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January 08, 2009

もういくつ寝ると、、、。

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皆様、寒中お見舞い申し上げます。いつも私のブログを読んでくださり有難うございます。

昨年末には実際に私のブログを読んでくださっている方に偶然お会いしました。私のつたない文章を読んでくださる方がいると思うだけで恥ずかしいですが本当に嬉しく思います。

これからもどうぞよろしくお願いします。

さて、新学期が5日から始まり早くも一週間が終わろうとしています。今年は前々回にも書いていたとおり、Ofstedという機関による学校監査が入るので新年早々、連日のようにOfsted準備関係のメールが届きます。

学校全体もいつもと違う雰囲気に包まれているように思います。とにかくやることが多いのです、、、。

実は私のブログを読んでくださった方から「Ofstedの準備とは具体的にどんなことをやっているのか」という御質問をいただきました。今日は学校全体としてというよりも学部・学科を中心に進められる具体的な準備の内容をまとめてみます。

Ofstedの監査の基準は毎年少しずつ変化していますし、ここ1-2年ではシステム自体もだいぶ変わりました。昔は何日も何日も監査員が学校を訪問し、1つの授業をじっくり観察、各学科の文書類も事細かくチェックされていたようですが、ここ数年は授業観察も時間は1つのクラスにつき15分程度だけれども、生徒に直接質問をしたり、生徒のノートをランダムにチェックしたり、彼らが自分の到達レベルをどう理解し、向上するための目標を自覚しているかどうかなど、生徒を主体にみる傾向にあります。

そして、学科・学部がどんな内容をどう教えているか教えているかだけでなく、我々教師が生徒の能力・到達度などをどのように理解・分析・判断し、生徒の学びの向上のためにどのような取り組みをしているのかを審査されます。

そのとき重要なのは、「Self-evaluation(自己評価)」。我々が現在重点的に取り組んでいること、向上した部分、そして改善が必要な部分を自分たちで評価することです。ここ数年のOfstedの関心はここにあります。

そのための具体的なプラン(Development planと呼ばれます)を練ることは重要で、それを示せなければその学校は「向上のための努力を怠っている」ということで監査をパスできません。

要するに今現在の実力や弱点を必死に気にするよりも、今後のために自分たちのstrengthとweaknessを知り、どんな取り組みをおこなっていくのか自覚することが求められているのです。

ですから、Ofstedの準備というと各学部・学科が証拠として以下のようなものをしっかり用意しなくてはなりません。

1、 Department・Faculty Policy-その年の学科・学部の運営指針をまとめたもの(学習に関することや生徒指導についてなど様々な点を含む)。
2、 Faculty SEF(Self-evaluation form)-学部学科の自己評価表。
3、 Development plan – 自己評価を元に作られた計画表(Action pointsといわれる達成目標とそのためにおこなる取り組みを明示する)。
4、 G&T provision-各学科において特別な能力・技術をもっている生徒たちをさらにどう伸ばすのか、その指針。
5、 各学部の学習指導要領
6、 Assessment portfolio -我々が生徒のwork・assessmentをどう評価しているのかを示すためのサンプルフォルダー。例えば、生徒が書いたエッセイとそれに与えられた教師の評価(点数、レベル、そして具体的なコメント)のサンプルをファイルにまとめます。特にイギリスの歴史の課題は暗記・短答式のテストがほぼ皆無なので評価が難しいため、教師の間の評価のばらつきを防ぐためにどんな取り組みをしているのかをAssessment portfolioのなかで示さなければなりません。つまり、一番高い評価を得た生徒のもの、平均的なもの、平均以下のものなど、各レベルごとにまとめて、各教師がそのサンプルを評価の基準として参考にすることが必要とされています。
7、 Self-evaluation sheets -これは生徒が記入するもので、生徒の自己評価と目標設定をするためのフォームです。私の学科では歴史で必要なスキル(歴史文書の解釈など)、学習態度など様々な点を子ども自身が5段階で評価します。その上で自分のStrengthとこれからの目標を定めて書いておくのです。
8、 Target sheets-これは一人一人の生徒の現在の到達レベルと、次のレベルに到達するための目標を示したフォームです(このレベルを決めるために大量の採点物をこなさなければいけないんですよね~。つらい!)。教師が記入し、生徒たちのノートに貼っておいて、彼らがいつでも見られるようにしているミニ通信簿という感じでしょうか。レベルばかりにこだわる政府に半ば閉口している私ですが、近年Ofstedは生徒自身に「今のあなたのレベルは?」「次のレベルに行くためにどんなことを目標にしているの?」と突然質問を浴びせるのが好きなのです。生徒が答えられなければ「この学校は生徒の学習に関する自覚を育てていない」ことになってしまうのです。歴史理解とそのための知識・スキルを数字でたった一つの数字で示そうなんて不可能に近いのですが、学部としては他に選択肢がないのです、、、。

と、大変読みにくい今日のブログですが、少しでもOfstedがどんなものか伝わればいいのですが。ただ、私が述べたことは学部・学科に関することの一部に過ぎず、学校全体の評価には他にも細かい要素が山ほどあります。それにしても、こうして並べると学部・学科に関してだけでも書類のオンパレードですね。

さあ、Ofstedまであと一ヶ月ほど。といっても具体的に何日に来るかというのは前日、最悪の場合当日の朝まで知らされないので結構恐怖です、、、。

これからちょっと緊張する毎日が続きそうです。

投稿者 lib : January 8, 2009 11:38 PM

コメント

バッキンガムシャーでは、今年予告なしのオフステッド訪問を受ける学校群に立候補したのだそうです。そうはいってもどうやら(9割の確率で)いまのところ2月に来るらしいのです。だけど、ふだんどおりで、特別なことは何もしなくていい、といわれているんです。日本語はとくに生徒数がすくないし、あまりプランニングや評価表や採点簿などの書類がないので、突然出せといわれたら、もう完全にアウトになりそうです。
とりあえず、目の前の緊急要件から片付けていくよりほか、ないですよね。月子さん、万事うまくやってください。お互いに、苦労したら、いいことが必ずあると、信じて・・・。

投稿者 dekobokoミチ : January 10, 2009 05:34 PM

ミチさんの学校にもドッキリ監査(私の造語)はいるんですか?実はうちの学校もその新しいinspectionのパイロットスキームの対象校だそうで、最悪当日の朝に「今から行きます」ってくる可能性大だそうです、、、。

はい、頑張ります。でも、歴史科もうちの学校では他と比べると零細学科なのでじっくり見られることはないことを祈ってます!

ちなみに評価表ですが、子供の意見を集めるアンケートとか、子ども自身が自分のレベルを評価するシートとかOfstedは大好きらしいので、簡単にミチさんが作って子供に書かせておくのもいいかもしれないですね。私もアンケートはこれから実施する予定です。

投稿者 月子 : January 12, 2009 06:58 PM

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