきものが来るのを待っていたものだ。

あの頃の日本のバブルの崩壊のことなんて、イギリスやアメリカの誰もおぼえてなかったのかしらん?

続く


投稿者 lib : October 28, 2008 11:57 PM

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