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September 23, 2005
イギリス人の同僚 その2
声というものは職場環境においても、なかなか重要なファクターを占めていると思う。
同僚の男の子にかなりの線をいっているハンサムな子がいる。オーランド・ブルーム似のナイーブな青年風。細身の長身。もちろんシティの制服、きりりとしたダークスーツ。廊下ですれちがうと、「やあ」なんてかわいい笑顔を見せてくれる。たぶん二十三、四歳。
が、しかし、こいつの声が問題なのだ。
身体のどこかが破れていて、空気が漏れているんじゃないかというくらいフニャフニャ、スカスカした声である。徹夜をして、やっと眠りについたと思ったら、電話がかかってきて起こされた、なんて状況のときに、こんな声が出るかもしれない。
一時期、彼のデスクの真後ろに席があったことがある。
クライアントと話すその声を聞いていると、ずいぶん不安になったものだ。こんなやる気のない声の奴とビジネス取引をする人間がいるなんて信じられないとまで思った。
このセクションのチームセクレタリーの女の子もすごかった。
二十歳くらいだったのだが、舌足らずの子供しゃべり。この声には聞き覚えがある。そうだ、サザエさんにでてくるタラちゃんの声だ。もちろん英語版だが。
この二人が打ち合わせをしている横にいると死にそうな気分になった。
夜明けの寝ぼけ声男、対、タラちゃん。
スカスカ声が冗談を言い、タラちゃんがケケケケ、なんて声で笑うと、もう、こんなところで働きたくない。このままヒースロー空港まで行って、日本に帰ってしまおうと何度思ったことかわからない。
ここまで脱力感を誘う声の組み合わせはなかなかあるものではない。
逆の例もある。
別のセクションにシルバーヘアのマネージャーが入社してきた。
私の厳しい審美眼にも耐えるなかなか素敵なルックスだ。
グループごと別会社に引き抜かれるのはよくあることで、さささ、と周りのデスクの配置替えがあったかと思うと、彼が引き連れてきた部下が数名そこで働き始めた。
早速、ランチタイムにウエルカム・パーティが開かれる。
こうやって、理由をつけては飲み会になるのは日本もイギリスも同じ。
ま、とりあえずご挨拶、ご挨拶。で、ワインを片手にすり寄っていった。
「我が社に、ようこそ」
「これから、よろしくお願いしますね」
きゃー、かっこいい。
低音の渋い声。いっぺんにファンになってしまった。お育ちもいいらしく、物腰も優雅で丁寧。
ランチタイムの軽いパーティなのに、興奮したせいか酔いが回ってしまい、午後から仕事にならず、
「もう帰っていいよ。電車を乗り過ごさないようにね。また明日」
とボスから4時にはお帰りの許可を貰った私だった。
情けない。
投稿者 lib : September 23, 2005 07:53 PM