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January 12, 2006
馬鹿受けマスク
年末に風邪をひいた。
タチの悪い風邪で1週間も熱が下がらず、頭痛に鼻水、喉の痛みに咳とフルコースでやられた。いつもなら、さっさと休み、ちょっと調子が良くなったら、ちょいと半日ばかり平日のショッピングを楽しんで、(風邪のトラウマから回復するために必要な、精神面における「医学的処置」であり、他意はありません)それから会社に出るところだ。
しかし、イギリスはクリスマス前でランラン気分でも、日本では追い込みの年末、仕事がガンガン入ってくる。
イギリス人は風邪をひいている同僚が会社に来るのをいやがる。もちろん、うつされると迷惑だからだ。しかし、日本では風邪をおしてでも会社に出る「むちゃくちゃな根性」がある人のほうが尊敬される。
私が働くのはロンドンにあるイギリスの会社で、日本人は私だけ。でも、クライアントは日本にいる日本人である。ふたつの文化の間での板ばさみ状態だ。
さあ、困った。
というわけで、私は風邪用のマスクを持って会社に出かけた。
日本人には子供の頃からおなじみで、冬にははずせないアイテムだが、ほとんどのイギリス人にとってはテレビでしか見たことがないという「超レアもの」だ。
ずっとはつけなかったが、同僚がそばに来たり社内ミーティングのときに着用した。
働き者、かつ、なんて思いやりのある私。
ところが、これが期待以上に受ける、受ける。
「鳥インフルエンザの検査官」
「外科医」
「マイケル・ジャクソン」(なぜか、これが一番多かった)
などと言われ、他のフロアからの見学者まで出る始末だ。どうせ見世物になるなら、お金を取ればよかった。
もちろん日本製のマスクなので、プレーンな白タイプのほかに、キティちゃんの絵入りのも用意して、バラエティとファッション性に富むように工夫もしてみた。
ボスは新年になってから、風邪をひき、ずっと会社を休んでいる。一応、家で働いていて、メールのやりとりで仕事をしている。たまに電話をしてくるのだが、声が嗄れていて、まるっきり違う人のようだ。
「僕だよ、僕だ。ゴホゴホ・・・」
「いいや、うちのボスはそんな声ではない。ボスを騙って、当社の機密(どこにそんなものが?)を盗む気だな。 本物なら、ちゃんと会社に来て顔を見せてもらおうか。え? 資料を作ってクライアントに送れ? 偽者にそんな指示をされる覚えはないね」
などと、病人の熱がますます上がるような、弱いものいじめをして楽しんでいる。
ボスが会社に来たら、懐かしの「ピカチュー」マスクを提供するつもりだ。きっと似合うと思う。
投稿者 lib : January 12, 2006 09:01 AM
コメント
そう、マスクって、面白いみたいね。
以前、フランス人が日本に来た際にお土産で
マスクと自転車のハンドルにつける防寒カバーを買っていきました。
またまた、楽しいエピソード書いて下さいね。
投稿者 カエデ : January 15, 2006 09:59 AM