January 16, 2006
スピーチ・セラピー その1
息子は言葉の出るのが遅かった。
平均的には1歳半頃からいろいろ言い出すらしいのに、息子は2歳になっても相変わらず「あー」とか「ぶー」とかの赤ちゃん言葉で、意味のある言葉を全然発しなかった。こちらの言うことは分かっていた様なので、まあ個人差があるものだし、3ヶ国語環境だし、男の子だし?とあまり気にしてはいなかった。
2歳児検診の時、保健婦さんに「なにか気になる事は?」と質問された。体の発育面では特に心配事は無かったのが、それじゃあ愛想がないかな?と思い、
「まだ何も言わないんです。マミーとさえ呼んでくれない。」
と言ってみた。
「個人差があるから気にする事無いわよ」と答えてくれることを期待して。
ところが彼女の反応は私の予想を反するものだった。
「ええっ!2歳になるのに何も言わないの!それじゃ、お腹がすいた時はどうするの?喉が渇いたときはどうやってあなたに伝えるの?」
大袈裟に驚かれてしまったのだ。
お腹がすいた時はどうして分かるんだ、と言われたって、こちとら口を開くどころか目も開いていない時から面倒みてきたのだもの、母親なら自分の子供がお腹がすいてる事くらい分かるだろう。2歳の誕生日が来たその日から、母と子は言葉でしかコミュニケーションできなくなるわけでもあるまいし。
この保健婦さんは息子が新生児の頃からお世話になっていただけに、その突拍子の無い質問に私の方が驚いてしまった。
「え・・・お腹がすいた時には冷蔵庫を指差すし、喉が渇いたときにはミルクを指差すし・・・」などと、またもやしどろもどろの返答をする私だったが、彼女は凛とした声で、
「じゃあスピーチセラピストに紹介するから。日時は後から連絡するわ。」
と声高らかに宣言したのだった。
スピーチセラピスト‐‐言語療法士の話は聞いたことがあった。
言語能力に問題のある子供がスピーチセラピーを受けて、またたく間に向上した例もあるという。
どんな事をするのか少し興味があった。どうせタダだし、話のネタにもなるかなと思い(相変わらず不純な動機だが)まあいいかと了承した。
意味のない愛想を振りまいたお陰で変な展開になってしまったが、私たちはスピーチセラピストに会いに行く事になった。その話はまた来週。
投稿者 lib : January 16, 2006 11:18 AM