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January 23, 2006
スピーチ・セラピー その2
スピーチ&ランゲージ・セラピスト(言語療法士)に会いに行ったのは息子が2歳3ヶ月の時だった。
その頃には、「りす」と「手」の日本語の単語を二つ、言えるようになっていた。
「りす」が最初の言葉というのもロンドンならではだが。
セラピストの女性は、息子が何か単語を言うか聞いてきた。
私は待っていました、とばかりに
「ちょうど言い始めました!英語でHandを意味する『テ』と、Squirrelを意味する『リス』です!」
しかし。
私の言う、「Squirrel」が通じなかった。
彼女は何度か「え?え?」という感じで聞きなおし、やっと
「ああ、Squirrelね!」と理解してくれた。
確かに私の発音と微妙に違う。(向こうにとっては微妙じゃないんだろうが)
「Squirrel・・・」
「Squirrel・・・」
彼女の発音を復唱する私。
私が発音矯正されてどうする。
何度か繰り返した後、「Squirrelって発音、難しいわよねえ」と慰めてくれた。
「なんだか私がスピーチセラピーを受けに来たみたい。」
というジョークが喉まで出かかったが、しゃれにならないので止めておいた。
彼女も、同じことを言いたそうに見えたが、何も言わなかった。
お互いに賢明な判断だっただろう。
私達がこんな不毛なやり取りをしている間、息子は傍らにあったおもちゃで黙々と遊んでいた。
普段は、私の注意が自分に向いていないと怒ったり騒いだりするくせに、この日は不気味なほど静かだった。
そんな彼をしばらく観察した後、セラピストは口を開いた。
「・・・・・いつもこんな感じ?」
その口調に、何か別の可能性を疑われていることを感じ取った私は、
「いいえっ。いつもはすごーくアクティブ!こんなに静かなのは珍しいです!」
と必死に弁明した。別に弁明する必要もないのだが。
(続く)
投稿者 lib : January 23, 2006 09:56 AM