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May 18, 2006

ひざまずいてプロポーズ

career2.gif この半年で同僚の女の子がふたり婚約した。

人生長いといっても、大手を振ってノロけることができる機会は少ない。 
職場の先輩としては、ランチでもおごって、話のひとつも聞いてあげようという気になった。

L嬢は27歳。25を過ぎると坂道をころげおちるように老けていくイギリス人にしては、小柄でなかなかキュート。 
つきあって3年のボーイフレンドがいて、そのうちに結婚というのは考えていたらしい。

「ロング・ウィークエンド(週末を利用した小旅行)に行こうよ」と彼氏に誘われたL嬢、郊外のマナーハウスのホテルを見て大感激。
部屋はスィートで、イギリス女性の憧れ、四本の柱に支えられた「天蓋つきベッド」

もしや、の予感通り、L嬢をベッドの端に座らせた彼氏は彼女の前にひざまずいて、
「結婚してくれ」とプロポーズ。

「涙が止まらなかったわ」と、スパゲティ・ボンゴレを食べながらL嬢はうれしそうにつぶやいた。

なかなか憎い演出である。

もうひとりは23歳のA嬢。共同名義で購入した家で、彼氏と一緒に暮らしている。
彼女の場合は去年の12月。 ニューヨークへ出張したフィアンセがティファニーに寄ったのに、「これといったおみやげ」 がなかったのでピンときたそうだ。 
「とっておきの品物」は隠してあるのでは?という女のカンらしい。 

クリスマスの朝、彼女は「手のひらサイズの四角い箱」がツリーの下にないかと必死で探したが、該当する大きさのプレゼントが見つからず、がっかり。 
と、彼氏は「じゃ、これ」と靴箱サイズのプレゼントを渡した。

指輪にしては大きすぎるし、重すぎる箱を開けると、重しに入った文庫本、かさを増やすのに使った新聞紙があり、わけのわからない布にぐるぐる巻きにされていたのは、
・・・そうです、ティファニーの小箱。もちろん中には指輪。
ここで彼はひざまずき、
「結婚してくれ」 とプロポーズ。

・・・小細工が多いのがちょっと気になる。そこまでして、箱の中身を隠す必要があったのか?

彼女は 「どうしようかな」と、じらしてみせたが、うれしくて目はウルウル。
で、彼が「この牛女め。ティファニーの指輪が欲しくないのか?」

ちょっと説明が必要だが、この「牛女」(牝牛)というのは、バカな女という英語で、ここでは「お馬鹿さん」くらいのニュアンスだと思う。

「牛女」に求愛する男ねえ。彼のほうも半身が馬だったり、頭の部分が菩提樹だったりすると、まるでギリシャ神話だ。

イギリスのプロポーズにおいて、男 - ひざまずく、女 - 泣く、というお約束が再確認された。

さて、私も毎日のようにイギリス紳士からひざまずかれている。ただし、相手はボスだ。

入社してすぐのとき、ボスが私のデスクの真横にひざまずいたのを見て、
(おやじ、気でも違ったか?) と、びっくりしたのだが、彼は手にした書類を見せながら、淡々と仕事を頼んだ。

実は、ボスには 「腰痛」があり、「中腰」より、ひざまずくほうが楽なことを知った。
・・しかし、その姿勢、誤解をまねくぞ。

正直なところ、腰痛持ちの初老の男(= ボス)なんかにひざまずかれても、ちっともうれしくない。 
おまけに、知らない人が見るとギョッとするらしく、変な顔をされることが多い。 
(恐ろしい女だ。年上の男をあごで使っている・・・)なんて思われているようだ。 

やだなあ、もう。

投稿者 lib : May 18, 2006 12:41 PM

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