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April 06, 2006
文学論
いろいろな人に会って話すのが好きだ。
小説を書いているので、本を出したことがある人とか、小説家志望の人なんかをときどき紹介してもらって、おしゃべりをすることもある。
いやー、変な人が多い。 (自分を含めてだが)
先日、極めつけの人に会った。
某、有名大学を卒業したイギリス人男性、35歳。
日本のことを題材にした小説を書いているということだった。 ただし、まだ出版には至っていない。 知識が豊富で、経済の話でも、政治の話でも、自分の意見をしっかり持っている。 学歴で人を判断してはいけないと思いながらも、さすがにあの大学を出ているだけのことはある、と最初は感心するばかりだった。
小説に関していえば、三島由紀夫や村上春樹だけでなく、吉本ばななや遠藤周作の本 (英語版だが) まで読んでいるのに驚いた。 日本で宗教弾圧の頃にあった隠れキリシタンを見つけるための 「踏み絵」 の話だの、村上春樹の文学的評価には疑問がある、などの話で盛り上がった。
さて、私は手を振り回しながら、話す癖がある。 ジェスチャーが大きく、そのせいで、会社では 「イタリア人」 と呼ばれているくらいだ。
と、私のその手がとられた。
ん? と思うと、ギュッと握られた。
何、これ? と呆然とすると、私の顔を見ながらにっこりとするではないか。
はじめて笑顔を見せた彼の口元を見る。
ギャー !!!
歯が煙草のヤニで真っ黒だー!
次々と煙草に火をつけて吸う、チェーンスモーカーで、唇を開かない話し方をする人だとは思っていたが、こういうことだったのか!
おい、歯を磨いていないのか? XX大卒のくせに? (学歴は関係ないか)
男の人に手を握られ、笑いかけられたせいで、気が遠くなりそうになったのは、生まれて初めてだ。
大正時代のうぶな女学生か、私は?
しかし、私はパニックに強い女だ。
すぐに平常心をとりもどすと、黙って手をふりほどき、テーブルの下に手をしっかりと隠したまま、何事もなかったかのように、話を続けた。
彼は私にその気がないのがわかると (当たり前だ) びっくり仰天するようなことを言い出した。
「僕は日本の女性が好きだ。 ぜひ、日本人の彼女が欲しい。 が、まだ小説家としてひとり立ちしていないので、自分の家を持つ、収入のいい日本人の女性と、一緒に暮らしたい。 そして、僕が大成するまで、養ってもらいたいと思っている」
作家志望のみならず、ヒモ志望だったのか!
「誰か、君の知り合いの中でいないかな?」
いませんよ、そんな人。
私は統計学の権威ではないが、無作為抽出で1000人ばかり選んで聞いてみても、そんな酔狂な女性はいないと思う。
「楽しかった。 また、会いましょう」 と言われたが、
あの真っ黒な歯と 「僕は日本人女性のヒモになりたい」 という浮世離れした発言のせいで、ちょっとパスさせていただこうと思っている。
誰か、彼に会いたい人いますか?
投稿者 lib : April 6, 2006 08:15 AM