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June 15, 2006
インド人の逆襲 その1
イギリスにはインド系の人が多い。
もちろん、バングラデッシュ出身とか、スリランカ出身とか、パキスタン出身とかを 「インド系」 と、ひとくくりにするのは宗教上の問題もあって乱暴なのだが、基本的に「あのあたり」の人たちだ。
私は最初に住んだ「外国」はアメリカだったので、イギリスに来て、 「インドの人が多い」 と素直に驚いたものだ。 アメリカにはヒスパニック系の人がたくさんいたが、インド系の人にはほとんど会わなかった。
そのうち、イギリスに住むインド系の人が私にとってどれだけ重要な仕事をしているのかがわかった。
まず、インディアン・レストラン。 イギリスのインドカレーはコリアンダーがきいているらしく、慣れるまでには少し時間がかかったが、すっかりはまっている。 会社では女性だけが所属する 「カレー友の会」があり、1、2ヶ月に一度カレー・ランチを楽しんでいる。 午後は全身からスパイスの匂いがプンプンして、誰もそばに寄ってこない。 おかげで仕事を頼む人もなく都合がいい。
オフ・ライセンス (酒屋)。 なぜかインド系の経営が多い。 友人によると、営業時間が夕方以降にかかるような商売をイギリス人はいやがる。 で、働き者のインド系の人たちがどんどん進出してきたのだそうだ。 たしかに夕方5時に酒屋が閉まっては、私の人生に大きく影響がある。 近所の酒屋もインド系の人たちがやっているが、私の顔を見ると何も言わずにいつものワインを棚から取ってくれる。
(きょうはビールにしようかな) と思っても、7ポンド99のワインがすでに袋に入っていて、いまさら99ペンスのビールを頼みにくいような、うむを言わせぬサービスである。
ニュース・エージェント (新聞、雑誌、お菓子の小売店)もインド系のオーナーが多い。 会社のビルの隣の店のおじさんもそうだ。 ランチをダイエットのためにサラダにするとお腹がすく。 で、栄養補給のためにお菓子を買いに行ったりする。 (無意味で不毛な行為といえるな)
このおじさんは、「うちで売っているチョコレートはノー・カロリー」 と、女心のすきまに入り込むような嘘をつくので、たいへん気に入っている。
このようにして、インド系のイギリス人とは友好関係を築いていると信じていたのだが、とんでもない出来事があった。
ガス会社が2社、電力会社が2社、電話会社が2社からダブルで請求書が届くようになってから数ヶ月。 (3月16日と22日のブログを参照のこと) 何度も手紙を出しているのだが、請求書が送られてくる以外には連絡がない。 文通 (ただし一方的)にもすっかり飽きてしまって、しばらく放っておいた。
と、ある日、自宅に電話が入る。
「こちらは@¥会社です。 #&様ですね」
「は? どちら様で?」
「@¥会社です」
「・・・よく聞き取れませんが、どちらの会社ですか? どちらにおかけですか?」
「@¥です。 #&様ですよね」
「?」
インド系の人独特のくせのある英語なのは顔を見なくてもわかる。 が、何度聞いても会社名も私の名前も聞き取れない。 それでも、何となく、オペレーターは正しい相手と話していることに確信を持っている感じである。
「今日は @¥::$&#¥? ところで &&$%@+¥@# でしょうか?」
な、な、何なんだ???
「雰囲気は英語」 だが、実際に耳に聞こえてくるのは 「他の言語」。 まるで、漂ってくる香りは 「バラの花」 だが、鼻先に突きつけられているのは 「たまご豆腐」 というシュールな違和感がある。
(あなたの英語はよくわからない)と、のど元まで出かかったが、しょせん、こちらも外国人。 じゃんけんで相手のパーに対して、チョキを出さずに同じくパーを出してしまい、「だって、おあいこじゃないの」 と言われる情けない立場になりかねない。
「*&$¥ 請求書 *%$#¥*+%?」
そのうちに請求書という言葉が聞こえた。 どうやら電話会社 (新) が「未払い」になっている請求書にしびれを切らしてかけてきたらしい、と「推測」する。 試しにその電話会社名を出すと、そうだと言う。
・・・どうして会社名が聞き取れなかったのだろう?
続く
投稿者 lib : June 15, 2006 08:06 AM