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February 16, 2010

ケンブリッジ大学 就職戦争

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友人の息子、M君は今年ケンブリッジ大学を卒業である。(あくまでも予定)

Sixth Form (日本の高校のようなところ、ただし2年)を終え、大学合格を手にした後、「ギャップイヤー」を選んだM君。 アメリカの親戚の家での長期滞在も含めて、1年間 フラフラと遊びまくっ・・・、いや、見聞を広めた。(イギリスに帰国しても電話をかけてくるアメリカン・ガールあり。 「友人」だそうである)

ケンブリッジ大学、某カレッジに籍を置き、2年間。 3年目は南米で1年間フラフラと遊びまくっ・・・いや、真剣な語学研修に専念した。 M君はスペイン語が専攻なので、スペイン語圏での1年間の生活が単位取得のために義務づけられているそうだ。(イギリスに帰国しても、南米から電話をかけてくるセニョリータあり。 「友人」だそうである) 

この語学研修は税金でまかなわれているのかと思っていたが、旅費も生活費も親もち。 滞在地での受け入れ大学はケンブリッジ大学が手配をしてくれるそうだが。

「スペインに行ってくれればいいのに・・・」と愚痴る友人。
「スペインなら、旅費も安いし、ちょっとイギリスに帰国するのも楽なのに、なんでわざわざ、南米なんかに行くんだろう? 親不孝もいいとこ」

M君は最初、語学研修にキューバを選んだ。 
なんで、キューバ? と聞いたら、カストロによる 「鎖国状態」もそろそろ終わりに近づいていて、 「開国」寸前。 開国すれば、大きく変貌するから、企業がビジネスチャンスを狙うはず。その前にコネを作っておきたいと思ったらしい。

「社会主義国のキューバなら、クレジットカードが使えないから、無駄遣いはしないだろう」 と、大金をキャッシュで持たせたものの、M君は数週間でキューバに失望。

「キューバではコーラを手に入れるのだって、大変なんだよ」とM君。 
「不自由はなかったわよ」 とキューバに観光旅行に行ったイギリス人の女友達は言っていたが、考えてみれば、彼女が過ごしたのは外国人専用リゾートだった。 

始めはキューバ留学をまっとうするように説得していた友人だが、かの地には台風がバンバン上陸することを発見。 M君がキューバにいる間、友人はインターネットで台風の進路をチェックしまくったらしい。 
「明日、上陸するハリケーンは大きそうなんだよね」 とソワソワしてたっけ。 結局、息子の安全を心配した友人はM君が他国に移ることを承認。

コーラも飲めず、耐乏キューバ生活 (数週間だが) の反動からか、M君は南米の別の国で親のクレジットカードを使いまくり、友人は毎月の請求書におびえる1年を送ったのだった。 

と、金食い息子に捧げた数年間。 やっと、晴れて卒業、就職という明かりがトンネルの向こうに見えてきた。
 
去年の秋頃から、そうそうたる大企業がケンブリッジ大学生にアプローチしてきた。 銀行、証券会社、リテール、メーカー、もちろん政府機関も。 
「軽く食事でも?」とリクルートが次々と訪れる。
食事をしながら、会社概要や仕事を説明し、興味があれば、履歴書を送るようにと名刺が渡される。青田買いですね。 

「僕、この業種には興味がないんだよね・・・」と最初は選びに選んでいたM君だが、現実は甘くなかった。 バブルがはじけて不景気なイギリス。 ケンブリッジ大学生も例外ではない。在学中の数年間は、ちょっとしたパーティに行けば、
「君、ケンブリッジ大学生なの? 今度、会社に遊びにおいでよ」 と声をかけられることが多かったというのに、そんなお誘いもなくなった。

企業も簡単には採用しない。1次試験、2次試験、3次試験と、情け容赦なくふるい落とされる。 高飛車だったM君の態度も少しずつ変わり、弱気な発言も出てきた。
「あの銀行から連絡がないんだ・・・。落ちたのかな?」
もし、いい就職先がなければ、大学院に進もうかという話も出てきた。

「まだ、この先も学費を払うのか・・・」とため息をつく、友人。
「でも、無職でフラフラされるよりは、マシかも」

ケンブリッジ卒でも就職難の今日この頃、楽じゃない世の中だ。

PS.来週、某企業の1泊2日研修があるそうだ。 この研修中に採用が決まるのか?  ドキドキしているらしい。 がんばれ、M君。

投稿者 lib : February 16, 2010 07:52 PM

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