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September 05, 2006

父兄デビューの心得 ロンドン編

mama.gif 一昔前に日本で「公園デビュー」という言葉が流行った。

子供を連れて初めて公園に行く時に、既に出来上がっているソサエティにスムーズに参加するために、正しい服装や振る舞い方など、万全の体制で臨むことを現した言葉だった。
間違った行いをしようものなら、その後公園内で母子共に村八分になる可能性もあり、公園デビューは非常に重要な儀式である、という事が、まことしやかにささやかれていた。

あの頃、子供のいなかった私は、マスコミの作り出したネタにしか思えず
「こんな事あるわけないだろー、ガハハー。」
と笑いとばしていた。
もし多かれ少なかれ事実だったとしても、「足並みを揃える」事が大好きな日本の独特の現象だと思っていた。

しかし新聞の日曜版をなにげにめくっていたら、
‘A guide to surviving playground power politics’
というコラムが目に付いて、ぎょっとした。
イラストは、こちらをちらりと見ながらひそひそ話をする母親たちを、子供の手を引いて遠くから見つめる新米ママ。
その背中には誰かに張られた‘Kick me’の紙。

初めは
「日本の現象をパロったライターのネタか?」
とも思ったが、読んでみるとイギリスの学校の親社会でも多かれ少なかれ権力闘争があるらしい。

筆者は息子の入学式の日に早速失敗したという。
「息子には制服を着せていた。だけど自分が着ていなかった・・・。」
正しい母親の服装は、ストレッチジーンズにコンバースのハイカット、そしてストライプのオフショルダーのトップだったそうな。
(日本だったら「紺かベージュなどの基本色で清潔感ある服装を心がけましょう」てなところだろうが。)

またクラスの母親の中にも序列があり、一番エライのは
1. 子供のために仕事を辞めたPTAママたち。お迎えの前にテニスで汗を流す。
以下、
2. 時により学校行事の手伝いをするママたち。勢力を拡大してはいるが、重要度では1にかなわない。
3. パートタイムで働いているママたち。必要な時のみ、こそこそ出入りする。
4. このような権力の構図に全く無関心か、気がついてさえいないワーキングクラスママたち。(私はこれに属しそうだ)
と続くらしい。

服装がヘン(日本で言うヘンとはティストが違う、念のため)だったり学校行事にあまり協力的でなかったりすると、1のグループのママから強烈な嫌味を言われたり子供が村八分にされたりする危険性もあるという。

これがロンドンの、「高級住宅地化しつつあるが、まともな学校が少ない地域」(リアリティありすぎ)の公立小学校の話。
私立になるとこの傾向はもっと過熱するらしい。
知り合いは、送り迎えが高級車の4WDばかりなので彼女もそれまでのセダンをレクサスの4WDに買い換えたそうだ。
主な用途は子供の送り迎えとスーパーへの買い物だというが・・・って一昔前のどっかの国みたいだな。

ロンドンに来て以来、「あ~服装も気にしなくていいし、余計なしがらみもないし楽だわ~」
と思っていたが、結局は外国人として生活していたってことなんだろう。
やはりプロパーの社会に組み込まれれば、どこの国だろうがしがらみはあって当然か。

しかし苦手だなあ・・・どうにか「外国人枠」ってことでカンベンしてもらえないだろうか。
今から黒髪をまっすぐに伸ばし、前髪は眉の下でパツンと切って「謎の東洋人キャラ」でも演じる用意をするか。

投稿者 lib : September 5, 2006 10:48 AM

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